「IT人材不足」が叫ばれるようになって久しい。国内のIT企業やSIerが限られた数のエンジニア人材の争奪戦を繰り広げる中、近年ではDX推進のためにシステムの内製開発に乗り出す事業会社も増えており、優れたIT人材の獲得競争は今後ますます激しくなると予想される。
いざ人材を募集してみても「要件に合致する人材が見つからない」「応募者のスキルやポテンシャルをなかなか見極められない」ということもある。かつてはエンジニア人材といえば「理系出身」というイメージが強かったが、近年は文系出身のエンジニアや、非エンジニア職からの転職者も増えている。人材不足を補う上でこうした存在は心強い半面、やはり修学経験や実務経験の裏付けが乏しい点は不安材料だといえよう。
そんな中、エンジニア未経験者を正社員として雇用し、3カ月の厳しいトレーニングを施して開発スキルを徹底的にたたき込んだ上でクライアント企業の開発現場に派遣し、IT人材不足の解消に貢献してきたのがITエンジニア派遣事業を営むラクスパートナーズだ。
同社は、
という「3つのR」で顧客のIT課題を解決することをうたい、これまで数多くの実績を積み上げてきた(これまでの取引先企業数は700社以上)。同社のビジネスモデルの実態はこれまで別の記事(「関連記事」を参照)でも紹介してきたが、今回は同社で実際に働くエンジニア3人に登場いただき、本当に未経験からITエンジニアにキャリアチェンジして活躍できるのか本音で語ってもらった。
登場いただくのは、ラクスパートナーズの正社員で、クライアント企業の開発現場で派遣エンジニアとして働く3人の現役エンジニア。1人はエンジニア歴16年のベテラン開発者、桐野哲生氏。もともとは独立系ソフトウェア企業で受託開発や客先常駐型の派遣エンジニアとして働いていたが、2014年にラクスパートナーズに転職、通算約10社のクライアント企業の開発現場で主にバックエンド開発に携わっている。
2人目は、地方銀行の営業職を4年半勤めた後にラクスパートナーズに転職し、現在は派遣先の開発現場でリーダー的な役割を担っている中堅エンジニアの森塚太郎氏。そして3人目は、動物病院の動物看護師やペットショップのコールセンター勤務からラクスパートナーズに転職し、派遣先の現場で奮闘する内田七虹氏。
森塚氏と内田氏は非エンジニア職からの転職だが、もともとエンジニア職に興味があり、将来の転職を見据えて自発的にプログラミングの学習に励んでいたという。
「ITエンジニアへのジョブチェンジを意識するようになり、当時はやり出していたプログラミングスクールに通ってプログラミングを経験したところ、楽しさややりがいを見いだせたので、本格的に転職を志すようになりました」(森塚氏)
「前職では『Microsoft Excel』を使った現場業務の効率化を自発的に行い、その効果を実感できたことから『もっと開発スキルを磨いてより多くの企業の業務効率化に貢献してみたい』と考え、エンジニア職への転職を目指すことにしました。Javaの開発エンジニアである夫の勧めもあり、自主的にJavaの学習を始めました」(内田氏)
そんな両氏がエンジニアとしてのキャリアの入り口に選んだのが、非エンジニア職出身者を独自の研修プログラムで短期間のうちに一人前のエンジニアに鍛え上げることをうたうラクスパートナーズだった。同社の研修プログラムは内容の充実ぶりとともに、その厳しい指導方針から「地獄のトレーニング」と揶揄(やゆ)されることもある。
トレーニング内容は採用時の職種によって異なっており、「Web開発エンジニア」として採用された森塚氏と内田氏が受けたトレーニングは、まずJavaのプログラミングの学習やアルゴリズムの演習課題から始まる。それらが一通り完了した後は、Javaの開発フレームワークを用いた実践的なアプリケーション開発の手法を学ぶ。最後に締めくくりとして、それまで学習したスキルを総動員して、他のメンバーとチームを組んで協力し合いながら仮想のECサイトを一から開発する。
わずか3カ月の間に実務で通用するレベルの開発スキルを詰め込むとなると、参加者はかなりハードな学習を強いられるのではないかと想像してしまうが、森塚氏は厳しさよりもむしろ「楽しさ」の方が先に立ったと振り返る。
「私はもともとクイズやゲームが好きなのですが、研修で出された課題を解くのはまるでゲームや謎解きに挑むようで、個人的にはとても楽しめました。ただし、かつて通っていたプログラミングスクールの講義とは違って、本質的な部分を理解できないとその先のステップに進めないようになっているので、分からないことはその都度講師に質問したり自分で調べたりして、必ずその場で理解しなくてはならない緊張感はありましたね」
内田氏も、もともとJavaに関する基本的な知識はあったものの、フロントエンドやSQLなどの技術については全く予備知識がなく、ともすると周りに置いていかれそうになる場面もあったそうだ。しかし、同じトレーニングに参加している同期のメンバー間で互いに得意分野を教え合うなどして、キャッチアップするよう努めたという。
