バックオフィス業務を圧迫するICカード管理の負担や紛失のリスクを解消する手段として、顔認証システムが注目されている。どのように企業の課題を解決するのか、その実効性や新しい活用方法を探る。
数千人が勤務する製造現場の入り口や始業前のオフィスビルで日常的に発生しているのが「認証待ち」による従業員の滞留だ。ICカードをリーダーにかざして解錠を待つ。一見するとわずかな時間に思えるが、数百人、数千人が集中する場所においてはこの数秒の積み重ねが長い行列を生み出してしまう。
「1人当たり数秒のロスであっても積み重なれば従業員の心理的なストレスとなり、組織全体の生産性を阻害する要因になります」と、ロココの須貝拓真氏は指摘する。
特に、短時間に多くの人員が移動する物流センターや大規模工場ではこの滞留が動線をふさぎ、安全管理上の懸念にもなり得る。経営層にとって、この「小さな停滞」の解消は人的資源をより有効活用するための合理的な投資判断と言える。
こうした現場の課題は、待ち時間にとどまらない。
ICカードを用いた入退室システムは便利な半面、紛失リスクや管理コストが避けられない。総務や情報システム部門などのバックオフィス担当者にとって、従業員からの「カードを忘れたので解錠してほしい」といった突発的なトラブル対応は、本来向き合うべき戦略的な業務時間を削る要因になっている。
労務管理の観点では「なりすまし」の防止も重要な課題だ。物理的なカードは貸し借りが可能なため、打刻の客観的な証明が困難になるケースがある。従業員が紛失したICカードを悪意ある第三者に拾われると、不正侵入などの重大なセキュリティインシデントにもつながる。
そうした課題を解決する方法として注目されているのが、顔認証システムを使った入退室システムだ。物理的なICカードが不要で、顔写真と個人情報を登録するだけで利用できる。須貝氏は、顔認証システムの特徴としてセキュリティ対策と利便性の向上を挙げる。
「オフィス利用では、ICカードの紛失によるインシデントを恐れて、リスクヘッジのために顔認証システムを導入する企業が増えています。顔認証であれば、荷物を抱えている、台車を運んでいるといった両手がふさがった状態でも解錠できるため、工場や倉庫などへの導入も進んでいます」
須貝氏によると、顔認証システムの「認証スピードや認識精度を信頼できず、導入に二の足を踏む担当者もいます」と話す。「髪形やメークが変わったせいか、顔認証されない」「処理が遅い」などで行列になってしまったら顔認証を導入した意味がない。バックオフィス担当者には、厳格なセキュリティを担保しつつ従業員に過度な負担を強いない「スムーズな認証体験」の提供が求められている。
こうした課題に対してロココが提案するのが、自社開発の顔認証エンジン「RFA」を搭載した「AUTH thru」(オースルー)だ。
特徴は0.3秒以内※1という認証スピードで、歩きながらのウオークスルー認証が可能だ。そのため、工場や大規模イベントなどでもスムーズに入退場できる。目や口などの特徴を捉える「特徴点認証」を採用しており、認証精度は99.67%※2。マスク姿はもちろん、一定の条件を満たせば帽子とマスクで顔の大半が覆われた状態でも通過できる。
※1:iPad Pro第5世代で測定。
※2:認証精度は環境などの諸条件に影響されます。
顔認証と電気錠を連動させた「AUTH thru KEY」を使えば、オフィスの入室管理やマンションのオートロック解錠なども可能だ。
0.3秒以内の認証スピードという技術の背景には、同社が長年携わってきたエンターテインメント業界での知見がある。国民的アイドルの解散ライブや市民マラソンなど、「数万人の観客を開演までに滞りなく入場させる」という、時間的な制約が厳しい現場で実績を積んできた。
優れた技術であっても、導入のコストや工事の規模が大きければ投資としての合理性を欠いてしまう。AUTH thruは専用ハードウェアが不要で、スマートフォンやタブレットを利用できる。
「専用端末が不要なので初期費用を大幅に抑えられます。備品のタブレットを使える点も、コスト意識が高い情報システム部門に評価されています。設置から運用まで当社がしっかり伴走するので、安心して導入していただけます」(須貝氏)
プライバシーマーク基準対応のためAUTH thru KEYを設置したとある企業は、壁に穴を開けられない賃貸オフィスにも設置できる柔軟性や、入退室のログ管理を容易に強化できる点が導入の決め手になったという。入退室の記録は自動でデータ化されるため、管理部門によるログ抽出や照合といった業務が効率化でき、従業員からも「鍵を探す手間がなくなって、入室がスムーズになった」との声が上がっているという。
