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リビング+:PR 2003/06/02 00:00:00 更新
ガリレオ

さまざまな顔を持つガリレオ、機能総チェック

 シャープが、今回新たに生み出したパーソナルサーバーに、ガリレオという愛称を与えたのには、「時代の先駆者」「次々と新しいことを生み出す」という想いを込めたからだという。ガリレオ=ガリレイは天文学を中心に、さまざまな学説を発表した学者で、著書などで“いまでは子供でもその事実を疑わない”地動説を説いた。個人的には「観察」あるいは「実験」という言葉も連想するが、こちらの「ガリレオ」にも、先進的で遊び心に富んだ機能が盛り込まれている。テレビを録画したビデオファイルやアルバム画像、各種ファイルの保管を一手に引き受けるばかりでなく、自分の必要なときに“どこからでも”取り出せるのだ。そう、ガリレオは誰にでも簡単に“ユビキタス”ネットワークを実現させてくれる。ここでは、さまざまな“顔”に分けた角度からガリレオを検証し、各機能をチェックしていこう。

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メインメニュー画面。大きなアイコンで各機能がわかりやすく配置されている。もちろん操作はリモコンで行え、スティックでカーソルを移動して決定をプッシュするという、マウスに似た操作方法が主体となる

ビデオレコーダーとしての顔

 この製品の柱となる機能が、ビデオ録画であることには、疑念の余地はない。ビデオテープレコーダーやDVDレコーダーのように、テレビとアンテナをつないで、放送を録画し、再生できる。異なるのは、記録メディアを必要しないということだ。ガリレオには、120Gバイトのハードディスクが内蔵されている。OSや、ほかのさまざまな機能でもデータ記録に利用されるので、120Gバイトすべてがビデオ録画に使えるわけではないが、標準モード(可変ビットレートMPEG2、4Mbps)で最大60時間、高画質モード(8Mbps)なら30時間、長時間モード(2Mbps)なら115時間の録画が可能だ。

 録画予約はとても簡単。ADAMS-EPG+の番組表をインターネット経由で毎日2回自動的に取得してくれるので、リモコン操作でテレビ画面上で番組表をブラウズしつつ、予約したい番組をクリックしていけばいい。番組表データには、番組名のほかに、出演者名や番組の内容予告なども含まれており、それを表示できるほか、キーワード検索時の対象データともなる。

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番組表はチャンネルごとに閲覧できる。テレビ番組にはタイトルだけではわからないものもあったりするが、カーソルで選択すれば簡単な番組内容も表示されるので、気に入ればそのままクリックして予約すればいい

 その後のシャープによる2回目のソフトウェアアップデートで、ビデオレコーダーとしての基本操作、早送りや巻き戻しなどのレスポンスが大幅に改善された。もちろん、最初から万全の設定であれば、とも思うが、使いにくい部分はきちんと直していく、という姿勢が感じられたので、むしろ納得できる。

ビデオサーバーとしての顔

 3倍録画でもテープは8時間だから、とりあえずこれとこれだけ入れて、あとは1回テープを入れ替えないと……などと心配することもなく、興味のある番組は片端から予約しておけばいい。録画時のパラメータとして記憶されるのは、通常の「チャンネル」「開始時間」「終了時間」「録画品質」のほか、「繰り返し」「MPEG4作成」「保存期限」という項目がある。

「繰り返し」は「毎週水曜の午後8時」とか「毎日8時50分から」などという番組録画を行えるものだ。通常のビデオテープレコーダーでも使えるが、大容量ハードディスクへ録画という方式とあいまって、非常に便利に感じられる。加えて「保存期限」の存在がある。「毎週水曜の午後8時、保存期限は7日」という予約を入れておけば、新たに録画を開始する際に、先週の放送分は勝手に消えてくれるのだ。これぞ、ビデオサーバー感覚。

 さらに「特に録画予約すらしない」という使い方もできる。ガリレオをある程度使い込んでいくと、ユーザーの操作の履歴がたまっていく。さらに、お気に入りの番組や、気になるキーワードなどを登録しておけば、これらのデータをもとに、「番組ナビ」がおすすめ番組を選んでくれるのだ。ときには「?」なチョイスもあるが、「おすすめ自動予約」をオンにしておけば、とりあえず、おすすめ的なモノを選び出して、毎日勝手に録画しておいてくれる。

 使い方としては、絶対外せない番組や好きなレギュラー番組だけは自分で「繰り返し」録画として予約しておき、「画質=長時間、録画する数=すこしorふつう、保存期限=1日or2日」といった設定で自動予約を「使用する」にしておくのが便利だろう。

 また、PCと連携すれば、ガリレオに直接つないだテレビだけでなく、PC側でのテレビ視聴や録画ファイル再生が可能となり、充実したビデオサーバー生活を満喫できる。さらに、公衆無線LANアクセスポイントを利用して、外出先から自宅のガリレオに保管されたビデオを鑑賞する、なんてことも可能なのだ。

無線LAN対応ブロードバンドルータとしての顔

 表面上の中心はビデオレコーダー機能だが、実際にガリレオの柱となるのが、ルータ機能だといえる。ガリレオはテレビやアンテナをつなぐだけでなく、WAN端子にADSLモデムなどの“宅外へのネットワーク接続”、LAN端子に手持ちのPCやハブといった“宅内のネットワーク接続”を行う。さらに、無線LANアクセスポイントにもなるので、デスクトップPCだけでなく、無線LAN機能内蔵のノートPCもぶらさげられる。

