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ライフスタイルにあわせた1台――最新ビッグバイク事情
選択肢の広がったビッグバイク市場

 一昔前、ビッグバイクといえばイコール各社のフラグシップであり、威風堂々とした大型車がほとんどだった。確かに高い満足感は与えてくれるが、ある程度メカの知識が必要とされたほか、なによりも「乗るぞ!」という心構えが必要で、日常的な利用には不向きな面もあった。しかし、最近ではビッグバイクもバリエーションが増えたことで、より身近な存在となっている。

 「教習所取得が可能となってから、ビッグバイクを求めるお客さんは間違いなく増えています。最近ではゆったりとライディングを楽しめるタイプの人気が高いですが、もともと趣味性の高い乗り物ですので、スポーツモデルを希望される方も多いですし、“コレに乗りたい”と指名買いされる方も非常に多いです」

 そんな最新動向を教えてくれたのは、全国に直営261店舗を展開するレッドバロンの鎌ヶ谷店店長を務める福本大悟さんだ。

 中型(普通自動二輪)のクラスでは手軽に乗れるスクーターの人気が高いようだが、大型では趣味性がさらに高まることから、車種の選択は「どれだけ自分の求めるバイクのイメージに近い」かが重要なポイントになる。各社の最新ビッグバイクをチェックしても、スタンダードなネイキッドからフルカウルのスポーツモデル、シリンダーの鼓動も楽しめるアメリカンまでさまざまなタイプがラインアップされている。

レッドバロン 鎌ヶ谷店

 ちなみに、レッドバロン鎌ヶ谷店で指名買いされることの多い車種の例として福本さんが挙げてくれたのが、スズキのGSX1300R“ハヤブサ”やカワサキのZZR1400。いずれも強烈なパワーと迫力あるスタイリングで見るものを引きつける個性的なバイクだ。これらは“いかにもビッグバイク”というパワーを堪能できる車種だが、日常的な利便性とパワフルさを両立させた600cc前後のミドルクラスの人気も最近では高まっているという。

 ホンダのCBR600RRやカワサキのZX-6R、ヤマハのYZF-R6、スズキのGSX-R600などがそれらの代表格で、“兄貴分”にあたるリッタークラスのスタイルをそのままにサイズダウンしており、日常の足としても使える利便性と、中型では味わえない力強さを両立している。「リッタークラスから600ccクラスのミドルクラスへ乗り換える方も増えていますよ」(福本さん)

スズキのGSX1300R“ハヤブサ”(左)、ヤマハ YZF-R1
利便性とパワーを両立させた ホンダ CBR600RR(左)、ツアラー派に人気のハーフカウル ホンダ CB1300 SUPER BOL D'OR

 これらとは別の傾向として福本さんが教えてくれたのが、「タンデム重視」の車種選び。高速道路の2人乗りが解禁されたことで、奥さんや彼女とタンデムツーリングを楽しみたいと来店するライダーも増えているそうだ。そうした人にはアメリカンやスクーターがオススメだそうだ。

思わぬ掘り出し物も――ユーズド市場にも注目

 確かに憧れのバイクはある。けれど、先立つものが……。そんなひとへの強い味方が中古バイクだ。クルマに比べると元来の価格が安価なせいか、メーカーやタイプ、カラーへのコダワリを少なくしていけば、それだけ手ごろな価格でビッグバイクが手に入る。

 「中古バイクはとても価格幅が広いので一概には言えませんが、探せば20万円台から見つかりますよ」

スズキ GFS1200

 福本さんのこの言葉は、少ない(?)お小遣いをやりくりしているお父さんライダーにとってまさに福音といえる。オススメとして挙げてくれたのは、ホンダのCB1000SUPER FOURやヤマハのXJR1200、スズキのGFS1200など。いずれもデビューからやや時間のたってしまった、ひと世代前のネイキッドタイプだが、スタンダード中のスタンダードとも言えるタイプだけに、ビッグバイクの入門用としてはうってつけだろう。

ヤマハ V-Max

 今では絶版となってしまった名車を手にしたいと思うならば、その手段は中古しかない。クルマの世界だと20年前、30年前の車両を探すのはかなり骨の折れる作業だが、バイクの世界では、NinjaやKATANA、V-Maxに900SSといった「あの日の憧れ」もまだまだ中古市場には多く存在しており、容易に探し出せる。

 さすがにこれらは年数が経過しているので、部品供給やアフターパーツの面で不安も感じるかもしれない。だが、元来の機構がシンプルなだけに、整備や保管状態が良好ならば十二分にライディングを楽しめる。それに、「あの日に乗りたかった」という思い入れは何よりのスパイスになるはずだ。

取材・文/+D Style編集部

取材協力/レッドバロン http://www.redbaron.co.jp/