山や海岸を3DCGで再現──デジタルツインが企業にもたらす恩恵とは?

山間部や島しょ部のリアルな3Dモデルを作成する「広域自然地形のデジタルツイン化」が注目を集めている。シリコンスタジオは「自然地形の3Dモデルは、さまざまな事業で活用できる」と訴求。デジタルツインの現状と、その活用例などを説明する。

PR/ITmedia
» 2026年05月28日 10時00分 公開
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 国土のほとんどを山が占める日本では、平地が少なく自然災害も多いため、人が安全・安心に暮らすための社会インフラの整備が欠かせない。内閣府が重点施策と位置付ける「国土強靭化」の推進や、頻発する豪雨・地震への防災対策の高度化を背景に、デジタル技術の活用への関心が急速に高まっている。その具体的な手段として注目を集めているのが、山間部や島しょ部などのリアルな3Dモデルを作成する「広域自然地形のデジタルツイン化」だ。

 国土交通省や国土地理院が主導する国土デジタル化の取り組みのもと、高精度のDEM(数値標高モデル)などの地理空間データのオープン化が進んでいる。ドローンや3Dレーザースキャナーで3D点群データを収集するといった高度化したデジタル測量技術もあり、広域自然地形のデジタルツイン化の関心を押し上げている。

知床半島3Dモデルの全景 樹木の高さや植生の違いなどもリアルに再現(提供:シリコンスタジオ)《クリックで拡大》

 とはいえ、データさえあれば誰でも簡単に活用できるわけではない。ベースとなるDEMにしても、中身はいわゆる座標データにすぎない。これを的確に変換・加工して役立つ3D地形モデルを作成するためには、高度なノウハウが必要だ。

 この課題解決に向けて存在感を高めているのがシリコンスタジオだ。同社の神鳥泰章氏は「実在する山岳や海岸、島々などを効率的に3Dモデル化する技術は、さまざまな事業に応用可能です」と話す。

リアルタイム3DCGに注力してきたシリコンスタジオの強み

 シリコンスタジオが展開するサービスの特徴は、さまざまな地理空間データと「Unreal Engine」や「Unity」などのゲームエンジンを組み合わせた独自のアプローチにある。地理空間データをゲームエンジンに取り込むまでの一連のワークフローを整備し、データの解釈・変換から3D地形モデルの生成・最適化まで、効率的かつ再現性の高いプロセスを確立している。

 同社が制作したデモCGを基に、その概要を見てみよう。デモとして制作したのは北海道・知床半島の羅臼湖を中心とした周囲約5.5キロ四方の地形を3Dモデル化したものだ。

北海道・知床半島の3Dモデル(俯瞰図)(提供:シリコンスタジオ)《クリックで拡大》

 同社の武藤洋介氏は「国土地理院が公開している1メートルメッシュのDEMデータを解釈・加工してUnreal Engineに取り込むことで、各所の標高を正確に反映した形状を作成しました」と説明する。

 もっともこれだけでは、単に地形をなぞっただけの無機質な画像にしかならない。そこがどんな景観を持つのか、植生の配置などにも地理空間データを使っている。

 「どの場所にどんな種類の、どれぐらいの高さの樹木が生えているかという情報を地理空間データから推定して配置を決めています。この処理には植生の配置情報とゲームエンジンのプロシージャル機能を組み合わせていて、樹木の種類や密度を自動的かつリアルに再現できます。地形の傾斜角度に応じて草や岩、砂などの地表素材を自動で切り替えるロジックも組み込みました。傾斜が急な地面は崖のような質感で再現し、小石がばらまかれた地面には草をまばらに生やすという感じです」

 一部の工程ではAI画像認識技術も取り入れた。「草地といっても、青々と茂っている場所があれば、枯れ果てて荒れ地のようになった場所もあります。そこで航空写真や衛星画像などから得た地面の色情報を基にAIによるセグメンテーションを行い、マスク処理を施しています」

知床半島3Dモデルの近景(提供:シリコンスタジオ)《クリックで拡大》

 今回のデモはオープンデータのDEMのみを使ったものだが、顧客が独自に測量したデータがあればさらに精度を高められる。カバーできていない範囲はオープンデータで補完も可能だ。「オープンデータだけでここまでできる」という手軽さと、カスタマイズの柔軟性を両立している。

 このアプローチの背景にあるのは、同社が長年にわたるゲーム開発環境の構築支援で磨いてきた動的な描画負荷の最適化技術だ。現代のゲームグラフィックには、現実とほぼ変わらないレベルのリアルさが求められる。ユーザーに違和感を抱かせないために、1秒間に60フレーム(16.6ミリ秒間隔)という非常に短い時間で描画を完了しなければならない。

 「カメラ(視点)からの距離に応じて3D地形モデルのポリゴン数を切り替えることで、レンダリングの負荷を軽減できます。近い場所のみ高精細なデータを動的に読み込み、遠ざかるほど粗く描き、視野から外れた場所のデータはメモリから即座に消し去る。こうしたテクニックを熟知していないと、3D地形モデルのリアルタイム表示はできません」(神鳥氏)

