「住友商事が年間12億円削減」「大和総研が業務効率化に成功」――AIで成果を挙げられた共通点とは「Microsoft 365 Copilot」活用の成果が続々

PR/ITmedia
» 2025年04月22日 10時00分 公開
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 「AIを導入したいけれども効果が不透明」「AIツールのライセンスを契約したのに利用されない」――こうした課題に悩む企業は多い。AIは利用者の使い方やセンスによって効果に差が出やすいので、定着させるのが難しいことがある。

 この課題を乗り越え、AIアシスタントツール「Microsoft 365 Copilot」の社内普及を成功させたのが住友商事と大和総研だ。AIの利用を浸透させることに成功。住友商事は、業務時間を1人当たり月間約4時間削減させた。大和総研では、業務時間を月間約15時間削減したケースもある中で、用意したライセンス数を上回る利用申請への対応に追われるほど好評だ。

 両社は、AI導入を成功させる「ある手法」を採用した。この手法は日本企業に広く横展開できるものだ。住友商事と大和総研のキーパーソンが集まった交流イベントに参加して、成功の秘策や工夫を聞いた。

photo 交流イベントのワンシーン。参加者たちが活発に意見交換していた

AI×「Officeアプリ」で業務効率化 住友商事と大和総研の使い方は

 暖かい陽気に春の息吹を感じる2025年3月某日、住友商事と大和総研から合わせて約30人が集まったのは、住友商事が運営するオープンイノベーションラボ「MIRAI LAB PALETTE」(東京・大手町)だ。チームラボのアート作品やソファ、観葉植物がある“大人の空間”で、共創によって何かが生まれそうな空気に満ちていた。

 Microsoft 365 Copilotは、Officeアプリケーションで使えるAIアシスタントツールだ。「Microsoft Excel」でデータ分析をする、「Microsoft PowerPoint」でスライドのたたき台を作る、「Microsoft Teams」を使ったWeb会議の議事録を作成する、などの用途で日常業務をサポートしてくれる。

 2025年に50周年を迎えたMicrosoftは、同社の全製品にAIを組み込む方針だ。交流イベントの中で、日本マイクロソフトの鈴木哉さんは「AIと業務データとOfficeアプリケーションが連動することで業務を効率化できます」と説明した。同社によると、国内企業の中でもMicrosoft 365 Copilotの活用方法が特に優れているのが住友商事と大和総研だという。

住友商事:約12億円のコスト削減効果 97%が「来年度も使いたい」

photo 住友商事の浅田和明さん(IT企画推進部 主任)

 住友商事は派遣社員も含む全従業員9000人にMicrosoft 365 Copilotライセンスを付与。月間アクティブユーザーは70%を超える。同社でAI活用を率いるIT企画推進部の浅田和明さんは「Microsoft 365 Copilot利用者へのアンケートで、回答者の97%が『来年度も使いたい』と答えました。同ツールのさらなる定着と業務変革の実現を目指します」と力強く語った。

 「Microsoft 365 Copilotのダッシュボードによると、月間の平均削減時間は1万時間に上ります。時給1万円で計算すると、年間約12億円のコスト削減につながったと言えます」

 総合商社故に多種多様な業務があるが、どの部署もMicrosoft 365 Copilotを重宝しているという。不動産事業を手掛ける従業員は、インターネット検索機能と表計算機能を組み合わせて物件リストの精緻化に活用している。浅田さんは「従来の住友商事にはなかった動きが出てきている」と、発表中ずっと目を輝かせていた。

大和総研:業務時間を月15時間削減 150人以上がライセンス付与待ち

photo 大和総研の田中まりさん(DX推進部 副部長)

 大和総研は、従業員約1800人に対してMicrosoft 365 Copilotを300ライセンス用意して希望者に付与。2024年1月にスモールスタートを切り、利用希望者の増加に合わせてライセンス数を600まで増やした。それでも2025年3月上旬時点で約150人がライセンス付与待ちという人気ぶりに、同社の田中まりさんはうれしい悲鳴だと話した。利用していない人のライセンスを取り消すルールだが、その数は少ないという。

