DX推進や人材確保など「攻めの投資」が不可欠な今日。しかし「資金繰りへの不安」が経営者を足踏みさせる。黒字であっても手元資金が減る恐怖が決断を鈍らせるためだ。このジレンマを打破する鍵は、支払いのタイミングを巧みに操る「キャッシュフローの掌握」にある。
「お金の流れをコントロールできない経営者に未来はない」――そう断言するのは、穂坂光紀氏(税理士法人エンパワージャパン 代表税理士)だ。中小企業の経営スピードを加速する「キャッシュフローコントロール」の新常識とは何か。穂坂氏は開口一番、厳しい現実を突き付ける。
「税理士として24年間、中小企業の浮き沈みを見てきました。経営環境の厳しさはコロナ禍を経て格段に増しています。人手不足、物価高、変化のスピードの速さ。昔ながらの“丼勘定”は命取りになります」
これまでは技術力や商品力があれば、多少お金の管理が甘くても生き残ることができたかもしれない。しかし今は違う。穂坂氏は、多くの経営者がDXなど攻めの投資の必要性を痛感しながらも、足元の「資金繰り」への恐怖から動けずにいる現状を危惧する。
「これからの時代、経営者がお金のこと、特にキャッシュフローを深く理解して賢くマネジメントできなければ、会社は生き延びられません。『利益が出ているから安心』ではないのです。お金がいつ入ってきて、いつ出るのか。その“波”を読み、自らコントロールする術を持たなければ、攻めの一手は打てません」
経営者はなぜ、必要な投資をためらうのだろうか。その理由は、入金と支払いの間に生じる「魔の空白期間」にある。売り上げは立っているのに入金は数カ月先。その間に税金や仕入れの支払いが重なると、手元のキャッシュは一時的に大きく目減りする。
穂坂氏はこのときの経営者の心境について「通帳の残高が減るのを見るのは本能的な恐怖」だと語り、「数カ月後に入金があると分かっていても、目の前のキャッシュが少なくなると心理的に萎縮してしまう。その結果、事業拡大につながる『新システムの導入』や『人材採用』『PCや備品の入れ替え』といった、本来やるべき未来への投資を『今はやめておこう』と先送りする。これが最大の機会損失です」と説く。
同氏は“節税重視”の経営者心理からの脱却も訴える。かつては利益を圧縮して税金を減らすことが良しとされた。しかし、現代の正解は「いかに手元にキャッシュ、いわば会社としての体力を残すか」だ。とはいえ、単に財布のひもを固くするだけでは企業の成長エンジンまで止めかねない。
「内部留保を厚くしたいと考えるあまり、今度は『お金を使いたくない』という守りの意識が過剰となり、必要な投資まで削ってしまうのです。この『守り過ぎで事業が先細りする』という悪循環を断ち切るには、手元資金を温存しながら必要な支払いを行うという入出金タイミングの制御、すなわち『時間のコントロール』が求められます」
では、具体的にどうすれば時間のコントロールが可能になるのか。同氏は、高度な金融テクニックを駆使する以前に、まずは資金管理の“土台”を見直すべきだと説く。資金の流れを正確に把握して、自在に操るための環境を整えること。それが、攻めの経営へと転じるためのスタートラインとなる。
資金繰りをコントロールするための第一歩として穂坂氏が推奨するのが、「ビジネス・カード」(中小規模の企業の経営者や個人事業主向けのクレジットカード)への経費精算の一本化だ。個人のクレジットカードで事業経費を立て替える経営者もいるが、穂坂氏は「公私混同こそが、会社を弱くする要因」と指摘する。
「個人カードの場合、利用可能枠が200万円以下という人が多いでしょう。個人の支出に加えビジネス経費の支払いとなると、いざというときの攻めの決済には心もとないと感じる額です。何より、公私の支出が混ざったカード履歴は、銀行や税務署に『資金管理がしっかりできていない』と見られる可能性があります。これでは対外的な信用は得られません」
ビジネス・カードを持ち、事業用に十分な利用可能枠※1を確保することは、単なる決済手段の変更ではない。経営の透明性を高め、銀行融資以外の「第二の資金調達ルート」を確保することを意味する。
※1)利用可能枠は、カードの利用実績や支払い実績によって決まる。相談に応じて一時的に引き上げることが可能な場合もあるが、審査によって決まるため希望に沿わないケースもある。
「カード選びといえばポイント還元率などが話題に上がりますが、ビジネス・カードを持つ最大のメリットは他にあります。いざというときの資金調達手段、つまり“リスクヘッジ”として機能することこそが本質なのです」
ビジネス・カードには、リスクヘッジという土台の上に経営スピードを大きく変える機能が備わっている。
ビジネスの現場では、突発的な資金需要が頻発する。「商機を逃さないために今すぐ仕入れを増やしたい」「設備投資のチャンスが来た」──こうした局面で銀行融資に頼ろうとしても、審査や書類作成に数週間を要し、チャンスを逃しかねない。ビジネス・カードの機能を使えば、そのスピード感が大きく変わる。