 ルータ機能に関しては、

  • ローカル側IP設定(アドレス、サブネット)
  • DHCPサーバ(使用する/しない、先頭アドレスおよび最大個数)
  • DNSリレー(使用する/しない)
  • ポートフォワーディング
  • パケットフィルタ(NetBIOSパケット破棄、SMBサービスパケット破棄、IPアドレス偽装対策、ICMP破棄、ステルススキャン拒否、DoS攻撃対応のオン/オフ、およびパケットフィルタリングの項目設定)

という細かな設定が可能で、よほど凝ったネットワーク設定を要するユーザー以外は不満に感じないだろう。

 無線LAN機能に関しても、

  • ESS-IDの変更
  • 通信レート(自動選択/1/2/5.5/11Mbs)
  • 無線チャンネル(1〜14)
  • 暗号化(WEP:暗号強度64/128ビット、文字コードASCII/16進、暗号化キー)
  • MACアドレスフィルタ(最大16件)
  • ESS-IDのANY拒否

という設定を行える。

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メニューから「設定」モードに入ると、無線LANの利用に関する設定も行える。ここではごく簡単な設定および情報表示しかできないが、PC上のMedia Paletteから設定を行う場合には、本文中で述べたような細かな設定を行えるようになっている

 前回の記事でも書いたが、ノートPCのみを持っているユーザーが、ホームネットワークを構築する第一歩を踏み出す導入手段として選ぶ際にも、ガリレオは実用的かつ個性的な選択肢となりうる。

ファイルサーバーとしての顔

 ホームネットワーク内ではルータという要に座するガリレオ。ということは、そのほかにもいろいろできることは容易に想像できるだろう。

 ガリレオは「メディアコンテナ」として、ファイル共有機能を提供している。ガリレオのファイル共有機能はWebフォルダを利用したもので、暗号化されたVPN(Virtual Private Network)経由での外部からのアクセスの際にも対応してくれるという大きな利点がある。

 ファイル共有といってもそんなに本格的なものは必要ないんだけど、よく使う書類ファイルなどは一カ所にまとめて保管しておきたい。そんなユーザーの要求には十分に応えてくれる。しかも、いざというときには、必要とあらば外出先からでもファイルを取り出せるのだから。

公開Webサーバとしての顔

 ファイルサーバー機能の延長線上にあるのが、公開Webサーバー機能だ。前述のメディアコンテナにはあらかじめいくつかのフォルダが用意されているが、このうちの「MyHomepage」フォルダにHTMLおよび画像ファイルを入れておけば、ガリレオをWebサーバーとして外部に公開できる。最小限の機能ではあるものの、パスワード認証によるアクセス制限をかけたり、アクセスカウンタの設置、アクセスログの表示などは用意されている。いずれにせよ、自宅のガリレオ自体へとアクセスされるものなので、本格的なページをつくって大々的に公開するのにはもともと向かない。仲間内の連絡のためのページを置く、などといった利用法がいいだろう。

フォトアルバムとしての顔

 いまでは、デジタルカメラで撮った画像というのも、家族の間では重要な“コンテンツ”と捉えられる。ガリレオのハードディスクにはそんな手持ちの画像も保管しておける。しかも、保管したデータはアルバムとして表示してくれるのだ。そのうえ、テレビで観る場合、PC上で表示する場合、携帯電話からアクセスする場合と、それぞれに応じた表示スタイルと操作メニューを提供する。

 ガリレオとPCとの連携利用には、内部/外部からのアクセスともにMedia Paletteというソフトウェアを使う。これにより認証・接続・表示という工程を行うインターネット経由でその接続さえ確立できれば、ガリレオにデジタルカメラで撮影した風景画像を放り込める。放り込むだけなら別に楽しくないが、公開アルバムに設定してそのURLを知り合いにメールすれば、PCからでも携帯電話からでもアルバム形式で画像を閲覧してもらえるのだ。相手がうれしいかどうかは不明だが、祖父母などにURLをメールしておいて、毎日少しずつ追加される孫などの家族写真を見てもらうなんて用途なら、確実に喜ばれるに違いない。

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ガリレオ内にコピーした画像で公開アルバムをつくれば、ほかの人にもURLを教えることでPCや携帯電話でアルバムを見てもらえるようになる。PCで表示した場合はこのような画面になり、きちんとサムネールによる一覧表示なども自動的に提供される

Webブラウズ端末としての顔

 インターネットはPCで楽しむもの? たしかにそうだが、リビングの大画面テレビでWebを見るというのも、それなりに便利なものだ。ガリレオにはWebブラウザも搭載されている。これが使える。URL入力もリモコンを使って、チャンネルボタンにヒラガナやアルファベットが割り当てられた携帯電話と似た入力方法で比較的楽にできるが、リモコンの「Web検索」を押せば、いま観ている番組の公式サイトを自動的に探してくれる。

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テレビでWebサイトをブラウズできるのは意外と便利だ。いま観ている番組のサイトをちょっと確認する、といった用途が主になるだろう

   *   *   * 

 本で読んだり、話で聞いた、ガリレオ=ガリレイの生涯を思い返してみると、自分やほかの学者の考えを試すため、さまざまな実験を熱心に行ったり、遠くの星々を眺めたいがゆえに屈折望遠鏡をつくりだしたり、という逸話が頭をよぎる。なかには事実ではないエピソードもあるかもしれないが、いずれにせよ、ガリレオ=ガリレイはとても「好奇心旺盛」で、興味や自分の考えを「実行に移す」タイプの人物だったと個人的には想像している。「自宅のガリレオの中のビデオを外出先から眺める」のを「屈折望遠鏡で遠くの星々を眺める」ことになぞらえるのは、さすがにちょっとこじつけすぎかもしれないが、さまざまな方向に「好奇心旺盛」なユーザーにとって、ガリレオという製品が非常に魅力的な存在となりうることは間違いない。

関連リンク
▼シャープ
▼シャープ:ガリレオ

[ITmedia]


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