 特筆しておきたいのが、このデモCGを制作した際のスピード感だ。同レベルの大規模な自然地形をデジタルツイン化する場合、一般的には数カ月以上の工期がかかる。地形の高さ調整から植生の配置、視点移動に応じた質感の表現まで、CGデザイナーが手作業で行うと膨大な時間を要するからだ。これに対して同社は、一連のプロセスをわずか数週間で完了している。

 「当社は30年近くリアルタイム3DCGに注力してきました。社内にはゲーム開発関連の豊富な経験を有するクリエイターや技術者が多数在籍しています。3Dグラフィックスに対する飽くなき探求心と実践的なノウハウが私たちの競争優位の源泉であり、デザインとエンジニアリングの両輪でプロジェクトを短期間で推進できる体制が整っています」(神鳥氏)

防災、ドローン、自動運転、土木・建設、観光誘致……デジタルツインのユースケース

 広域自然地形のデジタルツイン化は、どのような業務に活用できるのか。

 1つ目は、政府や自治体における防災・減災分野だ。多くの自治体が配布しているハザードマップは平面地図に津波の浸水域などを示したものにとどまっており、住民が現実感を持ちにくい。「リアルな3D地形モデルでデジタルツイン化することにより、それぞれの地域で住民自身の視点から災害発生時の被害状況や避難方法などを理解できます」(神鳥氏)

神鳥泰章氏(執行役員 テクノロジー事業本部 副本部長 兼 技術統括部長)

 崖崩れリスクの高い斜面の特定や、火山噴火時の溶岩・火砕流の流れのシミュレーションなど、実際の地形データに基づいた防災訓練や対策立案への応用も期待されるところだ。

 2つ目は、自律型モビリティーやドローン開発の分野だ。山岳地帯や海岸など、オフロード環境での車両走行やドローン運航のシミュレーションをする上で、実環境に忠実な3D地形モデルは欠かせない。「建設機械の遠隔・自動操作の訓練や民間ドローンの運航訓練シミュレーションなどへの利用も視野に入ります」(武藤氏)

武藤洋介氏(テクノロジー事業本部 テクニカルアート室 テクニカルアーティスト)

 3つ目は、土木・建設分野だ。3Dモデル化した土地は、道路や橋梁(きょうりょう)のルート計画をはじめ、工事に向けた周辺住民や自治体との合意形成にも活用できる。「建設する社会インフラの未来を可視化してステークホルダーと共有する上で、3D地形モデルが大きな力を持ちます」(神鳥氏)

 観光・文化財アーカイブにも3D地形モデルは活用できる。風光明媚(めいび)な地域や歴史的な遺産を高精細なCGで再現することで、現地訪問前のバーチャル体験や最適な観光ルートの提案が可能だ。「自然地形は時代とともに変化するため、現在の姿をデジタルで保存しておく意義も大きいでしょう」(武藤氏)

 オープンワールドゲーム(広大なフィールドをシームレスに探索できるゲームジャンル)の背景制作でも、広域自然地形のデジタルツイン化は大きな可能性を秘めている。「この技術はもともとゲーム制作のノウハウを応用して発展してきましたが、ゲームの世界でも大規模なフィールドデータの作成コストは年々上がっています。そのため、土地の3Dモデル化技術の“逆輸入”が進むと考えています」(神鳥氏)

 同様にアニメや特撮映画の製作でも、観客の没入感を高める要素として実在の街や自然を忠実に再現する技術のニーズが高まっている。土地の3Dモデル化技術は、制作コスト削減と表現力向上を同時に実現するソリューションとして期待されている。

デジタルツインの初めの一歩は?

 企業がビジネス課題を解決するために広域自然地形のデジタルツイン化の技術を導入する場合、何から始めればよいのか。神鳥氏は「使用する技術スタックや詳細なシステムの仕様が固まっていなくても構いません。まずは『何のために3D地形モデルが必要なのか』を整理し、相談してほしいです」と呼びかける。

 顧客へのヒアリングを通じて解決すべき技術課題や潜在的なニーズを見極め、一緒にゴールに向かっていく。プロジェクトの計画策定からツール選定、3D地形モデルの構築、運用・保守までの全プロセスを一気通貫で伴走サポートするのがシリコンスタジオのスタイルだ。

 「顧客の用途や要件に応じたカスタマイズ提案を基本とし、データの調達(オープンデータの入手や独自測量など)からゲームエンジンを用いた3D地形モデルの生成・最適化、季節ごとに変化する植生の反映、道路や建物など人工物の制作・配置まで、ワンストップで支援する体制が整っています」(武藤氏)

 もちろん、最初から大規模な3D地形モデルを作成する必要はない。同社は、大きく分けて2つのアプローチによるスモールスタートに対応している。一つは、広いエリアをカバーする3D地形モデルをラフな精度で作成し、重点的に作り込む場所を絞り込んで精度を高める方法。もう一つは、狭いエリアに限定した3D地形モデルを高精度に作り込み、その品質と工程、効果を検証した上で対象範囲を段階的に広げる方法だ。

 広大な自然地形をリアルタイムCGで再現するシリコンスタジオのソリューションは先に紹介したユースケースにとどまらず、多岐にわたるビジネス領域で新たな可能性を切り開きつつある。「自分たちの事業でもこんな活用が可能なのでは」というアイデアが浮かんだならば、ぜひその一歩を踏み出してほしい。

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提供:シリコンスタジオ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2026年6月27日