花王の挑戦 ナプキン備品化プロジェクト「職場のロリエ」で社会にムーブメントを

PR/ITmedia
» 2025年05月14日 10時00分 公開
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 2025年3月18日、19日に「第9回サステナブル・ブランド国際会議2025 東京・丸の内」と同時開催された「Sustainable Brands OPEN SEMINAR & EXHIBITION」(参加無料イベント)。この中で花王は「みんなで働きやすい環境をつくる:『職場のロリエ』の想い」と題したセミナーを実施した。

 セミナーに登壇した田村優樹氏(サニタリー事業部 ロリエ マーケティング担当)と棚橋弘枝氏(ESG部門 ESG戦略部マネージャー)に「職場のロリエ」で花王が実現しようとしている未来と、花王のESG戦略について聞いた。

(左から)田村氏と棚橋氏

※以下、敬称略。

「職場のロリエ」とは、どんな取り組み?

――2022年からスタートした、生理用ナプキンの備品化を目指す職場のロリエプロジェクト。まずは、これを牽引するサニタリー事業部の田村さんに、プロジェクト立ち上げのきっかけなどを教えていただきます。

田村 職場のロリエは、働く人たちの声から生まれたプロジェクトです。近年、「誰もが働きやすい職場づくりをしよう」という動きが活発になっています。

 そんな中サニタリー商品を取り扱う私たちにできることを考え「生理と職場の課題解決に貢献できるのでは」という答えにたどり着きました。月経随伴症状、いわゆる生理にまつわるトラブルによる1年間の経済損失は、およそ5700億円というデータもあります。そして多くの企業がこの課題に対し「認識はあるが何をすればいいか分からない」状況にあるのです(※1)

(※1)経済産業省ヘルスケア産業課「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」令和6年2月報告内容より。

生理と職場の課題(提供:花王)《クリックで拡大》

 花王の調査によると「生理と仕事」に関する困りごとの中で、皆さんが一番苦労したことは「突然生理がきたけど、ナプキンがない」「ナプキンを取り替える時間が取れなかった」ことだと分かりました。これに応えるべく生まれたのが職場のロリエプロジェクトです。職場のトイレにナプキンを常備することで、この困りごとを解決しようと活動が始まりました。

「生理と仕事」に関する困りごとの中で多かったのは「突然生理がきたけど、ナプキンがない」こと(提供:花王)《クリックで拡大》
外出時の一番の困りごとは「ナプキンの取り換え」(提供:花王)《クリックで拡大》

――職場のロリエを導入すると、花王からは何が提供され、導入企業は具体的に何をすればいいのでしょうか。

田村 職場のロリエを導入してくださった企業さまには、花王からナプキンを入れるためのボックス(職場のロリエ ステッカー付属)および、オリジナルの研修動画コンテンツ「生理を知る。考える。」を無償提供します(※2)。導入企業さまは福利厚生の一環としてナプキンを備品購入し、提供したボックスに入れて、職場のトイレに設置。そして動画コンテンツで職場における生理の理解浸透、気軽に相談できる雰囲気づくりをしていただく。これで職場のロリエが動き出します。ちなみに、ナプキンに関しては、推奨品はあるものの職場のロリエ専用のものはありません。購入に関しても定期購入などではなく、導入企業さまの手配しやすい方法を選択していただくようにしています。

(※2)研修動画コンテンツは希望する企業にのみ提供。

サニタリー製品の製造工程で発生した端材を使って作られた職場のロリエボックス(2025年春から提供スタート)。推奨品は、薄くても安心の吸収力で仕事中にもおすすめで、ボックスに2パック入る省スペースな「ロリエ スリムガード」

「生理用品を備品にしては?」と考えることを、変化のきっかけに

――職場のロリエは、生理と職場の課題を解決する「仕組み」を提供しているのですね。

職場のロリエから社会の「新たな当たり前」をつくれたらと語る田村氏

田村 そうですね。この活動の醍醐味(だいごみ)は、導入企業の社員の皆さんが、より働きやすくなること。目指しているのはナプキンの備品化を多くの企業で実施することではなく、ナプキンの備品化の検討をきっかけに「誰もが働きやすい職場づくりを考える後押しをする」ことです。

 「生理用品を備品化すること」をみんなで考えてみる。そこから仲間の体調を気づかったり、声をかけあったりできる、誰もが安心して働くことができる職場づくりが動き出すのではないでしょうか。私たちはそのムーブメントを起こしたいと考えています。

「あったら使うと思う」と語る「職場のロリエ」紹介動画

――2025年2月には、導入企業が360社を超えたとのこと。導入企業からはどのような反響がありましたか? また、導入企業の特徴などがあれば教えてください。

田村 セミナーでも紹介させていただいたアツギさま、大林組さま、湖池屋さまをはじめ、女性の働きやすさや職場環境の改善に積極的な、幅広い業界の企業に導入いただいています。工場や建築現場などで働いている女性が多い企業は特に強く課題感を持たれており、導入を決めてくださる印象です。

 導入した企業からは「社員が会社を好きになり、モチベーションアップを図ることができた」「女性をサポートしたいという会社の想いを伝えることができた」という声をいただいています。また、社員の皆さんからも「こういうのを待っていた!」「会社が率先してこういう活動をしてくれると良い流れになる」「職場のロリエがあれば安心して働ける」といった声もいただき、改めて活動の意義を感じました。

プロジェクトを広げてくれた590人の「社内アンバサダー」

――職場のロリエが、ここまで大きく拡大した要因はどこにあるのでしょうか?

