なぜ今、AI・半導体企業は北海道を目指すのか? 札幌市・石狩市共催の現地視察ツアーで体感できる北海道の魅力とは

札幌市と石狩市は2026年11月、AI・半導体・データセンター関連企業の経営層に向けた「現地視察ツアー」を開催する。3日間で札幌市内の研究機関や、石狩市内のデータセンター・発電所を視察し、札幌市・石狩市での事業展開を検討する事業者に対して、両市の魅力を体感できるこの上ない機会を提供する。

PR/ITmedia
» 2026年09月09日 10時00分 公開
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 札幌市と石狩市は2026年11月4日から6日の3日間において、AI・半導体・データセンター関連企業の経営層に向けた「現地視察ツアー」を開催する。1日目は札幌市で北海道大学の半導体・AI研究拠点とスタートアップ支援施設を訪問、2日目は石狩市で稼働したばかりのデータセンターと発電所群を巡り、3日目は道内企業が集まる北海道最大級の展示会に参加する。

2025 年のツアーの様子(北海道大学の視察)

 普段は立ち入れない施設の視察と、現地でしか得られない地元企業の経営者との交流・人脈形成を通じ、札幌市・石狩市での拠点開設や事業展開を検討する入り口にしてもらうのが両市の狙いだ。

 両市がツアーを企画する背景には、北海道に進出する企業の増加がある。北海道は洋上風力や太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーのポテンシャルにおいて国内随一の地域であり、GX(グリーントランスフォーメーション)の取組みが道内各地で加速している。こうした再エネ基盤を背景として、次世代半導体の量産を目指すラピダスの千歳市進出や石狩市への大型データセンターの集積など、デジタルインフラの整備が急速に進んでいる。このようなビジネス環境の劇的な変化により、大きなビジネスチャンスが生まれているのだ。

ツアーを始めた理由は「2つの懸念」

 北海道進出を検討する企業の懸念は主に2つある。1つは、人材採用を順調に進められるかという点、もう1つは、現地にビジネスがあるかという点だ。

 これに対して両市は「道内の高等教育機関の半分以上が札幌圏に集まっていること」「地元志向の学生が多いこと」「札幌圏が北海道の人口の約半分に当たる250万人規模の都市圏であること」など、人材が豊富な都市であることをアピールする。ただ、商談や説明で言葉を尽くしても、現地を見てみなければ不安は解消しきれない。現地で札幌市・石狩市のビジネスポテンシャルを体感してもらい、ツアーの中で人脈を作ってもらう――それがツアーを始めた理由である。

 地方自治体の立地ツアーは通常、1つの自治体が単独で実施する場合が多い。札幌市と石狩市が共催という形を取るのは、札幌市の「豊富な若手人材」や「大学との共同研究環境」に、石狩市の「再生可能エネルギー発電所やデータセンターなどのデジタルインフラ」を掛け合わせることで、進出企業のインフラ調達から採用、大学連携まで課題を解決する相乗効果を狙っているためだ。

1日目は北大へ 夜は札幌の地元企業経営者と交流

 今回の立地ツアーは札幌市の中心部から始まる。最初の訪問先は北海道大学(以下、北大)だ。北海道では2025年4月から、北海道・札幌市・千歳市と北大、千歳科学技術大学が共同で、半導体の製造から研究、人材育成などが一体となった複合拠点の実現に向けた事業を展開している。

 北大はこの事業を通じて、半導体の設計から前工程・後工程・評価まで主要な製造工程を実習できる「半導体プロトタイピングラボ」の整備や人材育成、民間企業との共同研究などを行っており、当日は半導体関連の取組みを紹介する。

 同じく北大の「スマート農業教育研究センター」も訪ねる。広大な農地と道内179市町村の多様な地域課題を抱える北海道は、AIを実地で試す実証フィールドとして懐が深い。同センターで進む農業分野のAI活用研究は、その一端に触れられる入り口だ。

北海道大学スマート農業教育センター

 北大の後は、2026年7月に開業したばかりのスタートアップ支援施設「HooK」(フック)を訪ねる。コワーキングスペースやスモールオフィスを備え、事業計画策定や資金調達面など、スタートアップ企業が抱えるさまざまな課題解決のために常駐の専門家が伴走支援する施設だ。HooKが入る新築ビルである、アーバンネット札幌リンクタワーのオフィスフロアも併せて見学できる。

 夜には、東京と北海道の経営者をつなぐビジネス交流会「EzoEdo」に参加。「地元企業とのコネクションも作りたかった」という2025年の視察ツアー参加者の声に応えた形で、多くの地元企業経営者たちと直接顔を合わせて交流することを通じ、札幌市・石狩市での事業展開のきっかけをつかんでほしいという考えだ。

2日目は石狩へ 新データセンターと3つの発電所

 2日目はバスで石狩市へ移動し、脱炭素に向けて産業や社会の仕組みを転換するGX(グリーントランスフォーメーション)の関連施設を巡る。データセンターの地方分散が進む中で、地方のデータセンターがどう使われて、自社のビジネスにどうつながるのか、施設見学を通して現地で実感できる。

