なぜ顧客満足だけでなく従業員満足も高めるべきなのか? コンタクトセンターを支えるAIの意外な使い道働きがいとCXを改善する裏方のAI

PR/ITmedia
» 2024年10月24日 10時00分 公開
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 売り切り型からサブスクリプション型へ、世の中のビジネスモデルが大きくシフトする中、“顧客体験の向上”は企業にとって大きな課題となった。サブスクリプション型のビジネスは、継続的に製品やサービスを利用してもらう中で、Webサイトやメール、チャットなどさまざまなチャネルで顧客と接する機会が発生し得る。そのため顧客とのタッチポイントであるコンタクトセンターの重要度はますます高まっている。しかしコンタクトセンターは、慢性的な人材不足や高い離職率など、さまざまな課題を抱えており、業務範囲の拡大は一筋縄ではいかない。

濱田氏 シスコシステムズの濱田義之氏

 ここに一つの解を見つけたのがシスコシステムズだ。同社は約40年間にわたって、ネットワーク機器をはじめとするハードウェアを販売してきたが、ビジネスモデルを売り切り型からサブスクリプション型へと徐々に移行。現在は売り上げの半分以上をサブスクリプション型が占めるまでになっているという。

 シスコシステムズの代表執行役員社長、濱田義之氏はこう話す。「製品やサービスをお客さまに継続利用していただきながら、体験価値を高めることを考えなければなりません。コンタクトセンターにとって、顧客体験(CX)の向上はこれまで以上に求められており、同じぐらい従業員体験(EX)の向上にも取り組む必要があると考えています」

 シスコはなぜ、同社のビジネスと、同社が提供するコンタクトセンター向けソリューションにおいて、CXとEXを包括的に高める取り組みを重視するのか。キーワードは「サービスプロフィットチェーン」だ。

「従業員が幸せに働けるかどうか」が、良質なCXに直結

 サブスクリプション型のサービスは解約や乗り換えが簡単にできるため、顧客が不満を抱いてから離反するまでの猶予はほとんどない。「ユーザーの半数以上は、製品やサービスの利用中に2回以上“品質の低いやりとり”をすると、その企業を見限るといわれています」と濱田氏が説明する通り、CXの低下は売り上げ低下に直結するほどのリスクだ。

 企業が従業員満足度の向上に取り組めば、製品やサービスの品質向上につながり、結果として顧客満足度も高まり、利益拡大に至る。サービスプロフィットチェーンとは、このようなEXとCXの因果関係を示す考え方だ。CX向上を目指すに当たって、シスコが「従業員の働きやすさ」を重視したのもこの考えが背景にある。同社は、調査機関Great Place To Work® Institute Japanが認定する「働きがいのある会社」大企業部門(従業員1000人以上)において、2年連続で1位に選出されている。

図1 図1 サービスプロフィットチェーンの概要(シスコ提供資料を基に編集部作成)《クリックで拡大》

 「従業員が輝ける職場で、ワクワクした気持ちで仕事をしていれば、その雰囲気は確実にお客さまにも伝わります。製品やサービスは、お客さまがもっと使いたくなるものに変化していき、フィードバックも多くいただけるようになると良い循環が生まれます」(濱田氏)

 こうした考えから、シスコが提供するコンタクトセンター向けソリューションでも、EX向上の側面からCX向上を支援することを重視しているという。コンタクトセンターのプラットフォームとして、同社は以下の製品群を提供している。

  • CPaaS(Communication Platform as a Service)の「Webex Connect」
  • CCaaS(Contact Center as a Service)の「Webex Contact Center」
  • UCaaS(Unified Communications as a Service)の「Webex Calling」

図2 図2 シスコのコンタクトセンター向け製品群(シスコ提供資料を基に編集部作成)《クリックで拡大》

 共通のユーザーインタフェースを持つ包括的なシステムで、カスタマージャーニー全体を一元管理できることの価値は意外に大きい。近年はオムニチャネル化が進み、顧客とのタッチポイントはメール、チャット、問い合わせフォーム、電話など多種多様だ。顧客が接した窓口ごとに社内の管理ツールが分断されていた場合、スムーズな情報連携は難しくなる。顧客は問い合わせ窓口を変えるたびに同じ説明を繰り返すことに不満を抱き、ステップを進めるたびに離脱のリスクが高まることになる。だからこそ「EXとCXを同時に向上させるために、顧客接点のフローを断片化させず、包括的なシステムで一元管理することが重要なのです」と濱田氏は強調する。

 Webexのプラットフォームにおいて、シスコが特に注力しているのがAI(人工知能)機能によるサービス品質の下支えだ。「コンタクトセンター向けソリューションの使い勝手をどこまで改善できるかと考えた際、われわれは『AIを裏方として使う』ことを重視しました。利便性を高める機能にAI技術を積極的に取り入れていますが、エンドユーザーがAIの存在を意識することはほとんどありません」と濱田氏は説明する。

 シスコはセキュリティ、ネットワーク、コラボレーションなど幅広いポートフォリオをそろえている。コンタクトセンター向けソリューションにおいても、こうした技術の粋を集めてプラットフォームとして提供しているのが強みといえる。中でもコラボレーション製品群、特に音声交換機のIP化において同社は長年の実績を持ち、音声伝送とネットワークに関する知見も深い。「コンタクトセンター向けソリューションにとって音声品質は、サービス品質に直結し、従業員と顧客の体験に大きな影響を及ぼします。Webexプラットフォームを通じて提供する当社のAI機能は、これまで培ってきた技術の集大成です」と濱田氏は語る。

