グローバルなビジネスシーンでは英語によるコミュニケーションが不可欠だ。グローバル化がさらに進めば英語が求められるシーンはますます増えるだろう。ITmedia ビジネスオンライン編集部も例外ではない。情報ソースを翻訳したり海外向けの提案資料を用意したりするなど、英語力が必要な業務も存在する。
言語の壁を気にせずにスムーズにやりとりができれば業務の生産性向上、さらには企業の競争力強化にもつながる。しかし「英語が苦手で、そう簡単にはいかない」「英語で書いてあることは何となく分かるけど適切な表現が難しい」という読者は多いだろう。そこで注目すべき翻訳サービスが「DeepL Pro」だ。果たして英語を苦手とするビジネスパーソンの救世主となるのか、編集部で実際に試した結果をレポートする。
DeepL Proは、33言語(2024年12月時点)に対応する無料の翻訳サービス「DeepL」の有償版サービスだ。入力文字数の上限がなく大容量ファイルの翻訳が可能など、機能がより拡充されている。複数の料金プランから利用規模に応じて選択できる。
特筆すべきは、2024年7月にリリースした「次世代言語モデル」を搭載している点だ。これは長年にわたって蓄積したDeepLの独自データを活用して言語翻訳・文章校正に特化したLLM(大規模言語モデル)で、より精度の高い翻訳が可能になった。有償版はファイル翻訳でWord、PowerPoint、PDFに加え、Excelファイルやテキスト、HTMLファイルなどにも対応していて利便性も高い。
セキュリティ面の対策も安心だ。DeepL Proを利用した場合、使用後は全ての入力データが削除され、AIの学習には使用されない。生成AIを活用した無償ツールが多数登場したことに伴ってAI経由での情報漏えいを懸念する声も少なからずあるが、DeepL Proならばこの点をクリアできる。より正確性が求められる機密情報の翻訳もセキュアな環境で利用できる点はポイントが高い。
まずは英語から日本語への翻訳だ。アイティメディアの英語版Webサイトのサービス紹介の部分を翻訳してみる。英語のテキストを入力すると、すぐに日本語が表示された。日本語として自然な単語になっており意味は通じる。サービスの固有名詞や細かい表現はいくつか調整が必要な場合もあるが、ほぼこのまま利用しても問題ないクオリティーだ。
さらに細かな調整も可能だ。翻訳後のテキストにマウスオーバーすると代替語の提案が表示される。違和感がある言い回しや単語があれば、提案されたリストから選択して入れ替えていけばよい。気になる単語があったときに「どう言い換えればよいのか」「元の単語から意味が変わってしまわないか」など逐一調べる必要がなく、訳文の調整まで効率的に進められる。
続いてファイル翻訳を試す。日本語で書かれた媒体資料のPDFをアップロードしてみた。ファイルをアップロードして2〜3分待つと、翻訳されたファイルをダウンロードできた。ファイルを開くと全テキストが英語に翻訳されている。文字数や文字サイズなどによってレイアウトが若干崩れているところはあるが、再現度はかなり高い。
資料からテキストをコピー、ペーストして翻訳する必要がなく、さまざまな拡張子のファイルを丸ごと翻訳できる。プランによってファイルサイズに上限はあるものの、より能率的に翻訳作業を進められる。
英語のニュアンスも自然だ。ネイティブレベルの同僚に翻訳した英語版資料を確認したところ「表現も文法も違和感がない」という評価を得た。原文の意味やニュアンスが正しく伝わるかどうかの確認と調整は必要だが、英語でやりとりする際もDeepL Proは大きな助けになるだろう。
注目したい機能が「用語集」と「用語集ジェネレーター」だ。用語集は、ビジネスに必要な専門用語やサービス名、企業名などを登録することで翻訳の精度を高められる。登録された用語を検索して単に置き換えるだけでなく、前後の文脈を理解した上で大文字/小文字、時制などの文法要素を適切に処理し、自然に翻訳する。
用語集は翻訳業務で利便性の高い機能だが、手作業で用語を登録する必要がある。そこで役立つのが2024年9月に登場した、高性能なAIを搭載している用語集ジェネレーターだ。翻訳前・翻訳後のファイルをセットでインプットすると、翻訳ルールを自動で抽出して用語集を作成できる。
ITmedia ビジネスオンラインの媒体資料の日本語版(翻訳前)と英語版(翻訳後)をアップロードすると「ITmedia ビジネスオンライン/ITmedia Business Online」「保証PV/guaranteed PV」「広告料金/advertising fee」など日本語と英語が対になった単語のペアが表示される。後は必要に応じて単語を編集して用語集として登録すれば、以降は用語集に従って翻訳されるため精度が向上する。
