中堅・中小の製造業においてもDXは待ったなしの状況だ。これまで中堅・中小製造業における“DX”といえば、「紙の台帳や帳票で行っていた作業指示や生産実績報告を電子化する」といったデジタイゼーションが中心だった。今必要なのは、設計から生産、物流、保守まで製品ライフサイクル全体でデータを活用し、リアルタイムのトレーサビリティーを確立できる真のDX、デジタライゼーションだ。
「『検査結果をオンラインで提出してほしい』『この部品の生産状況を教えてほしい』といったデータ連携を大手製造業が取引先に求めるケースが増えてきました。対応できない場合、競争力が低下し、取引を打ち切られてしまうリスクもあります」と語るのは、パーソルクロステクノロジーの松本倫行氏だ。
競争相手となる各国の中小製造業ではDXが進んでおり、その差は広がるばかりだという。原因はどこにあるのか。同社の杉浦優希氏は3つの視点から中堅・中小製造業が抱えている課題に言及する。
一つ目は「リソース」。DX推進には複数部門を巻き込む調整力が必要だが、中堅・中小製造業では変革を担う人材が限られている。「DX運用を支える人材を確保できず、導入したツールが使われないままプロジェクトが終わるケースも珍しくありません」と杉浦氏は現状を語る。
二つ目は「コスト」。DXの効果を定量化するのが難しくROI(投資対効果)が見えにくいため導入が遅れがちだ。中堅・中小製造業は投資余力が限られるため大企業よりも慎重になってしまう。
三つ目は「プロセス」。日本の製造業は、良くも悪くも熟練技術者の経験で現場が回る状態が出来上がっている。「今のままでも問題ないという意識が根強く、対応を後回しにしがちです。しかし、属人的な業務は将来的なリスクであり、熟練者が退職してから慌ててDXを進めても手遅れになりかねません」
課題のイメージが先行しがちだが、中堅・中小製造業の方がDXの恩恵を大きく受けられる場合もある。「組織の距離が近い分、意思決定は速く、ツールをスモールスタートで導入できます。改善効果が利益に直結しやすく、現場のアイデアも反映しやすいからです。フットワークの軽さと柔軟性を武器にチャンスをつかむべきです」と杉浦氏は説く。
問題はどこから手を付ければよいのかだ。一口に製造業DXといっても、その領域は広範囲にまたがる。「まず取り組むべき重点領域が2つある」と杉浦氏は指摘する。
一つはPLM(製品ライフサイクル管理)だ。製品情報を一元管理して設計から製造、保守までの連携を強化する仕組みであり、工程をまたいだ手戻りや情報伝達のロスを削減できる。すでに大手製造業では必須のシステムとして普及しているものの、中堅・中小製造業では「メリットが少ない」「ROIを出せない」という先入観から導入が見送られることが多かった。
「今はクラウドベースのシステムが多数あり、企業の規模やプロセス、業務要件に応じて選択できるようになりました。PLMを活用すれば、設計情報の変更をリアルタイムに共有したり最新の図面を簡単に探し出せたりするなど、業務効率を大幅に向上させて製品の品質に関わるトラブルを防止できます」
もう一つがAIだ。人材不足や熟練者依存といった課題を解消し、製品品質や生産性を持続的に安定化させられるメリットがある。杉浦氏は事例として、切削加工機の稼働最適化を目指したプロジェクトを挙げる。
「ある企業は、切削加工機の送り速度や回転速度などの最適な運転条件を導き出すためにベテランが試行錯誤を繰り返していました。しかし、実験には1回当たり約60万円、4〜5日間かかるのが課題でした。そこでAIを採用し、過去データから最適なパラメーターを抽出することで試行錯誤に伴うコストや工数を大幅に削減しました。データを入力すれば最適値が6時間程度で算出されます」
最終的に、準備段階だけでなく製造工程の時間も16%短縮できる最適な運転条件を導き出した。プロジェクト期間も2カ月の短期間で達成した。支援したパーソルクロステクノロジーは顧客から高評価を受けたという。
パーソルクロステクノロジーが成果を上げられる要因は、単なる仕組みの導入ではなく幅広い製造業の現場にDXを根付かせる伴走型支援というスタイルにある。
「現場には設備の癖や人のスキルなど、形式知にしにくい情報があります。こうした現場特有の課題を考慮せずにDXを進めると形骸化しかねません。重要なのは、現場がDXの価値を実感できる支援です。多様な制約の中で『今できること』を共に考えて実装することがDX支援の本質と考えています」と松本氏は説明する。
伴走型支援は、データの収集・分析からシステム導入、運用定着まで現場と一体になって進めることで机上の計画を実現可能な施策に変化させる。このサービスを可能にしているのが2つの強みだ。
その一つが、現場の声を取り入れたサービス設計だ。同社は「現場の声こそがDXの起点」と位置付けている。AIによる製造パラメーターの最適化事例のように、製造現場の課題を解消することに全力を挙げる。
もう一つに、製造業の全フェーズをカバーする人材とノウハウがある。同社は複雑な上流のIT戦略構想から、設計、製造、管理までカバーできる総合力を有している。PLMやデジタルツインの導入、IoTによるデータ基盤構築、AIによる品質検査や設備保全など、製造業DXに必要な技術領域を幅広くカバーしており、豊富な現場経験を持つエンジニアとコンサルタントがタッグを組んで現場と経営の両視点で最適解を導き出す。
「現場のエンジニアは『虫の目』で個別の課題を詳細に把握し、コンサルタントは『鳥の目』で全体像を俯瞰(ふかん)して問題の本質や隠れた根本原因を抽出する。このように『面で当たる』ことで現場のリアルを踏まえた『実行可能な施策(Can be)』を描けます。お客さまの『目指す姿(To be)』に対して『これならできる』と思える施策を提案し、実行・定着まで伴走できるのが当社の強みです」と杉浦氏は力強く語る。
製造現場における熟練者依存や属人化解消といったテーマと深く関わってきた同社は、「若手の活躍」を体現するためにメンバー全員が主体的に活躍できる体制を積極的に整えている。同社の草野英士氏も、そんな若手を代表するコンサルタントの1人だ。
「私が携わっているのは、ある完全受注生産型のプラントエンジニアリングメーカーにおける設計業務の変革です。お客さまや先輩としっかり連携しつつ、私がこれまで携わってきた生産管理や調達管理の知見も生かしてプロジェクトに取り組んでいます」と草野氏は意気込みを示す。
「若手メンバーに明確な役割と裁量を与え、早い段階から意思決定に関わる機会を提供しています。さらに日々のコミュニケーションを通じて個人の強みを把握し、その特性に合った業務をアサインすることでメンバーが力を最大限に発揮できる環境を整えています」と松本氏はチームビルディングの工夫を語る。
DX推進に不可欠なデジタルネイティブ世代の若い感性を活用しながら、中堅・中小製造業の変革と持続的な成長を強力な体制で支援するパーソルクロステクノロジー。国内製造業のDXを加速する追い風になりそうだ。
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