リビング+:ニュース 2003/10/31 23:16:00 更新

インタビュー:バンダイチャンネル(後編)
バンダイチャンネル、次の一手

「機動戦士ガンダムSEED」の成功により、メディアとしての存在感をグループの内外に示したバンダイチャンネルには、新しいビジネス展開も見え始めた。これには、“サンライズ以外”のアニメ配信、そして“ブロードバンド発のアニメ制作”などが含まれている

 前編で取り上げた「機動戦士ガンダムSEED」の成功は、ブロードバンド配信と既存ビジネスのシナジー効果といえる。作品の魅力もさることながら、キャラクター商品を販売する上でブロードバンドによるVoDが有効という実績を作った。

 メディアとしての存在感をグループの内外に示したバンダイチャンネルには、新しいビジネス展開も見え始めた。つまり、サンライズの持つコンテンツだけでなく、他社のコンテンツ配信を請け負う“コンテンツ・ディストリビューター”という役割だ。既に構築した配信や課金にかかわるプラットフォームやパートナー(この場合はISPなどの販売先)を活かし、コンテンツを販売したい企業との間を取り持つ、いわば卸売り業者となる。

 実は、サンライズ以外のアニメ作品の配信は既に実施されている。たとえば、4月に配信を開始した「ラーゼフォン」はメディアファクトリーの作品。また、9月スタートの「ストラトス・フォー」や「おねがい☆ティーチャー」(記事参照)はバンダイビジュアルだ。もちろん、ユーザーが視聴する際に、コンテンツ供給元の違いを意識する必要はない。

 なお、おねがい☆ティーチャーの場合は、1話目のみ無料で、2話目以降は200円という新しい料金形態を採用するなどのチャレンジもあったが、バンダイチャンネルとバンダイIT推進室のリーダーを兼任する安食孝徳氏によると、「視聴数は当初の予想を超えるペースで推移している」という。

 「バンダイチャンネルの利用者層の中に、おねがい☆ティーチャーのような、いわゆる“萌え系”アニメの需要もあることが分かった。今後は、懐かしい作品ばかりではなく、例えばテレビ放送終了直後、あるいは地域限定で放送されたアニメ、OVA(オリジナルビデオアニメ)などの配信も視野に入れ、タイトル数を増やしていく」。

10社前後のアニメ作品を配信

 他社コンテンツの獲得に関しても、大きな進展がありそうだ。安食氏によると、バンダイグループ5社を含む約10社のコンテンツホルダーとともに、新たにアライアンスを組む計画が進んでいるという。

 しかし、ビジネスモデルの転換にあたり、いくつかの課題も残されている。それは、コンテンツ配信の手法について、一定の方向性を打ち出すこと。

 例えば、配信方式だ。現在はバンダイチャンネルがISPや回線事業者に高品質なデジタルデータを手渡し、各社がそれぞれ回線やサーバの状況に合わせて再エンコードしている。このため「ビットレートは9種類、またフォーマットもWindows MediaやRealMediaなど複数ある」という状況になっている。

 また、「BBケーブルTV」に代表されるようなSTBやTVを前提としたサービスが登場したことで、動画配信の形にもバリエーションが出てきており、配信までの手順が煩雑になっている。

 「帯域はともかく、ファイルフォーマットは統一する方向で検討中だ。STB向けの配信はMPEG系、PC向けは“もっとも標準的で、かつ手間のかからないフォーマット”を選択したい」。詳細は語られなかったが、こちらも近日中に正式な発表があるという。

 一方、料金体系にも新しい展開が期待できるかもしれない。現在は、テレビアニメが1話100円、劇場公開されたものは300円程度であり、ISPによっては複数話のパッケージなども用意している。手頃な価格帯ではあるが、やはり“定額・見放題”のサブスクリプション型サービスに対する要望も根強いという。「SVOD(サブスクリプション・ビデオ・オンデマンド)の検討は進めている。パートナーとなるコンテンツホルダーと協議しながら考えていきたい」。

ブロードバンド発のアニメも?

 今後、サンライズ以外のアニメ制作会社との協業が進めば、バンダイチャンネルは総合的なアニメポータルとしての性格を強め、豊富なタイトルをラインアップすることになるだろう。一方、より多くの利用者を集めるには、集客力のある“目玉コンテンツ”も必要になる。

 であれば、やはりテレビ放送と連携した「機動戦士ガンダムSEED」に代わるような、“次”のアプローチに期待がかかる。この質問に対して安食氏は、「あるいは、ビデオから始まるOVAのように、ブロードバンド配信から始まるアニメがあってもいい」と応じた。

 OVAがビデオから始まり、有料テレビやブロードバンド配信へと販売チャネルを拡大したのと同じように、ブロードバンド配信をスタート地点とするアニメ。確定すれば、以前の「ガンダム3部作」のように、各ISPが先を争って配信することになるだろう。しかも、実際に計画は動き始めているらしい。

 「サンライズと一緒に、純粋にブロードバンド配信が最初となる作品の製作に取りかかっている。来年末頃に配信できれば……と考えている」。

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関連リンク
▼バンダイチャンネル

[芹澤隆徳,ITmedia]



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