100TB、1億1000万個以上の大量ファイルをBoxにスピード移行 農林中金が実行できたワケ

PR/ITmedia
» 2025年03月14日 10時00分 公開
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 豊富なセキュリティ機能やガバナンス管理機能、使い勝手に優れるユーザーインタフェース故に多くの日本企業に活用されているクラウドストレージサービス「Box」。特に大企業ユーザーの高い信頼を勝ち得ているサービスだが、大企業ならではの運用の苦労も多いと聞く。

 その最たるものの一つが「データ移行」だ。Boxを導入する際、それまでファイルサーバで管理していた大量のファイルをBoxに移行するために多くの手間と時間を要し、それが導入を阻む障壁になることもある。

photo MISOLの住田豊英氏

 「データ移行作業は単にファイルサーバからBoxへファイルを移すだけのことなので、それ自体に付加価値はありません。そのためできるだけ短時間で、かつ手間をかけずに済ませたいところです。しかし大企業は大量のファイルを保有しているため、通常の移行方法では多くの手間と時間がかかってしまいます」

 こう語るのは、丸紅I-DIGIOグループの丸紅ITソリューションズ(以下、MISOL)の住田豊英氏(カスタマーサクセス事業部 カスタマーサクセスマネージャ)。ファイル転送はネットワーク帯域を少なからず消費するため、大量のファイルを一気に転送しようとするとネットワーク帯域を圧迫してしまい通常業務に悪影響を及ぼしかねない。

 Boxの代理店としてこれまで数多くの企業を支援してきたMISOLでも、自社グループでこうした課題に直面することが多かった。そこで解決策として、独自開発したツール「Rocket Uploader」を2019年にリリースした。

photo MISOLの横山光氏

 同社の横山光氏(プロダクト事業部 エンジニアリード)によると、Rocket Uploaderはそれまでのファイル移行にまつわる課題をまとめて解決できるツールとして、多くのユーザー企業から好評を博しているという。

 「Boxへのファイル移行を迅速に行うには、IT管理者が並行してアップロード処理をする必要があります。通常はこれを複数の端末で行う必要があり、アップロードジョブの管理などにかなりの手間を要します。その点Rocket Uploaderは1台の端末だけで高速にアップロードできる仕様です。直感的なユーザーインタフェースでジョブの実行状況を一元管理できるので、アップロード処理を高速かつ効率的に実行します」

 ログ機能も充実している。転送処理が失敗した際は「どのファイルが、どんな理由で失敗したか」をリストアップするため、全てのファイルを確実に漏れなく移行できる。転送レートの上限を曜日や時間帯ごとに指定できるので、「平日の日中は転送レートを抑えて、夜間や休日はネットワーク帯域を最大限に使って転送する」といった帯域制御を行えば業務への影響を最小限に抑えることが可能だ。

photo Rocket Uploaderならジョブ管理が容易かつ移行スケジュールも組みやすい(出典:MISOL提供資料)

Rocket Uploaderを使って大量ファイルを高速移行した農林中金

 こうしたRocket Uploaderの特徴を生かして、オンプレミスのファイルサーバから大量のファイルを短期間でBoxに移行したのが農林中央金庫(以下、農林中金)だ。農林中金は2022年にBoxを導入して、社内システムやさまざまなワークフローを構築できるクラウドサービス「ServiceNow」をはじめとした各種SaaSとAPI連携させながら、コンテンツの統合的な管理プラットフォームとしてBoxを活用してきた。

 2024年からは用途を拡大して「Microsoft Teams」(以下、Teams)上のファイルをBoxで統合管理するにあたり、「Microsoft SharePoint」(以下、SharePoint)で管理していたTeamsのファイルをBoxに移し、データをより柔軟かつセキュアに管理できるようにした。取り組みが一段落した後、農林中金はファイルサーバで管理してきた100TB、1億1000万個以上のファイルを全てBoxに移すことを決めた。

photo 農林中金の千田夏皓氏

 移行を決めた背景について、農林中金の千田夏皓氏(IT統括部 DX共創グループ)は次のように説明する。

 「似たようなフォルダやファイルがTeamsやファイルサーバなどに散在していたため、システムやサービスを跨ってファイルを探索する必要があり、多くの手間がかかっていました。ファイルを全てBoxで一元管理することで情報の正確性を担保するとともに、検索性を向上させることで業務効率のアップも図れると考えました」

 SharePointからBoxへの移行にはBoxが提供しているファイル移行ツール「Box Shuttle」を使ったため、ファイルサーバからの移行にもこれを使うつもりでいた。しかしBox Shuttleの仕様を詳しく調べたところ農林中金が運用していたプロキシとの親和性に課題があり、これをクリアするためには多大な開発工数を要することが判明した。