通信環境が不安定な現場への対応力もAUTH thruの強みだ。ライブ会場や屋外イベント会場などでの運用を想定し、データを端末に同期させておくことで、通信障害が発生しても認証を継続できる。これは、製造現場や災害時などのBCP(事業継続計画)を考慮する企業にとって有力な検討材料になるはずだ。
AUTH thruの特徴の一つにきめ細かいサポート体制がある。ロココはもともとITヘルプデスク業務やコールセンター運営から始まった企業であり、顧客に寄り添うサポートに重きを置いている。
導入先は、従業員の顔写真や個人情報を管理システムに登録するだけ。設置工事や、説明会の開催、運用後の検証など、顧客が自走できるまでロココの専門スタッフが支援する。「この伴走体制こそが、導入後の定着率を高める鍵だと考えています」とロココの蓮沼航平氏は強調する。
蓮沼氏は「運用を想定した動線作りも意識しています」と話し、ある菓子製造工場の事例を紹介した。同工場では、始業時の打刻渋滞が長年の課題だった。「その課題を解消するには、タブレットの配置場所が肝になります。人の流れや環境光を詳細に確認して設置場所の候補を3つ提示し、数日間テストしました」
テストの結果を踏まえて従業員がスムーズに移動できる場所を特定し、導入に至った。
顔認証の導入は、解錠手段の単なる置き換えにとどまらない。労務管理の質を向上させる側面を持つ。
同社の勤怠管理システム「RocoTime」と連携させれば、なりすましによる不正打刻を防止して客観的で正確な労働時間を把握できる。これはコンプライアンスの観点からも重要だ。物流現場などで増加している外国人労働者にとっても、顔認証は言語や識字の問題に左右されない、ユニバーサルな管理手法として機能する。
その他にも、ロココ独自の顔認証技術を使った製品として、ドライバー向けのアルコールチェック管理アプリ「AUTH BrAC」(オースブレス)など、多機能連携サービスを用意している。
AUTH thruは、認証の速さや導入の手軽さ、コストパフォーマンスの高さから、オフィス関連だけでなくエンターテインメント領域の引き合いも強い。国民的アイドルグループのライブ会場での使用や市民マラソン大会での導入事例がある。熊本城マラソンでは、約1万4500人のランナー受け付けに採用された。
「大会の事務局長には、なりすましの撲滅だけでなくスマホさえあれば導入できるというコストパフォーマンスの高さを評価してもらいました。従来はスタッフが参加者全員に顔写真付きの身分証の提示を求めて、目視で確認していました。AUTH thru導入後は、スタッフの工数を大幅に削減でき、前年度以上に円滑に運営できたそうです。リピーターが多い大会なので顔データをそのまま再利用でき、運用が非常に楽になったと喜んでもらえました」(須貝氏)
AUTH thruの柔軟性を生かしてカスタマイズした事例もある。人気漫画をモチーフにした施設では、認証画面のデザインと認証音に工夫を施したオリジナルのデザインを採用した。
「今後の展望として、顔認証にAIや属性分析を組み合わせてマーケティングや安全管理に生かす構想を進めています」と須貝氏は述べる。
入店時の属性分析による顧客体験の向上やアルコールチェッカーとの連動による安全運行管理の自動化など、顔認証を基点としたソリューションの可能性は多岐にわたる。
「顔認証は導入のハードルが高いと感じるかもしれませんが、運用が定着すればその利便性が組織の標準になります。まずは身近な悩みから相談してください」と須貝氏は語る。蓮沼氏も「現場の課題を丁寧にお聞きし、ビジネスシーンでの最適な活用法を提案します」と付け加えた。
顔認証技術はもはや特殊なものではなく、ビジネスを支える現実的なインフラになりつつある。0.3秒という認証時間は、単なるスピードの追求ではない。認証待ちのストレスから従業員を守り、バックオフィスを煩雑な管理業務から解放して組織全体が本質的な業務に注力するための有効な経営判断の一つと言える。
顔認証システムの導入を検討しているものの、費用感やリテラシー不足などで導入を諦めている企業は、ロココに相談してみてはいかがだろうか。きめ細かいサポート体制と、簡単かつローコストな導入に驚くことだろう。
*AUTH thru、RocoTimeは、株式会社ロココの登録商標です。
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提供:株式会社ロココ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2026年4月5日