田村 2024年に職場のロリエ認知向上のために社内で募集した社内アンバサダーの存在が大きいですね。アンバサダーの役割は取引先や知人、家族などに活動を拡散すること。一緒にセミナーに登壇した棚橋さんも社内アンバサダーの一人です。

社内アンバサダーには590人が応募(提供:花王)《クリックで拡大》

棚橋 そうなんです。私自身、職場のロリエは「あったらいいな」と思えるものでしたし、花王が目指す「こころ豊かな未来の実現」につながるプロジェクトだと活動自体に意味を感じました。アンバサダーは最初の説明会から「こうしたほうがいいのでは?」「こんなこともできそう」などの意見を出し合い、とても熱量が高かったんですよ。

花王の棚橋氏。花王の社員に脈々と受け継がれてきた「生活者視点でよきモノづくりをする」という精神があるからこそ、多くの社内アンバサダーが生まれたのではと語る

田村 590人もの人が応募してくれて、本当に驚きましたし感動しました。最近は導入企業さまから他社さまへのご紹介など、職場のロリエがますます広がりを見せています。今後もさらに活動を広め「職場環境をみんなで考え、変えていく」アクションが各地で生まれてほしいと願っています。

ESG戦略に沿った、パーパスドリブンなプロジェクト

――棚橋さんはESG戦略部所属とのことですが、ESG戦略という視点において、職場のロリエプロジェクトはどういった意味を持っていますか?

棚橋 花王は「豊かな共生世界の実現」というパーパスを掲げ、これに基づいてESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を策定しています。ここでいう「Kirei Lifestyle」とは、「世界中の人々が安心して、清潔で快適に、そしてこころ豊かにくらせること」。私たちはこれを実現するために、コミットメントと重点取り組みテーマを設定し、さまざまな活動をしています。

ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(提供:花王)《クリックで拡大》

 職場のロリエは、この中にある「思いやりのある選択を社会のために」花王が行う社会への提案であり、パーパスドリブンなアクションです。花王にはロリエ以外にもたくさんのブランドがあるのですが、それぞれが職場のロリエのような、パーパスドリブンなアクションに取り組んでいます。

――職場のロリエが起こすムーブメントは、導入企業が外に向けて発信する「社会をもっと良くするための取り組み」としても現れてきそうですね。

棚橋 そうですね。多くの方が行動を起こしてくださることが、社会全体の変革にもつながりますし、私たちの勇気にもなります。

――職場のロリエのようなプロジェクトを起こす場合、それを成功させるために企業として必要なことは何でしょうか?

棚橋 まずは、社会課題の解決に取り組みながらビジネスも成長させられるプロジェクトにすることが大事だと思います。職場のロリエもナプキンを入れるボックスは無償で提供していますが、その後商品を購入いただくことで、ビジネスとしてサステナブルになっています。仕事としてプロジェクトに取り組めるよう、目標設定や人事評価などにその実績を反映するようにすることも重要です。こうすることで、花王は各ブランドのパーパスドリブンな取り組みを推進してきました。

 目指すところは、ビジネスでの社会課題解決。これを実現できるように、仕組みを作って取り組むことが重要だと考えています。

職場のロリエから、豊かな未来の「当たり前」をつくっていく

――今後、職場のロリエをどう成長させていきたいと考えていますか? 職場のロリエに期待することは何でしょうか。

田村 導入企業を増やすことももちろんですが、プロジェクトのさらなる社会的意義の向上にも取り組んでいきます。実は2025年春から、職場のロリエのボックスを少しでも環境に配慮した形にリニューアルすることにしました。使用したのは当社サニタリー製品の製造工程で発生した端材。これを50%ほど使用して新たな職場のロリエボックスを作り、このプロジェクトの価値を向上させる計画です。また、導入企業同士のコミュニケーションプラットフォームも検討中で、情報交換などを通して職場のロリエの輪を広げて「世の中ごと化」していければと考えています。

 一方で職場のロリエを学校などの教育現場にも展開していきたいと考えています。いくつか問い合わせもいただいているのですが、職場と同様に学校にも困りごとがあるはず。生徒・学生たちが安心して学校に通えるよう、さらなる普及にも力を注ぎたいですね。

一緒に働く人が、できること(提供:花王)《クリックで拡大》

棚橋 職場のロリエを通して、産官民で共創の輪を広げて社会を動かすムーブメントが起こってくれることを期待しています。職場のロリエの導入にはオフィスビルの管理会社の協力などが必要な場合もあるのですが、この活動はオフィスビルの価値向上にもつながります。一つ一つ理解浸透のステップを踏みながらムーブメントを広げていきたいですね。

田村 そうですね、そして10年後は職場のトイレにナプキンがあることが当たり前になるように、職場のロリエから、人々の暮らしが豊かになる「新たな当たり前」をつくっていけたらと思います。

 花王のESG戦略Kirei Lifestyle Planは、Kirei Lifestyleを「こころ豊かに暮らすこと、すべてにおもいやりが満ちていること」だとしている。そして「たとえ小さなことでも正しい選択をして自分らしく生きる」ことが大切だと伝えている。職場のロリエの活動も、小さなことなのかもしれない。しかし、そこから広がるエフェクトは大きなものになるのではないか。社会を変革させる最初のアクションとはこういった活動なのかもしれない。取材を通して、まずは動き出すこと、そこから共感を広げていくこと、それが大きな変革の種になっていくのだと感じた。

「Sustainable Brands OPEN SEMINAR & EXHIBITION」セミナー風景

※本稿はサステナブル・ブランド ジャパン(SB-J)からの転載です。執筆者:笠井美春。

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