「周りには私とは逆に、バックエンドは苦手だけれど、フロントエンドについては予備知識があるという同期がいたので、お互いに教え合ったり、講師に教えてもらったりしながら何とか最後まで付いて行くことができました」
ちなみに桐野氏がラクスパートナーズに入社した頃は、まだ現在のようなトレーニングメニューはなく、もともとエンジニアとしての経験が豊富だったため、短期間の研修を経てすぐに開発現場にアサインされたそうだ。現在はトレーニングを卒業したばかりの新人エンジニアと同じ現場で働く機会もあり、その成果を実感する場面も多いという。
「3カ月間のトレーニングでは、単に技術スキルを学ぶだけでなく、チーム開発演習を通じて実際の開発プロセスや、そこでのコミュニケーションの重要性を学べるので、すぐに現場になじめる人が多いなという印象を持っています」
特に「コミュニケーション力」は、現場で仕事する上で技術と並び最も重要なスキルであり、自身も常にそれを心掛けながら周囲とのコミュニケーションに気を配っていると桐野氏は語る。
「実際の開発業務では必ず何らかの壁にぶつかるものですし、一人で問題を抱え込んでしまう人も少なからず存在します。しかし周囲と普段から密接にコミュニケーションをとっていれば、困ったときに自然と周りが助けの手を差し伸べてくれますから、実務においてコミュニケーション力はとても重要だと思います。ラクスパートナーズのメンバーはこのトレーニングで協働する訓練をしてきたからか、コミュニケーション力の高い人が多いと感じています」
一方、ラクスパートナーズ社内でも、社員がお互いに困りごとを相談し合える仕組みを設けているという。「ブラザー&シスター制度」というメンター制度で、1年目の社員に対して2、3年目の先輩社員が「ブラザー」「シスター」という名のメンターとして個別に付き、キャリアや業務上の悩みの相談に乗ってくれるというものだ。
エンジニア2年目の内田氏は、先輩エンジニアのメンターと月に1回面談しており、「初めての現場で右も左も分からない状態だったのですが、現場の方々とのコミュニケーションの取り方や、現場にアサインされた後の勉強のモチベーションの保ち方など、さまざまなことの相談に乗ってもらいました」という。
一方、森塚氏は現在メンターとして1年生エンジニア5、6人の相談に乗る立場にある。「現場にアサインされた直後は『何が分からないのかが分からない』という状態だった人が、徐々に業務に関する具体的な質問や相談を投げ掛けてくるようになり、着実に成長していると実感できることにとてもやりがいを感じています」とメンター制度の効果を語る。
森塚氏は現在、クライアント企業のB2C(Business to Consumer)サイト開発プロジェクトにおいて、開発チームのリーダー的立場を任されている。派遣エンジニアの立場でありながら、他の若いプロパーエンジニアを取りまとめる役目を自ら買って出たという同氏のモットーは、「プロパーには負けない」だ。
「派遣エンジニアの中には『しょせん派遣だから責任や権限を与えてもらえない』と言う人もいるのですが、私の経験を踏まえると決してそんなことはなく、派遣であっても責任ある仕事を任せてもらえます。これからも『派遣だから』『プロパーだから』という意識は持たず、むしろプロパー以上の意識と責任を持って仕事に取り組み、将来的にはマネジメントのスキルも磨いてプロジェクトマネジャーとして活躍できるようになりたいと考えています」
内田氏も、将来的にはより広い範囲の開発業務を任せられるようになりたいと、今後のキャリアプランについて思いをはせる。
「現在はデータマーケティング企業でSQLを使ったデータ抽出の仕事に携わっているのですが、今後はシステム開発の知識をもっと深めて、将来的には上流工程から構築、運用までをこなせるエンジニアになりたいです」
ベテランエンジニアとして既に幅広い開発スキルを身に付け、これまでに約10社のクライアント企業の開発現場を経験してきた桐野氏は、「人の役に立つこと」がこれまでも、そしてこれからもエンジニアの仕事を進める上での最大のモチベーションだと語る。
「正直に言うと技術そのものにはさほど興味はなくて、それよりも技術を使ってお客さまやユーザーの困りごとを解決して、その結果人や社会の役に立つことにやりがいを感じています。技術はあくまでも課題を解決するための“手段”であり、決して“目的”ではないことを念頭に置きながら、これからもお客さまのIT課題の解決に取り組んでいきます」
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提供:株式会社ラクスパートナーズ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2024年12月25日