 田中さんによると、利用者の平均的な業務削減時間は月間約5時間で、中には1カ月で15時間も削減した人がいるというから驚きだ。

 「大和総研のリサーチ部門で、レポート作成にMicrosoft 365 Copilotを利用し始めています。下書きの作成や文章のブラッシュアップなどに役立っていると聞いています。一方で『読みたくなるような要約』を作成するのはAIには難しいようで、人がカバーする必要があります」

住友商事と大和総研がAI活用ムーブメントを醸成できた理由

 住友商事と大和総研という、業種も従業員数も違う企業がそろってMicrosoft 365 Copilotの導入に成功したのはなぜか――この問いの答えは、両社が採用した「アンバサダー制度」という手法にある。社内での推進役となるメンバーを育成し、アンバサダーを起点にしてAI利用のムーブメントを現場から醸成する方法だ。

 推進役のことを住友商事は「Copilot Champion」、大和総研は「アンバサダー」と呼んでいる。いち利用者の目線で同僚、部署内、全社に向けてユースケースを発信したり利用者をサポートしたりすることなどが役目だ。「気軽に聞ける隣人」のような存在を社内各所に配置することで活用の機運を高め、AI活用に積極的な企業へと変革するアプローチと言える。

 「『Copilotが好き』『Copilotをよく使っている』『Copilotで解決したい課題がある』といった従業員を挙手制で募ってCopilot Championに任命しています。Microsoft 365 Copilotを導入するIT企画推進部と利用者9000人の架け橋になる存在です」(浅田さん)

 住友商事は、Copilot ChampionをハブにしてMicrosoft 365 Copilotを定着させる仕組みをつくった。IT企画推進部がCopilot Championに最新情報やセミナーなどを提供。活用ノウハウを持ち帰ったCopilot Championが、所属する部署や同僚などに魅力を広める。同じ現場の仲間同士なので相談しやすく、活用し切れていない従業員を手厚くフォローできる。Copilot Championからのフィードバックを基に、IT企画推進部が次の一手を考える。

photo 住友商事のCopilot Championについて(提供:住友商事)

 2024年4月にMicrosoft 365 Copilotを導入してから一定の割合で利用率が上昇していたものの、Copilot Champion制度を開始した12月以降はその利用率が大きく伸びている。Copilot Championのモチベーション維持に努めているとして、浅田さんは特製ステッカーなどのノベルティーを披露した。

 ITツールを導入する際、IT部門や情報システム部門が「来月から◯◯を使ってください」とアナウンスするだけ、マニュアルを読んでも分からない、という一方通行のケースがある。アンバサダー制度は、実務を知る従業員たちが現場視点で取り組むことで共感や支持を取り付けやすくなり、組織全体を変革する力を生み出せる。

アンバサダーを孤立させない仕掛け

 大和総研のアンバサダーは、部署や本部の代表として組織の課題をMicrosoft 365 Copilotで解決するというミッションを担っている。同社は、アンバサダー制度の枠組みでMicrosoft 365 Copilotを展開する上で「未利用者への訴求」「アンバサダーの活用の高度化」「カルチャー変革」「DX推進」というテーマを設定。AI利用の先にDXを見据えながら活動している。

 アンバサダー制度の運用を軌道に乗せる鍵が「コミュニケーション」だ。各組織から選出されたアンバサダーたちが自走していく中で、孤立するのは避けなければならない。アンバサダー用のコミュニティーを用意し、気軽にアンバサダー同士で情報交換や質問できることで部署を超えたつながりを強化し、取り組み全体を深化させられる。

photo 大和総研のアンバサダーについて(提供:大和総研)

 大和総研は、社内SNSツール「Microsoft Viva Engage」に「Copilotコミュニティー」をつくっている。アンバサダーやCopilotユーザーが気軽に活用アイデアを発信したりすることで組織横断の取り組みに発展させられる。住友商事と大和総研どちらもオンライン上での情報発信やナレッジマネジメントを重視している。