 そこでBox Shuttle以外のツールを視野に入れ、複数の製品を比較検討した。最終的に、全ての要件を満たす移行ツールとして採用したのがRocket Uploaderだった。

100TB、1億1000万個以上の大量ファイルをBox移行

 Rocket Uploaderを使ってファイルサーバのファイルをBoxに転送してみたところ、「期待以上のパフォーマンスを発揮してくれました」と千田氏は話す。

 「事前にPoC(概念実証)を行ってパフォーマンスを評価した上で採用しましたが、本番環境でもファイルを高速に転送できました。Box ShuttleでSharePointのデータを転送した際は10台のPCを使って並行処理しましたが、Rocket Uploaderは1台のPCで同等以上のパフォーマンスを発揮しています」

 マニュアルが充実しているため、利用方法もすぐに習熟できたという。利用するうちに不明な点も出てきたが、MISOLのサポート窓口にその都度問い合わせて回答を迅速に得た。操作に迷うことは無く、トラブル対応による作業中断もほとんどなかったと千田氏は振り返る。

 「Rocket Uploaderは、操作性やログのフォーマットなどが極めてユーザーフレンドリーに作られていると感じました。徹底的にユーザー視点に立って作られたツールだという印象を持っています」

 こうして農林中金はRocket Uploaderを使って部署単位でファイルサーバのデータを段階的にBoxに移行。通常業務に影響を与えることなく、半年強で1億1000万個以上の大量ファイルの移行を無事完了した。

 完了後は、散在していたファイルをBoxで一元管理できるようになり検索の手間が大幅に減ったことで業務効率が目に見えて向上した。今後はBoxの導入効果をさらに引き出すために、周辺のアプリケーションやSaaSとのAPI連携を推進。社内向けアプリケーションや社外向けポータルサイトからユーザーがBoxの機能にシームレスにアクセスできる仕組みを実現したいとしている。

 近年注目を集めている生成AIの機能も積極的に取り込み、Boxに集約したファイルの価値をさらに高めたいと千田氏は抱負を語る。

 「社内のあらゆるヘルプデスク業務に相応のリソースをかけている状況のため、対策として生成AIを利活用できないか検討を進めています。規定やマニュアルなど複数のファイルに跨って横断的に探索や要約ができる『Box Hubs』の利用も視野に入れつつ、より高度なRAG(検索拡張生成)の仕組みを持つソリューションと『Box API』を組み合わせて、精度の高い回答が得られることを期待しています。

 農林中金では社内の稟議や申請といった汎用ワークフローをServiceNowで開発し、エビデンスをBoxへ自動連携することで文書管理を高度化させました。この取り組みは金融機関をはじめ、他業界からも注目を集めて多数の反響を頂いています。農林中金が実現したコンテンツ管理の中心にBoxを活用するユースケースやServiceNow連携の取り組みは、多くの日本企業で再現性があるものです。このノウハウを提供するスキームとして、2024年12月からMISOLと提携し、Boxの代理店として活動中です。われわれのサポートが多くの企業にとって役立つことを願っています」

Boxの最新機能に対応しながらアップデート

 大量ファイルの移行作業では往々にして、移行中に発生したファイル更新の内容を最後に反映させる「差分移行」の作業が長期化してしまうことが多い。しかしRocket Uploaderは独自の技術によって差分移行を短期間で完了できるため、農林中金も最小限の手間と時間で本番リリース直前の差分移行作業を終えることができた。

photo MISOLの伊藤巧氏

 MISOLの伊藤巧氏(Box事業部 テックリード)によると、農林中金以外にも多くの企業ユーザーがこの差分移行の機能に助けられているという。

 「一般的に差分移行を行うためにはファイルの差分を検出する必要があり、そのために多くの手間と時間が必要なケースがあるようです。一方でRocket Uploaderは差分移行にかかる時間が非常に短いとお声をいただいています。差分移行はファイル移行作業の最後に行うため、ここが長引いてしまうと本番リリースのスケジュールにも影響が及んでしまいます。Rocket Uploaderならば速やかに作業を終えられるため、多くのユーザーから『とても助かっている』という声を頂いています」

 他にも、ファイルの移行先やメタデータの移行などに関する情報をCSVファイルにリストアップしておき、これをRocket Uploaderに読み込ませておくことで各種パラメーターを一括定義できる機能も多くのユーザー企業が重宝している。一部からは「メタデータのアップロード機能をもっと使いやすくしてほしい」という要望も寄せられており、MISOLは製品アップデートを続ける予定だ。

 「Rocket Uploaderはリリースして5年がたち、その間に行われたBoxの全アップデートに追随できているわけではありません。Rocket Uploaderのリリース当初はBoxで使えなかった記号や文字も現在では使えるようになっています。今後もBoxのアップデートにRocket Uploaderを対応させながら、より便利で使いやすいツールへと進化を続けていきます」(横山氏)

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