SaaSの導入に伴って情報が分散する中、いかにセキュアな状態で情報のサイロ化を解消し、ナレッジとして活用できるか。「Box」の代理店である丸紅ITソリューションズが注目するのが、エンタープライズ検索、AIアシスタント、AIエージェントを提供するプラットフォーム「Glean」だ。
コロナ禍やDXを経て、コミュニケーション環境は大きく変化した。かつてはメールや電話、対面での会話が中心だったが、用途に応じたデジタルツールによってスピードと手軽さを手に入れた。
しかし、利便性の裏側で新たな課題が浮き彫りになっている。「Teams」や「Slack」などでのやりとりに加えて、クラウドストレージに保存した資料やポータルサイトの掲示などに情報が散在し、どこにあるか分からなくなる「情報のサイロ化」だ。
「Box」を通じて企業のコンテンツ管理を支援する丸紅I-DIGIOグループの丸紅ITソリューションズ(以下、MISOL)も例外ではなかった。同社でさえ、増え続けるツール間の情報分断という壁に突き当たっていた。
同社の廣瀬翼氏は次のように振り返る。
「チャットツールは連携を容易にしましたが、情報を探すとなると困難を極めます。チャットでBoxの共有リンクを送る際、『これ見ておいて』といった簡易なメッセージで済ませることが多々あります。その瞬間はこの言い回しで話が通じますが、後でメッセージを検索しようとしても、『これ』や『あれ』ではキーワード検索に引っ掛かりません。チャットのログをさかのぼったりBoxのフォルダ階層を探し回ったりする必要があり、業務効率を著しく低下させていました」
生成AIを活用したエンタープライズサーチ「Glean」(グリーン)を提供するGleanの岩井智朗氏によると、ビジネスパーソンは1日の業務時間の約25%、時間に換算して約2時間を「情報を探す」作業に費やすというデータがあるという。人件費の4分の1が検索コストに消えている計算になり、経営的な観点からも決して看過できない問題だ。
「必要な情報を見つけられず、行動に移せない」という課題を解決するために、MISOLが着目したのがGleanだった。
Gleanは各種データベースや100種類以上のSaaSを横断的に検索できるサービスで、ユーザーが情報を探して内容を理解し、行動に移すまで1つの“場所”で完結できるようにする。最大の特徴は組織構造やチームの働き方、データや権限の構造といった「エンタープライズコンテキスト」(社内特有の共通認識)を理解するAIの能力だ。検索キーワードと一致するドキュメントを検索して提示するだけではなく、検索者の所属、役割、行動履歴、同僚との関係性などを踏まえて、その人にとって最も関連性が高い情報をAIがパーソナライズして提示する。
導入において最も重要になる「安全性」について、岩井氏は次のように説明する。
従来のエンタープライズサーチとの違いや、導入において重要な「安全性」について、岩井氏は次の3点を挙げる。
1.「人がどのように質問するか」に最適化した設計
検索技術と大規模言語モデル(LLM)を組み合わせることで、自然言語での質問やあいまいな依頼に対しても意図や文脈を理解し、単なるキーワード一致ではない回答が可能だ。「AIネイティブである点はGleanの大きな特徴です」(岩井氏)
2.情報の検索にとどまらず、業務の完了まで支援
Gleanは検索の他、複数のドキュメントやスレッドにまたがる内容を要約したり、ナレッジに基づいて新しいコンテンツを下書きしたりできる。AIエージェントによってチケットの作成・更新、ステータスの取得、ワークフローの起動などさまざまなシステムのアクションも自動で実行する。検索結果の精度向上だけでなく、工数削減の可視化や業務全体の生産性向上といった成果につなげることが可能だ。
3.大規模展開に堪えるアーキテクチャ
Boxに加えて、「Google Workspace」「Microsoft 365」「Slack」「Salesforce」「ServiceNow」「Jira」「Confluence」などと連携して、権限情報をエンド・ツー・エンドで扱う。ユーザーは閲覧権限のある情報のみアクセスでき、Gleanがデータを取得する際や回答を生成する際も、同じアクセス制御が適用される。これにより、セキュリティやコンプライアンス、信頼性を損なわずにGleanを展開できる。