 今回見学できるのは、総務省によるデータセンター地方分散の助成を受けて建設された施設「石狩再エネデータセンター第1号」だ。この施設は2026年3月に竣工したばかりで、隣接する太陽光発電所から直接、再生可能エネルギーの供給を受けている。敷地には積雪寒冷地に合わせた垂直型の太陽光パネルや、太陽の動きを追う一軸追尾型の太陽光パネルが並ぶ。

石狩再エネデータセンター第1号

 午後は2026年度に運転を開始した「石狩地域バイオマス発電所」を訪れる。北海道道央地区を中心とした地域の未利用間伐材をチップにして燃やす木質専焼の発電所で、札幌市で生じた不要な剪定枝も燃料に使う。処分にお金を払っていたものが収入に変わり、資源と資金が地域で循環する。

 燃料はもともと森林としてCO2を吸収していた木材のため、燃焼で出るCO2は相殺されるという考え方に立つGXの取組みでもある。石狩の木材だけでは燃料を賄えないため、広域の森林組合と連携して収穫体制を築いた。

 その後、洋上風力発電の商用運転では全国2例目である「石狩湾新港洋上風力発電所」を視察する。2025年のツアーでも特に好評だった訪問先で、洋上に風車が並ぶ景観は珍しい。最後に、北海道電力の「石狩湾新港発電所」に向かう。一般的な再生可能エネルギー発電所とは規模の違う大型のLNG火力発電所(液体にした天然ガスを燃やす施設)だ。

 発電所の見学が多いのには理由がある。データセンター事業者は自社の電力消費量の大きさを強く認識しており、地元の電源の規模や安定性を自分の目で確認したいニーズがあるためだ。2日目のツアーは「石狩市には再生可能エネルギーの電源が豊富にあることを実感してもらうこと」を目的としている。市内のデータセンターは地元の再エネを最大限に活用して稼働しており、この優れた電源環境は今後もさらに拡大していく見通しである。

3日目は2万人が集う北海道最大級の展示会「ビジネスEXPO」へ

 最終日は、北海道最大級の展示会である「ビジネスEXPO」(北海道技術・ビジネス交流会)に足を運ぶ。IT・AIからロボット、宇宙、エネルギー、食関連技術など、道内外の多彩なイノベーションが一同に集結する大規模展示会であり、2025年は300社超の企業が出展し、2日間で2万人以上が来場した。「現地にビジネスがあるのか」という懸念に対して、道内企業と直接名刺を交わしながら答えを探せる場であり、北海道全体の産業の熱気を肌で感じつつ、将来のビジネスパートナー候補との出会いを実現する形で3日間を締めくくる。

札幌の都市機能と石狩にしかないフィールド

 3日間の行程の土台には、性格の異なる2市が隣り合う地の利がある。札幌市は都心部に企業や大学、病院、文化施設が集まり、地下通路や交通網が発達した北海道の中心都市だ。少し足を伸ばせばスキー場や温泉施設などのレジャー施設が豊富にあるなど、豊かな自然に囲まれた都市でもある。約200万人という人口規模でこのように高度な都市機能と豊かな自然が融合している都市は、世界でも珍しい。

 また、都心部では大規模な再開発が進んでおり、2020〜2030年の間に東京ドーム6個分に当たる、約30万平方メートルのオフィスが供給される見込みだ。さらに、賃料などのコストは首都圏より低く、コストメリットがあることや、東京都と約800キロ離れているなど、首都圏との同時被災リスクが低く、BCP(事業継続計画)の観点から企業のバックアップ拠点の適地であることが札幌のビジネス環境の大きな特徴である。

 石狩市は、工業団地や国際貿易港、1次産業という札幌市にはないフィールドを持つ。石狩市の担当者は「札幌市の都市機能や先端医療、学術機能を下支えするデジタル基盤が隣町の石狩市に備わっている」と表現。オフィスは札幌市に構えて、計算基盤には石狩市のデータセンターを使う……そんな構想も実現できる。通勤時間も首都圏より短いため、働く人の生活環境の面でもメリットがある。

最大2億円補助の支援策も

 ツアーで札幌市・石狩市を体感した後、具体的に進出を検討する際に知っておきたいのが両市の支援施策だ。札幌市はAI・半導体関連企業の進出に対し、賃料と雇用への補助として、最大1億円交付。本社機能の一部を移転する場合には最大2億円まで拡充する。進出の検討段階から進出後の事業展開までワンストップで伴走支援する同市は、2026年10月5日、東京でAI・半導体関連企業向けセミナーを開く予定だ。

 石狩市は地元企業や関係機関を要望に応じて紹介し、ユースケース作りの調整までワンストップで担う。データセンター事業者や、データセンター内にスペースを借りて自社サーバを置くコロケーション型サービスのテナント企業には税制優遇を用意している。さらにIT関連産業などの要件を満たす事業者に対し、固定資産税および都市計画税の課税免除を実施するほか、データセンター事業者などによる再生可能エネルギー利用設備などの導入に対しても投資額の2分の1(上限5000万円)を助成するなど、検討段階から進出後まで強力にバックアップする。

 北海道で人を採用できるのか、現地にビジネスはあるのか。その答えは資料の中ではなく、現地にある。新拠点の候補先に北海道を考えているのなら、札幌市・石狩市のビジネスポテンシャルを体感できる本ツアーに参加し、自分の目と足で直接確かめてほしい。

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提供:札幌市
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2026年10月8日