これまで経済やビジネスは東京への一極集中が目立っていた。しかし働き方の多様性が広がるにつれ、東京以外でも最先端の仕事に従事でき、キャリアアップできる環境が整いつつある。そうした環境の整備に取り組む企業の一つが、アクセンチュアだ。
同社は「アクセンチュア・アドバンスト・テクノロジーセンター」(以下、ATC)という技術拠点を日本各地に展開している。本稿では、2023年6月に創設されたATC仙台で働く社員を取材。都内から移住した理由と、地方でしかできない新しいキャリアの築き方を聞いた。
加藤大典さんは、Iターンで仙台に移住した。大学卒業後、10年ほど都内のITコンサルティング企業で働いていたが、子どもが生まれたことをきっかけにパートナーの実家がある仙台に移住することにしたのだという。
加藤さんは「東京にいた頃は帰宅時間が遅く、パートナーの『ワンオペ育児』になりがちだった」と振り返る。お互い近くに親族もおらず、子育てのことも考えてパートナーの実家がある仙台を生活の拠点に選んだ。
「正直、給与レンジや仕事がどう変化するのかという不安はありました。ただ、当時は仙台で仕事を探してみたら本当に見つからなくて(笑)。しばらくは、東京時代のつながりを生かして個人事業主として活動していました」
とはいえ、個人でできる仕事には限界がある。ずっと家にいる状態だったため、「コミュニケーションの面でも仕事の規模の面でも物足りなさを感じるようになった」と加藤さん。そんな心境の変化もあって、その後はIT企業の仙台拠点やスタートアップへの転職を重ねてサービス開発などに携わるようになった。
漆山詩乃さんは、東北生まれの東北育ち。仙台の大学を卒業後、東京で外資系IT企業の営業職として就職して、自身の希望で仙台の支店に異動した。「東京の満員電車が肌に合わなくて」と苦笑いしつつも、かつて住んでいた仙台に社会人として戻ってきたときには戸惑いもあったという。
「仙台で働いてみて、東京と比較してビジネスチャンスが限られることを痛感しました。仙台は支店経済の街なので、都市部にある本社と違ってIT投資に関する決定権を持つ会社が非常に少ないんです。『IT企業の営業として働く意味』を強く意識するようになったのは、東京との明確な違いでした」
しかし、この点は「ポジティブな変化だった」と漆山さんは語る。「その環境を逆手にとって地域経済をITで底上げしたい」というモチベーションが生まれ、二度の産休と育休を挟みながら営業として活動を続けた。
それぞれ、アクセンチュアへ転職したきっかけは何だったのか。
加藤さんは「自分の経験やスキルが、大企業でどのように役立つのかあらためて試したかったし、今以上に成長したかった」と話す。アクセンチュアへの転職前は開発組織の部長として働いており、自身が技術部門のトップという立ち位置であることから切磋琢磨(せっさたくま)できる相手と仕事をする機会が少なかった。今後のキャリアを考えたときに、社内でロールモデルとなる“上の立場”の人も限られる環境だ。そんな中で耳にしたのが「アクセンチュアが仙台に来る」というニュースだった。
アクセンチュアに対しては「技術力よりもコンサルティングのイメージが強く、自分に合うのか疑問もあった」(加藤さん)が、面接官と話すうちにATC仙台の創設をはじめITに経営資源を投下しており、自身が貢献できそうな領域が多分にあると感じられたことが転職の決断を後押しした。
「待遇面も魅力でしたが、それよりも『成長できる』と確信できたことが大きかったですね。自分よりもスキルの高い人が身近にいて、その働きぶりを間近で見られることはスキルアップする上で非常に重要だと考えていたので、最終的にアクセンチュアを選びました」
漆山さんは「転職は考えていなかった」と話す。しかし、前述の通り地方は東京と異なり大規模な案件が少ない。当時働いていた企業でも徐々に関東の仕事を割り振られることが増え、東京を含めた他地域への転勤を打診されたこともあった。
子育ても真っ盛り、かつ自身も仙台での暮らしが気に入っていたことから、遠方への転居は避けたかった。結果的に転勤はしなかったが、引き続き仙台を軸として「地域の企業や経済の活性化に努めたい」と考えていたさなか、アクセンチュアが仙台にATCを創設した。
「自分が仙台のIT業界で働き続けるためにはどうすればよいかと考え始めていた頃に、アクセンチュアが仙台に進出するという話を聞きました。説明会に参加したところ、地域や中小企業の活性化に熱心な社員さんのお話を聞いて、とても共感したんです。求められていた職種は営業ではなくエンジニアだったため迷いもありましたが、研修とリスキルを前提としたオファーをもらえたことでキャリアチェンジを決断できました」
実際に入社して、2人はどのような感想ややりがいを持っているのか。加藤さんは「前職が中規模企業だったこともあり、大きなプロジェクトに携われる環境に刺激を受けた」と話す。現在は、開発チームでリーダー的な役割を担い、東京の総合大学の財務会計システム刷新プロジェクトを担当している。
