リビング+:ニュース 2003/10/07 23:59:00 更新

CEATEC JAPAN 2003
4インチ画面にSVGA〜富士通が考えた“ドコデモWindows XP”

わずか4インチの液晶パネルに、Windows XPの画面が“SVGA”解像度で表示されている。まるでミニチュアPCのようなPDAを富士通ブースで見つけた。

 「CEATEC JAPAN」は、各社の新製品と同時に、先進の要素技術やコンセプトモデルが数多く出展されることでも知られる。富士通ブースで見つけたPDAタイプの新端末「.u Pocket」(ドット・ユー・ポケット)は、まさにその典型だ。わずか4インチの液晶パネルにWindows XPの画面がSVGA解像度で表示されており、なかなかインパクトがある。

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「.u Pocket」はプロトタイプのため、発売のスケジュールは未定だ

 .u Pocketの外観は、デジタルカメラ付きのPDAにしか見えない。もちろん、ハードディスクは内蔵しておらず、OSもWindows CE.NETと、仕様もやはりPDAだ。しかし、前述の通り、.u PocketではWindows XPのフル機能が利用できる。

 勘のいい方なら、もうお分かりだろう。.u Pocketは、Windows XPのリモートデスクトップ機能を利用した一種のThinClientだ。PC上で動作しているWindowsの画面だけをネットワーク伝送し、PDAの画面に表示している。タッチパネルにより、アプリケーションやファイル操作もPCと同じように行える。

 同様のデバイスには「スマートディスプレイ」があるが、ホームネットワークにフォーカスしたスマートディスプレイに対して、こちらは外出先から会社のPCを使うことを目的としたユビキタスな(いつでもどこでも)お仕事端末を目指している。PDAサイズのきょう体は、可搬性を重視した結果だ。

 通信できることが利用の前提になるだけに、その手段も多く用意されている。まず、本体にIEEE 802.11b無線LANとBluetoothを内蔵。さらにコンパクトフラッシュスロットとSDカードスロットを別途設けている。また通信経路の安全性を確保するため、ワインタイムパスワードを使う認証システムや、VPNの併用を検討しており、ブースではルータがVPNの処理を受け持つ形でシステムを構築展示していた。

 CMOSカメラは、携帯電話よろしく前面と背面の両方にある。前面のカメラは“自分撮り”専用で、CE.NET向けのTV会議ソフトで利用する。一方、背面のカメラで撮影した画像はメモリーカードなどに保存しておき、やはりCE.NETからアクセスする仕組みだ。「カメラは基本的にスタンドアローンの機能だが、今後はWindows XPとのデータ交換機能などを付加していきたい」(富士通研究所の山田浩主任研究員)

FSC方式の液晶パネル

 このユニークな端末が登場した背景には、高精細の新型液晶パネルがある。これは、富士通ペリフェラル研究所が開発した「Field Sequential Color」(FSC)方式LCD。わずか4インチのパネルにSVGA(800×600ピクセル)解像度を表示可能で、インチあたりに換算すると実に254ppiとなる。また、今回は採用していないものの、技術的には4インチでXGAまで対応できるという。「さすがに文字などが読みにくくなるため、今回はSVGAにとどめた」。

 従来のCF(カラーフィルタ)方式液晶パネルでは、バックライトの前にRGB(色の三原色)のカラーフィルタを置き、これを空間的に混合することで色を表現している。しかしFSC方式はバックライトに3色のLEDを使い、バックライト自体が180分の1秒単位でR→G→Bと色を変える。高速な色の変化が引き起こす残像現象を利用し、色を時間的に混合して自然な発色を実現する仕組みだ。「従来の液晶パネルは、いわば“空間分解能”の残像現象を利用したものだが、こちらは“時間分解能”を使う」(山田氏)。

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FSC方式の仕組み

 FSCが高解像度になるのは、CF方式のように1画素を3分割して色のフィルタを並べる空間が必要なくなるため。また同時に、フィルタがなくなったことでバックライトの透過率が向上する。透過率が上がれば、バックライトはそのぶん光量を落とすことができるため、省電力化にもつながるという。

 FSCパネルの採用により、.u PocketではWindowsで作業できるだけの表示領域を確保しながら、PDAサイズのきょう体を実現した。ただし、画面サイズが小さいだけに、やはり細かい文字などは読みにくい。このため、PDAにアクセラレータを内蔵し、スムーズな画面切り替え(ズーム表示)が行えるようになっている。これには、FSCパネルの0.3msという応答性の高さが一役買った。

 従来の約100倍にあたる応答速度は、動画などの表示にも有効だ。富士通ではTVやDVDビューワーなどの用途も視野に入れ、FSCパネルの開発を進める。一方、.u Pocketもスケジュールは未定ながら、今後は軽量化(デモ機は約280グラム)や薄型化などはかり、製品化を検討していくという。

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[芹澤隆徳,ITmedia]



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