人手不足による“二重苦”の突破口 東芝がAIで挑む、人事の業務効率化と戦略立案

さまざまな業務に忙殺される人事部門。そんな状況を打破するために、東芝デジタルソリューションズが打ち出したのがAIとの協働だ。AIの「オーケストレーション」がもたらす、業務効率化と戦略立案の最前線に追った。

PR/ITmedia
» 2026年01月20日 10時00分 公開
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 少子高齢化に伴う労働人口の減少は、人事部門に二重の苦しみをもたらしている。一つは、給与計算や労務管理をこなす人手が足りないという「業務量の限界」。もう一つは、激変する市場環境でいかに事業をけん引する人材を確保して育成するかという「戦略の欠如」だ。

photo 東芝デジタルソリューションズの萬 大祐氏(デジタルエンジニアリングセンター HRMソリューション部 マーケティング担当 エキスパート)

 「とにかく人を採用できないという話をよく聞きます。特に地方の厳しさは相当なものです」

 こう語るのは、東芝デジタルソリューションズの萬 大祐氏だ。近年は人的資本経営が叫ばれ、「ISO 30414」など国際規格への対応が迫られるが、多くの人事担当者は定型業務に忙殺されており人材戦略の立案まで手が回っていない。

 定型業務の効率化にはHRソリューションの導入が有効だが、それだけでは解決しない。結局は「外部システムとの連携データを取り込む」「従業員からの申請内容をチェックする」といった操作や確認作業が残り、完全な自動化には限界がある。

 そして、人材戦略の立案はソリューションに全てを任せられるというものではない。タレントマネジメントやスキル管理などのソリューションが存在するが、使う側に明確な戦略がなければ宝の持ち腐れになってしまう。

 当然だが、人材戦略の検討を優先するために定型業務を止めることはできない。給与計算などの定型業務をミスなく回しながら、高度な戦略立案にも取り組む──これが今、人事部門が直面している現実だ。

 この壁を突き崩すため、東芝デジタルソリューションズが動き出した。同社の人財管理ソリューション「Generalist®」(ジェネラリスト)は、生成AIを搭載した「自律型エージェント」に進化しようとしている。同社が目指すのは単なる業務効率化ではない。

AIエージェントと人事業務を“協働”する

 Generalistは人事給与管理、就業管理、eラーニング・教育管理、タレントマネジメント、従業員サービスで構成された統合ソリューションだ。制度が異なる複数法人を一つのシステムで管理できる柔軟性を持ち、すでに多数の大企業が採用している。ユーザー会での投票を基に機能を追加するなど、現場のニーズにいち早く応え続けてきた実績を持つ。

photo 多様なソリューションから構成されるGeneralist(提供:東芝デジタルソリューションズ)《クリックで拡大》

 今、Generalistが見据えているのが「プロセスの自律化」だ。

 「給与計算の自動化」と聞くと、多くの人は「勤怠データを取り込んで計算ボタンを押すだけ」を想像するかもしれない。しかし、実際はデータの取り込み、不整合のチェック、異常値の確認、計算実行、計算結果の再チェックといったプロセスが存在する。既存のHRソリューションを導入しても、結局は人が画面に張り付いて工程を確認し、操作しなければならない。

 Generalistの目標はこうしたプロセスの自律化であり、その鍵が「AIエージェントのオーケストレーション」だ。「Generalistは単一のAIではなく、各業務に特化した複数のAIエージェントが連携して動きます」と萬氏は説明する。

 給与計算であれば、AIエージェントが給与データを認識して「基本給がマイナスになっていないか」あるいは「前月比10%以上の増減がないか」といった異常値を自律的に検知する。

 ユーザーが「給与計算をして」と指示すると、AIはファイルの取り込み、チェック、計算、再チェックなどを実行する。途中で人間が判断した方がよい異常値が見つかった場合は、「ここを確認してください」とアラートを出す。何を基準にチェックするかというパラメーターをAIが生成するため、人間はAIが整えた“お膳立て”を確認して承認するだけでよい。これは、ツールによる「省力化」を超えた、AIへの「業務委任」と言える。

 AIエージェントが活躍するのは定型業務だけではない。人材配置のような戦略業務でも強力なパートナーとなる。

 「10年後の事業部長候補者をピックアップしてほしい」といった指示も可能だ。その際、学習データの偏りによるバイアスが懸念されるが、萬氏は「使ってみるとバイアスを感じることはなく、むしろ人間の方が気を付けないといけないと思うほどです」と話す。候補者の抽出条件として年齢や役職に加え、「多様な経験を重視するため、一部門に長期間所属している人を除外する」といった新しい条件もAIが提示する。もちろん、提示された条件に違和感があれば人間が修正し、除外できる。

photo 定型業務の効率化と人財戦略の立案をサポート(提供:東芝デジタルソリューションズ)《クリックで拡大》

 こうしたAI活用の土台になるのが「権限管理」だ。人事情報はセンシティブであり、AIを経由して閲覧できないはずの情報が見えてしまうのは問題だ。Generalistには、長年培ってきた厳格な権限管理機能があり、それはAIエージェントにも生かされている。AIエージェントはGeneralistの一機能として組み込まれており、ユーザーごとに付与された権限の範囲内でのみデータを参照し、回答する仕組みだ。