「総合大学の大規模なシステム刷新ということで、地方も含めて注目している大学は多いはずです。このプロジェクトの成功が、地元をはじめ全国の大学に広がる可能性があると考えると非常にやりがいがあります」
海外のメンバーもいるチームでの開発は、オンラインのコミュニケーションも交えて進めている。「異なる拠点のメンバーがハイブリッドで協働することが当たり前になった今、地方にいるハンディは全く感じません」と加藤さんは話す。
「アクセンチュアが進めるプロジェクトは多岐にわたり、長く使われている技術を使ったものから先進的な方法で進めるものまで多様です。さまざまな選択肢があり、常に刺激と成長を感じながら仕事できる環境だと思います。私のように、仙台にいながら東京の案件に携わる機会も多いですし、それが結果として地域貢献にもつながる可能性があるという点は非常にありがたいですね」
「正直、アクセンチュアに入社することについては期待半分、疑い半分といった見方をしていました」。入社前の心境について漆山さんはこのように語り、続ける。
「大きな案件を次々と獲得し、お客さまと強固な関係を築いて大きなビジネスを動かすというイメージから、その分ハードワークで厳しく結果を求められると考えていました。『少し怖い会社なのかな』と身構えていたのは事実です」
しかし、入社してみるとその考えはガラリと変わった。スキルアップに貪欲な社員や、顧客により良いものを提供したいと意欲的な社員は大勢いたが「過度な競争はなく、ポジティブな思考で働いている人が多く在籍しています。皆の興味関心の方向が『地元の中小企業のために』『より良い技術のために』といった形でバラけているのが、組織の多様性につながっていると感じています」
社員の働き方を支える制度や仕組みが充実しており、柔軟性も高い。中でもフレックス制度は、子育て中の社員にとって重宝する。「休みを取ることはお互いさまですし、申し訳なさを感じたり肩身の狭い思いをしたりしないように、皆が配慮し合っています」と漆山さんは笑顔を見せる。
社内の研修制度も豊富だ。漆山さんも営業からリスキル前提で入社後、ITシステムに関する研修を1カ月ほど受講した。資格取得も含めて会社が費用を負担したといい「スキルや資格の取得に、会社が積極的に投資してくれたのはありがたかった」と振り返る。この他、オンライン学習プラットフォームや社内勉強会、英語プログラムなども充実しているという。
現在の業務は、当初から志望していた地域や中小製造業を支援するもので、「CMEs」(シーエムイーズ:Connected Manufacturing Enterprises)と名付けられたSAP S/4HANAベースのソリューションの導入に関わっている。非競争領域の業務をデジタル化、標準化して導入企業の生産性を上げられるだけでなく、サプライチェーンを構成する企業間のデジタル連携を容易にすることで、個社に閉じた改革ではなく地域全体の生産性向上を志向している。漆山さんは、システムの導入前のコンサルティングや運用保守を担当する。
「地域や中小企業の支援は、なかなか投資を回収しにくいビジネスです。特に外資は手を出しにくい領域ですが、そこをアクセンチュアは先陣を切って発信し、実行しています。この経営判断力と実行力は、アクセンチュアならではと言えるかもしれません」
最後に、今後地方移住やアクセンチュアへの転職を考えている人へのメッセージを聞いた。
加藤さんは「『地方だからコストが安い』という、ニアショア的な考えが個人的に好きではなく、これまで仙台で働く中でそうした状況を変えようとしてきた」と切り出す。その点、ATC仙台を含めたアクセンチュアはいわゆる支店経済的な組織運用ではなく、待遇面でも仕事面でも恵まれた環境だと断言する。
「アクセンチュアは、仙台にいながら東京やグローバルレベルの仕事に携わることができ、自身のスキルも向上させることができます。これは東北地域ではなかなか見られない企業だと思いますし、本当に大きな魅力です。『東京でないとそういった仕事ができない』と思っている方には、ぜひそうでないことをお伝えしたいです」(加藤さん)
漆山さんは「私たちは、子会社や支社ではなくあくまで『アクセンチュア』の社員です。東京と比べて待遇にも仕事にも差がなく、子育て環境にも恵まれた仙台で働ける今に感謝しています」と話し、次のように締めくくった。
「キャリアアップを目指して入社している人が多いので日々刺激を受けられますし、周りに引っ張られて『上を向いて仕事をしよう』という気持ちになれます。仙台で、ITを生かして活躍したい、地域の力になりたいと考えている方と一緒に働けるのを楽しみにしています」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:アクセンチュア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2025年8月14日