途切れのないカスタマージャーニーを実現するWebexプラットフォーム

柳原氏 シスコシステムズの柳原照憲氏

 シスコのコンタクトセンター向けソリューションを構成するテクノロジーを詳しく見ていこう。まずUCaaSのWebex Callingは、業務で使う通話機能を取りそろえたクラウドPBXサービスだ。これにコンタクトセンター機能を追加したものがCCaaSのWebex Contact Center。さらにメールやチャット、SNSなど、顧客側のさまざまなチャネルを企業側のアプリケーションへつなぐ役割を果たすのが、CPaaSのWebex Connectだ。これらが連携して途切れのないカスタマージャーニーを実現する。

 「異なるテクノロジーを別々のベンダーから導入することは珍しくありませんが、カスタマージャーニーの断片化というデメリットがあります。だからこそ、当社はWebexという包括的なプラットフォームとして提供することの価値を重視しています」。そう語るのは、シスコシステムズの柳原照憲氏(コラボレーションアーキテクチャ事業CX営業部 部長)だ。「FAQやチャットbotなどのセルフサービスを利用して問題を解決したいというニーズは増えており、解決しないときに初めてコンタクトセンターのオペレーターに接することになります。オペレーターだけで解決できない場合はスペシャリストにエスカレーションすることになるでしょう。相談先が変わるたびに同じ説明をしなければならないと、お客さまにとっては疲労する嫌な体験になってしまいます。コンタクトセンターがシームレスな情報連携基盤を持つことは、競争優位性にもつながるのです」(柳原氏)

さまざまな角度からコンタクトセンターを支えるAI技術

 コンタクトセンター業界では、業務効率化や感情分析などを目的としたAI活用が進んでいる。ただし柳原氏によれば、まだAIが全ての問題を解決できる段階には至っていない。「オペレーターに問い合わせを渡す段階までに要件を絞り込んだり、要約したりするような、AI技術が生かせるポイントを選んで活用するのがいいでしょう」と柳原氏は語る。

 シスコが強みを持つAI技術の一つは「Real-time Media Models」(RMM)だ。LLMが言語を対象にしたAIモデルなのに対して、RMMは音声や映像を対象にしたAIモデルといえる。人が話す抑揚や声のトーン、身ぶりや反応から、顧客とオペレーター双方の感情を把握して、コミュニケーションの質を高めるのに役立つ技術だ。RMMにはさまざまなユースケースがある。例えば問い合わせ応対で顧客とオペレーターのマッチングをする際、怒っている顧客にはストレス度の低いオペレーターをつなぐことができれば、衝突を回避して良質なコミュニケーションも期待できる。「将来的には、このような感情分析に基づくコールルーティング機能をWebex Contact Centerに搭載する予定です」と柳原氏は説明する。

 Webexプラットフォームは、EX向上に貢献するAI技術も搭載している。その一つが、オペレーターのメンタルヘルスに注目した機能だ。コンタクトセンターの離職理由の代表例に「燃え尽き症候群」がある。オペレーターが使命感や責任感を持って献身的に顧客応対をしていても、期待した結果が得られなかったことに徒労感をため込んでしまう問題だ。問い合わせやクレーム対応という業務特性から、従業員のメンタルヘルスは重要な課題であり、解決に向けた仕組みを用意するのが望ましい。こうしたニーズに基づき、RMMでオペレーターのストレス度を検知し、顧客との通話後に高いストレスが検知された場合には自動で休憩を促す画面が表示される仕組みがあるという。

 通話品質の改善にもAI技術は活躍している。コンタクトセンターでは狭い空間に多くのオペレーターブースが並び、隣席の声が通話に混ざって聞こえてしまうことがある。顧客が騒がしい場所から通話するケースもある。このような状況に有効なのが、AIによるノイズ除去だ。他にも、ネットワークが貧弱でクリアな音声が届かない場合の対策となる音声圧縮技術「Webex AI Codec」がある。「通話品質にはネットワークやソフトウェアなどさまざまな問題が影響を及ぼしています。最低限のコミュニケーションが成立する音質を確保するのは、プラットフォームを提供する当社にとっての責務です。そのためのAI活用はまさに“裏方としてのAI”の領域といえるでしょう」(柳原氏)

コストセンターからプロフィットセンターへの転換を支援

 日本のWebexプラットフォームを支えるクラウドインフラは、Amazon Web Services(AWS)の国内リージョンで提供されている。「Webexのクラウドサービスは、堅牢かつ信頼性のあるAWSのクラウドインフラにシスコのテクノロジーを乗せて提供しており、日本でコンタクトセンター事業に携わる方々にご安心いただける品質だと考えています」と柳原氏は話す。

 先行してサービス提供する米国やオーストラリアでは、金融、医療、政府機関を含め幅広い業種・業態での導入実績がある。日本国内でも製造業、旅行業、IT業などで導入が進んでいる。

 これまでコンタクトセンターは“コストセンター”として見られがちだったが、サービスプロフィットチェーンの考えに基づけばCX向上のための“経営資源”と言っても過言ではない。「繰り返しになりますが、CX向上と業務効率だけでなく、EXおよび従業員の満足度をどう高めるかが、コンタクトセンター構築においては重要です。われわれもWebexプラットフォームをサブスクリプションサービスとして提供する中で、お客さまの声を反映して付加価値を徐々に足していき、より満足していただけるサービス提供を目指します」(濱田氏)

集合写真

コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2024 in 東京に出展します!


2024年11月21日(木)、22日(金)に、サンシャインシティ・文化会館ビルにて開催されるイベント「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2024 in 東京」に、シスコが出展します。ブース番号「2A-11」にて、お待ちしております。

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