そのBCP、実効性はありますか? 「リスク対策.com」編集長に聞く災害対策の基礎編能登半島地震の教訓

PR/ITmedia
» 2025年04月07日 10時00分 公開
PR

 「毎年のように地震、津波、風水害・土砂災害等の自然災害が発生している。(中略)水害・土砂災害の激甚化・頻発化、南海トラフ巨大地震・首都直下地震等の巨大地震の発生等も懸念されることから、自然災害対策の重要性はますます高まっている」――これは「国土交通白書2024」にある記述だ。

 2024年を振り返ると、1月1日に発生した能登半島地震に始まり、地震や豪雨、台風などさまざまな自然災害が発生した。2025年になって数カ月のうちに雪害や山火事などが起きている。この場を借りて、被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方やそのご家族に心よりお悔やみ申し上げたい。

 災害の発生が今後も想定される中、災害がビジネスに及ぼす影響を抑えるための「事業継続計画」(BCP)の策定に取り組む企業が増えている。危機管理やBCPの専門メディア「リスク対策.com」の編集長を務める中澤幸介氏は次のように説明する。

 「BCPの策定率が高まっていますが、実効性が高いとは言えないケースがあります。例えば、災害が起きた際に『停電する』ことまでは予想できても、『だから何が、どの程度の期間使えなくなり、それに対して何をどのくらい準備する必要があるのか』検証する段階に至っている企業は少ないと思います」

 企業はBCPの実効性をどう向上させればいいのか。被災地支援に取り組むポータブル電源メーカーのJackery Japan(ジャクリ ジャパン)の担当者と中澤氏を取材した。

photo リスク対策.comの編集長を務める、新建新聞社の中澤幸介氏(専務取締役 危機管理メディア事業部 部長、博士(環境人間学)/兵庫県立大学客員研究員)

BCPの実効性に課題 北海道胆振東部地震や道路陥没事故の教訓は

 能登半島地震を現地で取材した中澤氏は大企業の災害対応レベルは着実に向上しているとして「1月1日の発災にもかかわらず対策本部の設置や被害状況の確認を規定通りに行えたことは、東日本大震災以降に取り組んできた成果と言えるでしょう」と分析する。

 内閣府の「令和5年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」では、「BCPを策定済み」と答えた大企業は全体の約76%に上り、策定中や策定予定を含めると約96%に達した。一方で、過去に災害に遭遇した企業への質問では「BCPが役に立ったかわからない」「役に立たなかった」との回答もあった。自由記述欄には「受けた被害(水害)がBCPで想定していた内容(大規模地震)とは異なった」「間接被害まで想定した内容ではなかった」などの声が寄せられた。能登半島地震でも、中小企業をはじめ、比較的大きな企業や自治体でも基本的な防災ができておらず、甚大な被害に遭ったところも少なくなかったと中澤氏は見る。

 「事業継続には、大企業だけではなく、サプライチェーンでつながる中堅・中小企業の対策が重要です。また、大企業であっても、人事異動などで担当者が変わって『BCPの中身を知らない』『BCPの通りに動けるか分からない』ということもあり得ます。BCPの策定が目的になり、継続的な見直しや訓練が行われていないと実効性が低下するので注意が必要です」(中澤氏)

 BCPの実効性を上げる上で、中澤氏は「まず、災害時の状況を想定するイマジネーションが足りていない」と指摘する。2018年に起きた北海道胆振東部地震では、道内全域が停電する「ブラックアウト」が発生した。停電や通信途絶を想定して備えていた企業でも、「発電機はあったのに騒音がひどいから夜間は使えなかった」「発電機にオイルを入れる必要があることを知らなかった」「衛星電話の使い方が分からなかった」という声があったという。

 2025年1月に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故では、地中の通信ケーブルが断線したことで周辺地域のインターネット利用に影響が出た。スマートフォンをテザリングに切り替えればインターネット通信は使えると考えていた企業もあったが、モバイル回線の利用が集中して通信速度が低下し、ほとんど使うことができなかったという。ポケットWi-Fiやホームルーターを使おうにも、災害時にスムーズに契約できるとは限らない。「被害に対応できると安易に考えるのではなく、考えている対応策が本当に機能するのか、何度もシミュレーションし、検証してみることが大切」だと中澤氏は話す。

そのPC、災害時に何時間動かせる? 「お守り主義」からの脱却方法は

 通信や電気といったライフラインを用意しておくにはどうすればいいのか。能登半島地震の被災地で役立ったのがポータブル電源だ。ポータブル電源は“携行性に優れた蓄電池”というイメージで、充電した電気を使って家電やオフィス機器を動かせる。家庭にもある一般的なACコンセントやソーラーパネルから充電可能だ。10年以上にわたってポータブル電源やソーラーパネルの製造を手掛けるJackery Japanは、能登半島地震の被災地にポータブル電源やソーラーパネルを無償提供した。発災当日に社内調整をして、ヘリコプターなどを使って数日で現地に届けたと同社の山本浩之氏は話す。

photo Jackery Japanの山本浩之氏(法人営業部 マネージャー)

 「ポータブル電源とソーラーパネルを約260台提供しました。当初は本体だけ渡していましたが、充電が底を突くと使えなくなってしまいます。再充電するために発電機を回そうにも燃料がない場合もあるので、太陽光発電で充電できるソーラーパネルも同梱(どうこん)しました」

 ソーラーパネルを使うことで、雪や曇りの日でもスマートフォンを数台充電できるだけの電力を賄えた。Wi-Fiルーターや衛星インターネットサービス「Starlink」の電源としても有用だったという。

photo 輪島市門前町の避難所に提供したポータブル電源。Starlinkと接続している(提供:Jackery Japan)

