「Excel管理の限界」をどう突破した? カスタマーサクセス変革の最適解

ユーザー接点の要となるカスタマーサポート。しかし、問い合わせ経路の多角化や人手不足によって多くの現場が疲弊している。かつてExcel管理の限界に直面していた企業は、いかにして業務効率と品質を向上させたのか。

PR/ITmedia
» 2026年02月20日 10時00分 公開
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Excelを使った問い合わせ対応の管理が限界に

 ユーザーからの問い合わせを受け付けるカスタマーサポートの重要性が、多くの企業で高まっている。製品やサービスのサブスクリプション化が進んだことで、メーカーやベンダーは自社製品の利用を継続してもらう施策を重要視するようになり、その一環でカスタマーサポートに大きな期待が寄せられるようになった。

 しかし、ユーザーの問い合わせ手段は電話だけでなくメールやWeb、チャットなどに多様化しており、異なるチャネルをまたいで均一なサービスレベルを保つのが難しくなっている。カスタマーサポートの人手不足にあえぐ企業は多く、少人数のオペレーターでより多くの問い合わせを処理しなければならない。

 こうした課題に悩んでいたのが、丸紅I-DIGIOグループの丸紅ITソリューションズ(以下、MISOL)だ。同社は多くの日本企業が活用しているクラウドストレージサービス「Box」の代理店で、ユーザーからの問い合わせにカスタマーサポートチームが対応してきた。

photo MISOLの正田梨於奈氏(CSエンゲージメント事業部 カスタマーサポート課 課長)

 しかし、同社の正田梨於奈氏によると、かつては業務効率や品質面で壁に直面していたという。

 「ユーザーが少なかった頃は、ユーザー情報や問い合わせの内容、対応状況などをExcelで管理していました。しかし、ユーザー数や問い合わせ件数の増加に伴い、管理に限界が生じてきました。情報の登録や管理が大変でしたし、過去の問い合わせ内容をメールやExcelから探し出すのも一苦労でした」

 最新の問い合わせや対応状況を可視化したり過去の対応履歴を集計して傾向を分析したりする際は、Excelに記入したデータを手動で集計して加工する必要があり、手間がかかっていた。

「Zendesk」の導入で問い合わせ対応業務のシステム化に乗り出す

 この状況から抜け出すためにMISOLが導入したのが、統合型カスタマーサービスを提供するZendeskの「カスタマーサービス」だ。

 Zendesk日本法人の吉岡さやか氏は、サービスの特徴を次のように説明する。

photo Zendeskの吉岡さやか氏(最高技術責任者室 プリンシパル プロダクト ソリューション マネージャー)

 「電話やチャットツール、メッセージングアプリ、SNSなど幅広いチャネルに対応できると同時に、FAQや社内のドキュメント、業界ガイドラインなどの情報も一元的に扱えるナレッジ共有基盤の役割を果たします。分析機能も優れており、データを集計してダッシュボードで可視化するだけでなく、AIエージェントに自然言語でデータ分析を依頼できるコパイロットも提供する予定です」

 ローコード/ノーコード機能も搭載し、プログラミングスキルのないユーザーでも簡単な操作でワークフローや外部システムとの連携機能などを短期間で開発できる。

 Zendeskのこうした機能を活用して、MISOLはExcel依存の問い合わせ対応をシステム化し、業務の効率化と品質の向上を図ることにした。

 「Box社がZendeskを利用しており、Box社とやりとりする際は私たちもZendeskを使っていたので、使い勝手の良さは分かっていて操作にも慣れていました。そうした点も決め手になって、MISOLもZendeskを導入することにしました」(正田氏)

コミュニケーションの課題を運用のアップデートで解決

 Zendeskを導入したMISOLは、問い合わせフォームの作成からスタートした。効果は早々に表れたという。

 「Excelの記入が不要になり、関係者間で情報を共有できるようになったことで業務効率が大幅にアップしました。管理者の立場から見ると、素早く簡単に分析できるようになったことが大きかったです。対応状況を可視化できたことが気付きにつながり、仮説と検証ができるので大変助かっています」(正田氏)

 Zendeskを運用するうちに新たな問題が浮上した。チームや部門をまたいだコミュニケーションだ。問い合わせ内容によってはサポートチームだけでは対応を完結させられず、Box事業部門内のオンボーディングチームやエコシステム開発チーム、カスタマーサクセスチーム、営業チームにエスカレーションしなければならない。しかし、エスカレーション方法が統一されていなかったため、担当者間のメールやチャットで対応することがあった。

