AIブームによって半導体の価格が高騰し、その余波が企業のIT投資に及び始めている。半導体を巡る動向の裏側を深掘りすると、企業が採り得る選択肢が見えてきた。
AIブームが原因で、半導体の品不足や価格高騰が起きている――こんなニュースを目にする機会が増えている。PCの販売価格が上昇するなど、影響が日本企業の足元まで広がってきた。サーバやネットワーク機器といったITインフラの根幹を成すハードウェアの調達にも影を落とすとみられ、「予算内で購入できない」「納入が遅れる」などの事態が想定される。
この状況を説明すると「AI向け半導体の需要が高まり、供給が追い付いていないため価格が上昇している」と表現できるが、原因はもっと根深いところにある。コロナ禍による半導体不足はすぐに解消されたが、今回は産業構造が変化しているため影響の長期化も懸念される。企業は、IT投資や経営戦略の再考を迫られるだろう。
AIブームの裏で何が起きているのか。先行きが不透明な中で、企業が取れる選択肢は何か。ICT機器の保守やリユースを専門とし、ITハードウェア市場の動向に詳しいゲットイットに聞いた。
生成AIの登場によって、AIの計算処理に長(た)けた半導体「GPU」の需要が増加し、価格が上昇している。NVIDIAの時価総額が世界トップに躍り出たことが、市場の盛り上がりを物語っている。しかし、今回の“半導体騒動”の原因はGPUだけではない。ゲットイットの鈴木氏は、GPUで処理するデータを保存する「メモリ」に注目する。
「AI処理に使う大量のデータを保存して高速に伝送できるメモリ『HBM』(High Bandwidth Memory)の需要が高まっています。PCなどのICT機器で使われる『汎用(はんよう)メモリ』は利益率が低いとされ、汎用メモリメーカーはAI企業にHBMを提供するために設備投資や製造ラインを切り替えているようです。汎用メモリの供給が絞られたことで需給バランスが崩れ、価格が高騰しているのです」
汎用メモリはさまざまな場所で使われており、影響を受けるのはPCやスマートフォンだけではない。ITインフラの基盤になるサーバはメモリモジュールがないと機能せず、IoTデバイスや車載機器などにも汎用メモリが組み込まれている。ICT機器の通信やテレワークなどに使うネットワーク機器にも汎用メモリが使われている。
コロナ禍で起きた半導体不足は、テレワークによるPC需要の拡大や物流の混乱など一時的な要因だったため、早期に解消された。しかし、今回は半導体メーカーが製造リソースをAI向けに集中させているため影響が読めないとゲットイットの新垣一也氏は話す。
「中古市場では、汎用メモリを搭載する機器の価格が3割から5割上昇しています。サーバの仕入れ担当部署から『価格がかなり上がっている』と報告を受けており、これが一時的なものなのか長期的に続くのか見通しが立ちません」
半導体の品薄状態や価格高騰が続けば、ビジネスへの影響は避けられない。ITハードウェアは数年ごとにリプレースするが、「リプレースしたくてもできない状況になりかねません」と鈴木氏は警鐘を鳴らす。半導体の価格が急速に上昇すると、「数カ月前に編成した予算に収まらない」というケースが起こり得る。
「見積もりの有効期間を2週間に設定するITハードウェアメーカーもあるようで、期間内に発注しないと価格が上昇します。2週間で投資を判断できる日本企業は少ないでしょうから、稟議(りんぎ)をしている間に値上がりしてしまいます。長期契約や大型契約であれば考慮してくれるかもしれませんが、日本企業はスポット購入が多いため難しいでしょう」(鈴木氏)
予算を潤沢に確保したとしても、納品が遅延してリプレースやIT戦略に支障を来すことがある。「保守サイクルが崩れる」「AIなど最新技術への対応が遅れる」「投資判断が難しくなり、次年度の予算編成に影響する」などのマイナス効果があると考えられ、鈴木氏は中堅・中小企業ほど影響が大きいとみている。コロナ禍で起きた半導体不足では「給湯器が修理できない」「自動車やゲーム機の出荷台数が伸び悩んだ」といった問題が起きた。業務への悪影響やビジネス機会の損失は抑えたい。