 自然災害が相次ぐ中、ポータブル電源の需要が高まっている。Jackery Japanへの問い合わせが増えたが、「従業員が10人いる事業所に適したモデルはどれ?」など大ざっぱな相談をする企業もあると山本氏は明かす。

 「ロジカルに災害対策を考えることが苦手な企業が多いという印象があります。どの機器を何人で何時間使うのかを想定することで、災害時に必要な電力量を割り出せます。『あればいい』という『お守り主義』的な考え方が根強く、いざというときに役に立たないことがあります」(中澤氏)

 中澤氏がある企業の災害訓練を支援した際、停電時と同じ状況をつくって非常用バッテリーを使いながらワークショップを行うと、約2時間で充電残量がなくなったという。「BCPで『3日以内に復旧』と掲げていても、手元のPCが数時間しか使えないのではお手上げです。お守り主義から脱却して、具体的に検討する必要があります」

 災害時に必要な電力を概算でもいいので計算しておくとよい。まずは利用する電気機器を洗い出す。最低限必要なPCの台数を数えることはもちろん、「コーヒーメーカーは不要」など取捨選択することも大切だ。次に電子機器の消費電力(W)を確認する。最後に利用時間を掛け算すると必要な電力量(Wh)が分かる。消費電力が40WのノートPCを4時間使うなら「40W×4時間=160Wh」だ。電力量を満たすポータブル電源を用意しておけば、非常時の電源を確保できる。

 Jackery Japanが試算すると、従業員10人の小規模オフィスにおける1日に最低限必要な電力量は約2350Whになる。冬や夏など季節ごとに必要な製品が変わる点に留意が必要だとして、想定の電力量よりも上振れする可能性があるのでポータブル電源を使う場合はテスト運用してみるとよいと山本氏は補足する。

photo Jackery Japanの試算結果(提供:Jackery Japan)

10年間使えるポータブル電源がビジネスを支える

 BCPなどビジネスニーズに応えるべくJackery Japanが2025年3月に発表した最新モデルが「Jackery ポータブル電源 3000 New」だ。企業や官公庁からの引き合いが多かった旧モデルをリニューアル。定格容量は3072Whなので、80WのノートPCを約31回満充電にできる。同製品だけで10台のPCを6日間使える計算だ。冷蔵庫やTVの長時間使用はもちろん、消費電力が大きい電子レンジやエアコンなども動かせる。

 一般的な電源コンセントと同じAC出力ポートを5口、USBのType-AおよびType-Cの出力ポートを2口ずつ備えている。サイズは41.6(幅)×32.5(奥行き)×30.5(高さ)センチで、大型のクーラーボックスをイメージするとちょうどいい。重量は約27キロなので、大人なら1人でも持ち上げられる。

photo Jackery ポータブル電源 3000 Newと「ソーラーパネルJackery SolarSaga 200」。家電などを動かせるパワーを備えている

 電気自動車の電池に使われている技術「CTB」(Cell to Body)を採用することで、小型化と耐久性の向上に成功。劣化しにくい「リン酸鉄リチウムイオン電池」を使っているので、充電と放電を約4000回繰り返せるという。365日使っても10年間は利用できることになる。

 「1年間放置していても自然放電率は約5%にとどまるので、長期保管に適しています。『いざというときに動かない』という事態を防ぎますが、3カ月に1回の動作確認を推奨しています」(山本氏)

 「どのような製品でも、少なくとも1年間に数回は見直した方がいいでしょう。9月1日の『防災の日』に点検するなど決めるといいかもしれません」(中澤氏)

 山本氏は「購入後はそのままにするケースが多い」とした上で、普段使いしてほしいと訴える。平常時と非常時を区別しない「フェーズフリー」という考え方があり、日常的に製品やサービスを使うことでいざというときに慌てず有効利用できるようになる。Jackey Japanのポータブル電源の中にはフェーズフリー協会の「フェーズフリー認証」を取得しているモデルもある。

 Jackery ポータブル電源 3000 Newは「パススルー機能」「UPS機能」を備えているので、電源コンセントと電子機器の間に接続すればポータブル電源を充電しながら電子機器を使える。停電時には0.02秒以内にポータブル電源からの給電に自動で切り替える。フェーズフリーの実践につながるだろう。ポータブル電源の充電具合や残量は専用のスマートフォンアプリで確認でき、充電時間を指定することも可能だ。

「本当に使えるのか」を確認 日常的な備えを

 ポータブル電源を含む災害対策において「本当に使えるのか」を確認することが重要だと中澤氏は繰り返し強調する。知識とモノはあっても使えないという事態にならないように、誰でも使えるように基本的な使い方を習得するとともに、電力量を計算してみる、ポータブル電源を日頃から使ってみる、などの備えが必要だ。

 山本氏は「ポータブル電源の使い方が分からない人もいる」として、停電体験会や子ども向けの講習会を開くなど積極的に活動している。Jackery JapanのWebサイトで利用方法や選定ポイントを発信しているので、チェックしてみてはいかがだろうか。

 BCPを策定しているとはいえ、その中身が実効性に欠けていては意味がない。「どのような状況で何が必要なのか」、イマジネーションを働かせながら見直してポータブル電源などを準備するのがいいだろう。

photo
Jackery ポータブル電源 3000 New
定格容量 3072Wh
定格出力 3000W(瞬間最大6000W)
サイズ 41.6(幅)×32.5(奥行き)×30.5(高さ)
重量 約27キロ
バッテリータイプ LiFePO4(リン酸鉄リチウムイオン電池)
入力ポート AC入力×1
DC入力×1
出力ポート AC出力(最大20A)×4
AC出力(最大30A)×1
USB-A出力×4
USB-C出力×2
シガーソケット出力×1

法人のお問合せ:sales.jp@jackery.com


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:株式会社Jackery Japan
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2025年4月23日