現在の“NISSANデザイン”を語る上で欠かせないのが、カルロス・ゴーン氏がいすゞ自動車からヘッドハンティングしてきたカーデザイナー中村史郎氏(現 日産自動車常務執行役員チーフクリエイティブオフィサー)。 1999年にゴーン氏が掲げた日産自動車の再生計画「日産リバイバルプラン」をデザイン面から大きくサポートし、新生・日産が掲げる「強いブランド力の確立」を、デザインでアプローチし成功させた日産のキーマンだ。 「新デザインセンター建設は、日産が2001年以降行ってきた世界規模でのデザイン開発施設リニューアルの一環。『世界をリードするデザインで強いブランドを確立する』というスローガンのもと、様々な取り組みを行ってきた流れをさらに加速させ、未来に向けて更なる進化(Super Evolution)をとげるための重要な投資。今後も自動車デザインの世界を我々がリードしていくという強い意思の表れ」と、中村氏は新デザインセンターの役割を語る。 |
新デザインセンターの総面積はこれまでの施設の約1.5倍となる4万2000平方メートルを有し、600人強のスタッフが働いている。一目見て分かるように建物は低層構造でそのかわりに非常に長く作られているのが特徴。建物内はプロジェクト毎にゾーニングされており、効率的に作業を進められるよう工夫されている。 |
「Collaboration&Communication」というテーマのもと、デザイン部門内の各機能間の連携強化だけでなく、商品企画、開発部門、サプライヤーといったデザイン開発に携わるデザイン本部外のメンバーとの連携をより効率的かつ効果的に行えるよう設計されているのである。 3階建ての1階がモデリング、2階がデザイン/企画、3階がコラボレーションエリアというカタチで縦軸のユニットで1プロジェクトを構成し、それらプロジェクトが横軸にずらっと長く連なっている……というマトリックス構造のワークスタイルが、このやたら長い建造物の正体なのだ。 |
エントランスは吹き抜けになっており天井が非常に高く、開放感あふれる空間を演出している |
「デザインは1本の線から始まる」という考え方のもと、建物内の壁には1本の線が入り口からずっと描かれている。それぞれのプロジェクトゾーンによって色が変わっていくが、基本的に1本の線ですべてのエリアが結ばれている |