ここで注目したいのが、ビジネス・カードが備えるさまざまな支払いサービスだ。例えば、アメリカン・エキスプレスのビジネス・カードは、会員向けに「あとリボ」という機能を提供している※2。一括払いで決済した場合でも、支払い方法を“あとから”リボ払いに変更できるサービスだ。
※2)随時行われる審査結果によっては、利用できない場合もある。
特徴は機動力にある。資金調達のためにわざわざ銀行に行く必要はなく、カードの割賦(かっぷ)利用枠内であればスマートフォンの操作だけで支払いのタイミングを調整できる。利用シーンは大規模な投資に限らない。PCの突発的な故障対応や集客のための広告費といった「日々の経費」の支払いにもその機動力は遺憾なく発揮される。穂坂氏は「これは単なる『支払いの先延ばし』ではない」と話す。
この機能を利用することで、「資金が足りないから投資を諦める」という消極的な判断(機会損失)がなくなり、必要なタイミングで迷わず手を打てるようになる。そして、回収のめどに合わせて支払いを調整できる。この柔軟性こそが、将来の利益を生むための投資につながる。
「打つべき手を適切なタイミングで打つのが経営者の仕事です。後から回収できる見込みがあるならば、先に資金を投入する。それは事業者として、あってしかるべき『戦略的な選択肢』でしょう」
2025年10月のリニューアルであとリボに加わった「お支払い金額の調整」機能※3は、多忙な経営者にとって役立つツールだ。
※3)随時行われる審査結果によっては、利用できない場合もある。
従来のリボ変更手続きは、Web明細とにらめっこしながら電卓を片手に「これをリボにすると、今月の支払額がいくらになって……」と計算する必要があった。しかし、新しいあとリボは違う。アメリカン・エキスプレスのアプリやWebサイトを開いて「今回支払いたい金額」を入力するだけで月の全体の支払い金額を調整することが可能になる。
例えば、請求額が150万円ある月に「納税が重なったので今月のキャッシュアウトは30万円に抑えたい」と考えたとしよう。その場合はアプリに「30万円」と入力すると、あとリボが対象となる明細を自動で判別して次回の引き落とし額を指定した金額※4に近づける。
※4)リボ払い、分割払いの利用可能枠の中で変更が可能。そのため、希望の金額に沿わない場合もある。
資金繰り表を見て「今月はこれだけ手元に残したい」と決めてスマートフォンを操作するだけなので所要時間はわずか数分。経営者がビジネスのことに使うべき頭のリソースを、面倒な計算や資金繰りの悩みから解放する。この“手軽さ”と“即時性”は、経営スピードを落とさないための強力な武器になる。
支払いたい金額は、期間内ならば何度でも変更できる。「来月の入金予定が早まったから、やはり多めに支払おう」といった増額返済も指先一つだ。
リボ払いには所定の手数料が発生する。これを「無駄なコスト」と捉える経営者もいるだろう。しかし、穂坂氏は「その考え方こそ変えるべきだ」と説く。
「手数料を惜しんで手元の資金を枯渇させ、黒字倒産してしまっては元も子もありません。資金繰りの不安から必要な投資をためらい、成長の機会を逃すことの方が経営にとってはるかに大きな損失です」
必要なときに銀行よりも早く資金を調達でき、余裕があるときは増額返済によって手数料を抑えられる。また、手数料は経費として計上することが可能だ※5。あとリボは、増額返済を活用して計画的に利用することが重要になる。
※5)担当税理士や税務の専門家からアドバイスを受けることが推奨される。
「手数料は会社を維持・存続させ、機会損失を防ぐための必要経費です。いざというときの『保険料』だと割り切る視点を持つことも重要でしょう。経営者にとって一番大切なのは、目先の手数料を節約することではなく会社を存続させること、そして成長を止めないことなのです」
これからの時代、経営者に求められるのはキャッシュフローの波に翻弄(ほんろう)されるのではなく、波を自らコントロールする力だ。「支払う金額を自分で決める」ことができるあとリボは、経営者を「守りの資金繰り」から解放し、「攻めの経営」へと向かわせる現実的な手段の一つとなるだろう。
不確実性が高まる現代において、ビジネス・カードの利用枠はどのような意義を持つのか。穂坂氏は、その本質を「会社存続のためのセーフティーネット」と定義する。
「経営者にとって最大の使命は、会社を存続させることです。資金が枯渇すると、どんなに良い事業もそこで終わってしまいます。だからこそ、不測の事態や急な出費に備えて銀行融資以外の資金調達手段を持っておくことが必要です。ビジネス・カードや柔軟な支払いオプションは、現代の不安定な経営環境において会社と社員を守るための“セーフティーネット”になるはずです」
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