 「連絡手段が多岐にわたっていたため、連絡に行き違いが生じてユーザー対応が遅れてしまったり、メールやチャットが担当者間で完結してしまって他の関係者が状況を把握できなかったりなどの問題が発生していました。当初は『保留中』『待機中』といったステータスを手動で更新しており、ステータスが正確に設定されず対応が滞るケースもありました」(正田氏)

 そこでMISOLは、Zendeskに情報を集約してステークホルダー全員がZendeskを参照する運用ポリシーを設けた。

 「サポートチームから別チームにエスカレーションしたり、エスカレーション先のチームからサポートチームに回答を返したりする際に、簡単な操作だけで自動的にチケットのステータスが更新され、担当者に通知を自動送信する仕組みをつくりました。Zendeskを参照する習慣がない営業チームや開発チームの担当者とのやりとりでも、連絡や確認の漏れが起きないように工夫しました」(正田氏)

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photo チケットのステータスが自動更新され、担当者に通知が届くように(提供:MISOL)《クリックで拡大》

 要件に応じてZendeskの運用を進化させ、人手作業をさらに削減して人為的ミスや対応品質のばらつきを減らすことに成功した。

FAQの整備とAI検索の導入でナレッジ活用を促進

 コミュニケーション面は解決したが、別の課題も持ち上がった。

 問い合わせに対応する際、担当者は製品やサービスの仕様、ユーザーの利用環境などを参照しながら適切な回答を導く。Zendeskの導入によって問い合わせの情報は一元管理できるようになってきたものの、内容が詳細になると過去のメールやチャット、FAQなども参照する必要があった。ナレッジが散在していたため求める情報に素早くアクセスできず、迅速に対応できないこともあった。

 これを解決するために、MISOLは散在しているナレッジや既存のFAQを洗い出し、300を超えるFAQにまとめ直してZendeskに集約した。情報の検索や閲覧が容易になり、FAQのユーザー利用率は31%から64%に改善した。

 しかし、FAQだけでは網羅できない情報も多く残った。

photo MISOLの白井崇康氏(CXディレクション事業本部 プロダクト事業部 プラットフォーム技術第二課)

 「特に技術的に高度な問い合わせに対応する際は、FAQ以外のドキュメントを参照する必要があり、対応のスピードや品質に課題が残っていました。そこでAIを使い、FAQも含めてさまざまなシステムにあるナレッジから適切なものを自動でピックアップし、Zendeskに表示する仕組みを開発しました」

 こう語るのは、MISOLの白井崇康氏だ。当初はAIの検索精度が低く、関連性の薄いナレッジが提示されることがあった。そこで、AIが提示した内容が正しいかどうかを人間がフィードバックするインタフェースを設け、フィードバックをAIの改善に活用することで、精度が徐々に向上した。

photo ナレッジへのフィードバックをすることで、AIの精度を向上させている(提供:MISOL)《クリックで拡大》

 「この仕組みを導入したことで、問い合わせ対応の担当者はナレッジに素早くアクセスできるようになり、現時点で対応時間を平均して20%近く削減できています。ブラッシュアップによって、さらなる削減にもめどが付いています」(白井氏)

蓄積した“生の声”を分析 Box 支援の質に転換する

 MISOL の Box 事業はサポートデスクに Zendesk を活用しながら、Box を使い倒すユーザーの現場を支えることに重点を置いている。Box を使い倒せば問い合わせが増えるのは自然であり、むしろ健全な状態だと考えている。

 そのため MISOL は、Zendesk に蓄積される問い合わせをユーザーとの貴重な交信記録と捉え、一つ一つのやり取りを“学習素材”として扱い、課題の本質を読み解き、ナレッジ化して共有する仕組みを構築している。こうして磨いたナレッジや経験があるからこそ、問い合わせを減らすだけでなく、問い合わせを通じてBox をより深く使いこなすことを重視した提案ができているという。

 BoxによってDXを目指す企業にとって、MISOL は Zendeskで分析し、ナレッジ化した膨大なデータを基に、Box 活用を軸として課題解決に並走するパートナーとなるだろう。

 今後もMISOLはZendeskのより高度な運用に挑み、特にAI関連の機能をさらに探求する予定だ。

 「現在は主に社内の生産性向上のためにAIを活用していますが、今後は社外向けにもAI機能を提供する予定です。業務をさらに効率化できるとともに、サポートチームの営業時間外でも簡単に自己解決できるでしょう」(白井氏)

 Zendeskで課題を解決し、成果を挙げたMISOL。その歩みは単なるサービス導入にとどまらず、現場の声を反映した運用の最適化やAIによるナレッジ共有の自動化へと進化し続けている。ユーザーとして苦労と成功を経験したからこそ、MISOLは企業の“痛み”に寄り添った提案ができるはずだ。カスタマーサクセスの変革を志す企業にとって、未来を共に描く伴走者となるだろう。

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