MISOLは、「Microsoft SharePoint」で構築したポータルサイトの検索精度の低さに悩んでいた。ポータルサイトの検索窓の検索エンジンとしてGleanを導入したことで横断検索が可能になり、情報の探索時間が短縮した。同社はBoxカスタマーサクセス活動を通じて多くのユーザーから「複数のSaaSにまたがる情報を横断的に検索したい」という相談を受けていたことから、代理店としてGleanの取り扱いを始めた。
Gleanは強力なソリューションだが、日本企業が導入を検討する際には幾つかのハードルが存在する。代表的なものが運用負荷とサポート体制だ。海外のSaaS製品全般に言えることだが、マニュアルやサポートが英語のみだったり、日本の商習慣に合わない仕様が含まれていたりする場合、導入後のトラブル対応は導入企業のIT部門が引き受けることになる。
この懸念点について、MISOLの住田豊英氏は次のように述べる。
「ベンダーからの十分な支援を得られず、エンドユーザーからの問い合わせとの板挟みになる状況をIT部門は恐れています。次々に追加される新機能に追随するのが困難で、使いこなせないまま投資対効果が出ないという状況も散見されます。だからこそ、日本語による手厚いサポートや定着化まで伴走するカスタマーサクセスの存在が不可欠です。特にコンテンツ基盤のBoxは、どのように運用するかでGleanの運用レベルを一段引き上げられます。Boxの『Federated Search』機能をオンにして、通常はヒットしない.msgファイルの本文も検索対象にでき、メール起点のナレッジもGleanで見つけやすくなります。当社が持つBox運用の知見を生かして、Gleanでどこまで業務を変えられるかを共に設計したいと考えています」
アプリケーションとの連携も課題の一つだ。Gleanは他システムと連携するためのコネクターを100以上用意しているが、日本市場で高いシェアを持つ国産アプリケーションが網羅されているわけではない。
MISOLの阿部聖志朗氏は、Gleanの活用について次のように説明する。
「ユーザーからよく寄せられるのが、国産の業務アプリケーションに保管しているデータも横断検索したいという要望でした。しかし、Gleanは国産アプリケーションのコネクターを含んでいません。そこで私たちはGleanのAPIを活用して、Gleanのコネクターが用意されていないアプリケーションのデータ連携を検証し、Glean上での検索可否や実現方法を確認しました」(阿部氏)
阿部氏を中心とした開発チームは、GleanのAPI仕様と対象アプリケーションのデータ構造を踏まえ、権限情報を適切にマッピングすることでGleanの強みである「セキュリティ設定を維持したまま検索対象に取り込む」という仕組みが国内のアプリケーションにも適用可能かどうかを確認した。特に連携元のデータの項目や形式が固定されているアプリケーションであればコネクター開発に向いていることが分かった。
導入支援だけでなくカスタマーサクセス、サポート、アプリケーションを開発するプロダクト部隊というチーム体制で、日本企業の「ラストワンマイル」を埋められる点がMISOLの大きな強みだ。
強固なパートナーシップの下、日本企業の課題に合わせたサービスを展開するMISOLに対するGleanの期待は大きい。
「MISOLは、日本企業の課題や業務フローを深く理解しています。ツールを導入するだけでなく、『この業種のユーザーなら、Gleanでこのように業務を変えられる』という具体的なユースケースを提案できる点は非常に心強いです。グローバル製品の強みと日本市場への深い洞察を掛け合わせることで、ユーザーに本質的な業務効率化を提供できると確信しています」(岩井氏)
廣瀬氏は、Gleanの「エージェント機能」に着目しているという。
「AIに自然言語で指示するだけで複数のアプリケーションを横断してタスクを実行できるGleanのエージェント機能は、業務効率化の大きな武器になるでしょう。この機能は自由度が高い分、使いこなす難易度も上がります。そこをわれわれが支援することで、単なる検索ツールの枠を超えた業務自動化のプラットフォームとしての価値を最大限に引き出したいと考えています」
住田氏は中長期的なビジョンとして「情報の在り方そのものの変革」を掲げる。
「日本企業の現場には膨大なナレッジが眠っており、十分に生かし切れていません。これからは『情報を探しに行く』というスタイルから、必要な知識が必要な人に必要なタイミングで自然に『届く』という状態を目指したいと考えています。Gleanと当社の知見を組み合わせることで、日本企業の働き方をナレッジ活用の側面からアップデートしたいですね」
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