歴史上の“英傑”たちと議論しながら、戦略を立案

 定型業務の自動化で業務負荷は軽減されるが、戦略的な人材マネジメントを推進するには別の壁がある。それは「戦略を担う人材がいない」「ノウハウが不足している」という構造的な課題だ。

 「男性の育休取得率向上や女性活躍推進など、部分的な取り組みだけでは不十分です。現状と理想の人材像を定義し、そのギャップを埋めるための戦略が欠かせません。経営戦略から落とし込む必要がありますが、手が回らない企業が多いようです」

 そこでGeneralistが搭載したのが、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった歴史上の英傑など約15のキャラクターが“壁打ち相手”となり、人材戦略の立案をサポートするというAIエージェント機能だ。

 「新しい気付きを得られるように、キャラクターは奇抜なアイデアを出すようにチューニングしています」と萬氏は説明する。例えば、ある事業を拡大するための人材要件を定義したいとする。ユーザーが経営戦略をインプットすると、織田信長が「合理主義・革新主義」の立場から大胆な抜てき人事を提案。一方で、徳川家康は「安定重視・現状維持主義」の視点で発言する。

 機能の肝は「マルチエージェントシステム」だ。1つのキャラクターと話すだけでなく、信長の意見に対して「秀吉はどう思う?」と問いかけることでAI同士が議論を戦わせ、アイデアを深掘りできる。単一のAIでは当たり障りのない「優等生的な回答」になりがちだ。しかし、異なるペルソナを持つAI同士が議論することでバイアスをけん制し合い、人間が思い付かないような多角的な視点が生まれる。

photo AIとの議論によって、経営戦略に基づいた人材戦略の立案に役立つ(提供:東芝デジタルソリューションズ)《クリックで拡大》

 この「議論するAI」の実現には、東芝の総合研究所との連携による高度な技術が注ぎ込まれている。

 「AIは会話が続くにつれて追加情報に影響されやすく、議論の目的やキャラクターの設定といった元の指示を忘れてしまいがちです。そうならないように、議論した情報から余分な内容をそぎ落としてポイントとなる情報のみを保持させるなど細かく調整しています」

 独自のプロンプト研究とチューニングにより、長時間の議論でも論点がブレないAIを実現した。歴史上の人物だけでなく、ベテラン従業員や有識者もペルソナ化して議論に参加させられる。AIと、あるいはAI同士の議論を繰り返すことで、“絵に描いた餅”ではない、経営戦略にひも付いた人材戦略の立案に役立つ。

一企業の枠を超えた「社会の人事部®」へ

 AIの進化とともに「退職予備軍の検知」や「タレントマネジメント」など、特定の課題を解決するサービスが増えている。しかし、東芝デジタルソリューションズの狙いはそうした“点”の解決ではない。

 そのためには、個別のAI機能だけでは不十分だ。各業務に特化したAIエージェントを複数用意し、それらを束ねて連携させる「オーケストレーション」が不可欠となる。

 ロードマップも明確だ。Generalistの多様なソリューションを順次AI化し、ユーザーの指示一つで定型業務から戦略立案までAIが自律的に実行する世界観を描く。リリース済みの「人財戦略AIエージェントサービス」に加え、今後は「人事給与AI」「バーチャル講師AI」の提供を予定している。

 東芝デジタルソリューションズのゴールは、一企業の効率化だけではない。目標は、企業やツールの枠を超えた「HRデータの民主化」だ。

 従来のHRソリューションは、多くの機能を自社製品で囲い込む傾向があった。だが、技術進化が激しい現代において一社で全てをカバーするのは不可能に近い。そこでGeneralistは「Generalist HUB構想」を掲げ、他社の優れたサービスと積極的に連携し、データをハブとしてつなぐ戦略を取っている。

 「AIはあくまで手段の一つであり、中心にあるのはデータです。人事データを民主化して企業を超えて社会に共有することで、Generalistが『社会の人事部』として機能することを目指しています」

 その象徴が、従業員がスマートフォンなどから社内情報にアクセスできる「Generalist/EM」に搭載した「マイトリセツ」機能だ。これは従業員の経歴やスキルだけでなく、特性や趣味、嗜好(しこう)までもデータとして可視化、共有するものだ。単なる情報管理にとどまらず、働く人同士が互いを知り、自然につながるきっかけを生み出す。従業員は自分らしいキャリアを主体的に描き、企業はその個性を生かしたチームづくりを行う──そうして働く人と企業が対話を重ね、より良い関係を築いていくための新たな社会基盤となることを目指している。

 「人事業務は人事部門、戦略は事業部門と分けがちですが、人材活用は全体最適の視点を持つべきです」と萬氏は語る。ピーター・ドラッカーが「いかに優れた部分最適も全体最適に勝てない」と説いたように、人事業務、経営戦略、個人のキャリアをAIとデータでつなぎ、全体最適を実現する。それが、東芝デジタルソリューションズがGeneralistで実現する「自律化」の真の姿だ。

 AIという頼れる相棒がいれば、組織はより強く、より創造的になれる――そんな未来は、もうすぐそこまで来ている。

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提供:東芝デジタルソリューションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2026年2月19日