クラウドに移行しようとしても、長期プロジェクトになることが多いため即効性は薄い。移行できても、クラウドの基盤にITハードウェアが使われているため利用料の値上げとして跳ね返ってくる可能性がある。社内からクラウドに接続するにはネットワーク機器が必要であり、半導体不足の影響を無視できるわけではない。
新品のITハードウェアは入手しにくく、クラウドの効果は限定的――こうした課題を解決する方法として、既存のITハードウェアを使い続ける「延命」が有効だ。「半導体不足が落ち着くまで延命すれば、価格の高騰や納期の遅延を乗り切れます」と新垣氏は説明する。
ITハードウェアの延命方法の一つに、外部の専門企業に保守を任せる「第三者保守サービス」がある。メーカーの公式サポートが終了した製品でも修理や部品交換を受けられるのが特徴だ。ゲットイットも第三者保守サービスを手掛けており、新垣氏はそのメリットを次のように話す。
「安定稼働していて十分なパフォーマンスを発揮しているITハードウェアを『メーカーの公式サポートが切れたから』という理由だけで交換するのではなく、使い続けるという選択肢が生まれます。企業の成長や事業の拡大に合わせてリプレースは必要ですが、時期をずらすなどタイミングを調整できるため、経営戦略の一つとして採用が広がっています」
半導体不足を受けて対応に苦慮する企業が第三者保守の導入を検討するケースが増えており、ゲットイットにも相談が寄せられている。鈴木氏は「第三者保守を使って半導体不足から距離を置き、IT戦略を練り直すのがよいでしょう」と助言する。
「延命は対症療法に過ぎない」というイメージがあるかもしれないが、AIやDXなどのために新しいITインフラを導入する“攻めの投資”を支える選択肢になる。既存のITハードウェアを残して専門企業に保守を任せて運用コストを圧縮することで、新たな投資の原資を確保できる。
ITシステムの移行期に第三者保守を契約した出光興産は、メーカー保守が切れたサーバを延命して新技術の選定や検証にかけられる時間を確保。現行システムの安定稼働を担保しつつ、ITエンジニアが移行業務に集中できた。
第三者保守は、日本企業と親和性が高いと新垣氏は語る。十数年前のサーバが現役で稼働している工場や倉庫など、アプリケーションの互換性の問題でサーバを交換できない現場の延命ニーズを満たせるのだ。
既存のITハードウェアを使い続ければ、新たな機器によるトラブルや学習コストが生まれないためIT担当者の負担を減らせる。IT人材不足が叫ばれる中、優先順位を付けて「いま手をかけられない場所は第三者保守で対応する」という企業も多いと新垣氏は述べる。
ゲットイットの第三者保守サービスを利用する顧客は、2年から3年の契約期間が多い。新垣氏は、ITインフラの複雑化によって5年以上の長期契約が増えると見込んでいる。ITインフラが大規模で複雑であるほど、自社で運用するのが難しくなる。メーカーサポートが切れても使い続けてトラブルが起きるのを避けるために、第三者保守という“保険”が役立つはずだ。ゲットイットは日本の商習慣に適した第三者保守サービスを用意しており、顧客の要望に合わせて柔軟に対応できる手離れの良いサービスを提供していると新垣氏は強調する。
「AIブームに端を発する半導体不足は、長期化するかもしれません。影響を受ける可能性がある企業は、ゲットイットに早めに相談していただければ、余裕を持って準備できます。『結果的にうまくリプレースできました』となっても構いません。相談は無料なので、一緒にIT戦略の最適解を考えましょう」
ITインフラを巡っては「買い替える」「捨てる」「クラウドに移行する」という選択が主流だった。「使い続ける」という第三者保守を選択肢に入れることで、経営やIT投資の自由度が広がるだろう。既存のIT資産を生かし、変化の波を乗り越えるために第三者保守を検討したい企業は、ゲットイットに相談してみてはいかがだろうか。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2026年3月12日