DeepL Proは、アカウントにログインすれば、Webサービス、デスクトップアプリ、モバイルアプリ(iOS/Android)など、さまざまなインタフェースで利用可能だ。これらに加え、ブラウザの拡張機能もDeepL Proにログインした状態で利用できる。ブラウザに拡張機能を追加すると、Webサイトで分からない単語や文章が出てきた際にDeepL Proのサイトを開かなくてもその場でサッと翻訳できる。ブラウザでテキストを選択するとDeepLのアイコンが表示されるので、それをクリックするだけという手軽さだ。翻訳した文章がポップアップですぐに提示される。これならば英語のWebサイトでもスムーズに情報を収集できそうだ。
便利なツールはブラウザの拡張機能だけではない。Microsoft 365のアドインも提供されている。WordやPowerPointといったOfficeアプリにDeepLの機能を追加して、直接翻訳できる。リボンメニューに追加された「DeepLの使用を開始」をクリックするとアドインが立ち上がるので、テキストを選択して翻訳を実行するだけだ。完成した文章をWordに反映させる(元の文章と置き換える)ことも可能だ。毎回ブラウザを立ち上げて入力・翻訳し、結果をコピーして……というフローが必要なく、かなりの業務効率化になるだろう。無償版でも利用できるが、ビジネスでの利用では有償版にログインしてDeepL Proの利用がお薦めだ。
2024年11月に音声翻訳サービスの「DeepL Voice」を発表したことは記憶に新しい。DeepL VoiceはWeb会議や対面で効率的なやりとり、迅速な進捗を叶えるリアルタイムの音声翻訳ソリューションだ。現在は法人顧客のみの提供だが、海外チームとの会議でもそれぞれの得意な言語で瞬時に理解し合えるので、関係性を深化させる助けになるだろう。
DeepLが活躍するのはPCだけではない。モバイルアプリも提供しており、スマートフォンでも手軽に利用できる。モバイルアプリは通常のテキスト翻訳、ファイル翻訳以外にOCR翻訳機能があり、画像から文字を読み取って翻訳できる。アプリからカメラを起動し、対象を撮影してそのまま翻訳できる他、スクリーンショットの範囲を指定して翻訳することも可能だ。
アイティメディアの英語版Webサイトのスクリーンショットをアップロードすると、下図のように表示された。それぞれ英語が表示されていた部分が日本語に置き換えられている。出先などでスマートフォンを使って業務をする際、モバイルアプリがあればPCと変わらずに作業できるのはうれしいポイントだ。
「DeepL Write」は英語を含む6言語のメールや資料などの文書作成をサポートする。例えば、顧客からの問い合わせに対して資料を送付するメールを英語で作成するとしよう。日本語の文章をDeepLに入力して英語に翻訳して、そこからDeepL Writeに入力すれば適切な表現に調整できる。DeepL Writeは文体(「一般」「ビジネス」「学術」「カジュアル」)か、トーン(「熱意を伝える」「フレンドリー」「自信を感じさせる」「丁寧」)を設定でき、細かなニュアンスまで調整しつつ利用シーンにマッチした文章を作成できる。DeepL Writeによって変更した箇所は色付きで表示されるため、どこがどう変更されたのかを確認しながら最適な文章に推敲(すいこう)できる点はメリットだ。
DeepL Proを実際に試して何よりも驚いたのはそのスピードだ。テキスト翻訳は入力後すぐに翻訳が表示され、待たされる感覚は一切なく精度も高い。「プロモーション」「リードジェネレーション」など日本語で一般的に片仮名を使う用語を無理に訳した結果、何を指しているか分からなくなってしまうこともなく、そのままでも十分使える訳文が提示されたという印象だ。
ブラウザの拡張機能やMicrosoft 365へのアドイン、モバイルアプリといったさまざまな使い方も用意されているため、あらゆるシーンで手軽に翻訳できる点もポイントだ。WebサイトだけでなくWordやPowerPointの文書でも、英語の文章や単語で分からないものがあれば「取りあえずDeepL Proで翻訳」と思えるほどスムーズな使い勝手だった。英語コミュニケーションで、分からない文章や単語を調べるという手間を一気に解消するDeepL Proがもたらす効果は大きいだろう。
現在、DeepL Proを無料で利用できるキャンペーンが展開されている。セキュリティ面も配慮し、長文の翻訳や文章作成にも対応するなどビジネスユースに適したDeepL Proを実際に試す絶好のチャンスだ。気になる方はこの機会に試してみてはいかがだろうか。
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提供:DeepLジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2024年12月26日