 「情報を発信して共有することがアンバサダーの成長につながり、その先にいるCopilotユーザーへの浸透にも寄与します。『これってCopilotでできそう』などの会話をする機会が増えていて、カルチャーの変化を感じています」(田中さん)

アンバサダー同士が交流 どのような化学反応が起きたのか

 アンバサダー制度を根付かせ、Copilotコミュニティーで社内横断の取り組みに道筋を付けた住友商事と大和総研は、取り組みをさらに発展させるきっかけを探していた。そこで、両社を支援したEngage Squaredが他社との交流の場を設けて、Copilot Championとアンバサダーが対話することで化学反応を起こそうというのが今回のイベントの狙いだ。

 両社のMicrosoft 365 Copilotチェンジマネジメント支援(アンバサダー制度含む)を支援し、本イベントを主催したEngage Squaredの宇留野彩子さんは、趣旨について「『企業、業種の垣根を越えたアイデア交換や交流』ができる社外イベントです。『こんな活動でほめられた』『こんなユースケースを見つけた』『Copilotがなかなか浸透しない』『他の企業はCopilotをどう使っているの?』といったことを共有し合うことで、新たなアイデアの発見や活動の深化につなげたいと思い企画しました」と説明した。

 交流イベントに参加したCopilot Championとアンバサダーたちが4つのテーブルに分かれて、約1時間にわたってグループワークを実施。最初は少し緊張が見えたものの、推進者として活躍する者同士なのですぐに打ち解けて活発な会話が飛び交うようになった。

photophoto 左:活動内容を付箋に書き出す様子 右:活動内容を紹介する様子

 活動内容を書き出して共有するセッションが特に盛り上がっていた。「Copilotコミュニティーへの投稿数が1位だった!」というコメントに対して「アウトプットしないと忘れるよね」という共感の声や「『Microsoft Loop』(共同作業ツール)でフローチャートを作る方法を投稿したら反応が良かった」などのアイデアが次から次に飛び出した。

 「プロンプトのトライ&エラーを共有するように心掛けている」という意見に対して「失敗を共有する発想がなかった」という声が挙がるなど、自身にない視点を吸収できた人も多かったようだ。業種や職種が異なるので多様な意見が出てきて、それが呼び水になって対話が白熱する好循環が生まれていた。

 Microsoft 365 Copilotの活用例を共有するセッションでは、「起案書の下書きを作らせることで心理的なハードルが下がる」「Microsoft Loopで使う独特の記法を生成させる」といった利用方法が紹介された。発表者のPC画面をのぞき込んで使い方を熱心にチェックする姿も見られた。Microsoft 365 Copilotの世界を広げる一助になったようだ。

1人が変わり、周囲が変わり、会社全体が変わっていく

 交流イベントの終盤に、住友商事の浅田さんが「Microsoft 365 Copilotを活用することで、1人が変わり、周囲が変わり、住友商事が、そして日本が変わると信じています」と熱意を込めて訴えた。

 大和総研も業務変革やカルチャー変革を見据えている。田中さんは「Microsoft 365 Copilotで自身の価値最大化を目指し、変革に結び付けられると考えています」と語った。

 イベント参加者からも力強い感想が出てきた。「刺激があった1日でした。社内だと活用例は想像できますが、違う会社の人と話すと新たなヒントをもらえます」「今の高揚感を持ち続けて、業務にどう落とし込もうか考えたいです」「うまく推進できないモヤモヤを共有できたので、明日からまた頑張れそうです」「社外の方と交流できる場ができてうれしい。今後も交流を続けたいです」

 Engage Squaredをはじめ、日本マイクロソフトもサポートをしているので、興味のある企業はまず相談してみるのがいいだろう。

 交流イベントの最後に、住友商事での実践で見えたCopilot展開の考え方を社外に発信する活動が認められてMicrosoftの表彰制度「Microsoft Most Valuable Professional」を受賞した浅田さんを祝うサプライズの一幕があった。その後の懇親会では、会場のバーカウンターでワインやビールを受け取った参加者たちが“Copilot談義”に花を咲かせる光景が見られ、桜の便りが待ち遠しい春の夜が更けていった。

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