1999年にカルロス・ゴーン氏が掲げた日産自動車の再生計画「日産リバイバルプラン」。その原動力の1つとなったのが、ゴーン氏がいすゞ自動車からヘッドハンティングしてきたカーデザイナー中村史郎氏(現 日産自動車常務執行役員チーフクリエイティブオフィサー)だ。中村氏は、ゴーン氏が進める改革のテーマの1つである「強いブランド力の確立」をデザインでアプローチ。特に、2002年発売のキューブや2003年のティアナ以降は、特徴的なインテリアを持つモデルの開発を積極的に行ってきた。それから数年後の現在、“インテリアの日産”はすっかりユーザーに定着した感がある。 |
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上質なインテリアでクルマをもっと居心地のいい空間に変える――。日産のインテリアデザイン戦略は、2006年も「NISSAN INTERIOR 2006」という特別仕様車シリーズでスタートした。4月にシリーズ第1弾として登場したのは、リビングに居るようなくつろぎ感を与えてくれるインテリアを狙った「モダンコレクション」。ティアナ/ブルーバード シルフィ/ティーダ/ティーダ ラティオに設定した。 それまでのカーインテリアデザインの常識に、中村氏が果敢に挑戦したティアナは、<モダンリビング>という考え方をクルマに取り入れることで、インテリアをさらに心地よいものに仕立てた。モダンリビングでは、淡色系の内装にあえて焦げ茶の家具や真っ赤なソファを置いたりすることで独特な雰囲気を作り出す「インサートカラー」という手法がある。ティアナはこのインサートカラーコーディネーションを取り入れることで、独創的なインテリアを提案してきた。 |
今回の特別仕様車「モダンコレクション」シリーズでは、「ワイマラナー」という“第三の色”をインサートカラーとして採用している。ワイマラナーとは、ドイツワイマール地方で古くから貴族に愛されていた猟犬種のこと。この非常に高い能力の万能猟犬のみがもつ毛並みの独特の色合いと光沢感をインテリアで表現したのが「ワイマラナーインテリア」なのだ。微妙にグレーがかったワイマラナーのダークブラウン。その質感をシート地に再現し、明るいベージュの内装色に配することで、コントラストのあるモダンなインテリアを表現している。 |
特別仕様車の第2弾として2006年5月に発売した「スタイリッシュシルバーレザー」シリーズでは、ブラックの内装色に、シルバーをイメージさせる明るいグレーの本革シートを組み合わせた。このブラック×シルバーのシャープなコントラストを持たせた空間によってキビキビとした走りをイメージさせるスポーツセダンやSUVにふさわしい、緊張感を演出するインテリアに挑戦している。フーガ/スカイライン セダン/スカイライン クーペ/ステージア/ムラーノに設定。 |
2006年6月には、インテリア特別仕様車の第3弾として英国コンランとのコラボレーションモデル「Plus CONRAN(プラスコンラン)」をキューブ/マーチ/ラフェスタに設定。グレーの内装に映える赤のレザーシートによってプレミアム感を醸し出し“ロンドンの赤”を演出したのが「キューブ+コンラン」。キューブならではのソファー感覚をさらに上質に磨き上げた。この特別仕様車に限らないのだが、キューブのシートは、実は2クラスほど上の車格で使われるような厚さのシートを採用している。見た目だけでなく、実際の座り心地にもソファー感覚を求めているところがニクい。 |
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「マーチ+コンラン」のテーマは“Boho-chic”(ボヘミアとシックの造語)。モノトーン/金属的/クールといったカラーコーディネートのキーワードに、近年、植物をモチーフとした暖色系が好まれるようになってきた流れを表すBoho-chicを、木漏れ日のような大小の葉と花柄をあしらったモダンなシート地で大胆に表現している。 |
近年服飾や小物に見られるデザイントレンド“マルチストライプ”をアクセントに使った「ラフェスタ+コンラン」。ラフェスタ最大の特徴であるパノラミックルーフのシェードに、オーニング(日よけ)のようなストライプをあしらっている。また、シートのパイピング(玉縁)や専用のフロアカーペットにもストライプを取り入れ、パラソルやデッキチェアなど英国調のピクニックの雰囲気を演出している。 |