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家電売り場を自分たちの力で変えたい――「amadana」
新しい家電ビジネスの形を確立する
リアル・フリート社長兼amadanaブランドマネージャーの熊本浩志氏

 4月19日、東京・銀座並木通り沿いにオープンした商業施設「銀座Velvia館」。その4階に総合家電メーカーリアル・フリートが、中目黒店、表参道店に続き3店舗目となる「amadana」の直営店を出店している。

 インテリアショップなどで販売されることも多いamadanaブランド。一方で同社は2009年までに国内に直営店を10店舗へ拡張することを明言している。ショップの現状や、今後の展望などについて、リアル・フリート社長兼amadanaブランドマネージャーの熊本浩志氏に聞いた。


 自ら設計して自ら作ったものを、純粋にエンドユーザーに届けたかったと言う熊本氏。直営店の最大のポイントは、amadanaの世界観をきちんと伝えられるかどうかだという。熊本氏は「家電のお店というのは、あまり長い時間いるところではない気がしています。個人的には好きなんですがね。見ていて楽しいと思うことも、ほとんど商品のスペックだとか機能。モノを大事にすること、それを価値として見てもらえるようなディスプレイの仕方、伝え方をとても大事にしています」とショップの役割について語る。

 もともと大手家電メーカーに勤めていた熊本氏。熊本氏は、「例えば『商品によって事業部が違う』だとか、『量販店からみて9800円でしか売れないから』だとか。モノづくり自体がとても不自由でした」と当時を振り返る。家電の売り場を、自分たちの力で変えていきたいという気持ちで同社を立ち上げている。「家電業界の問題点は、基本的に消去法で選ばれるその選択肢のなさ。こだわりをもった人たちが、愛着をもって買える家電というのを作り続けていきたい」と熊本氏。

 「そういう意味で、新しい家電ビジネスのあり方『製販一体』という形を確立したい。それを形にするには、やはり直営店しかないのではないかと思う」と直営店の意義について触れた。

そして世界のamadanaに
リアル・フリート 代表取締役社長兼amadanaブランドマネージャー 熊本浩志氏

 しかし熊本氏は、直営店をオープンしてから、amadanaの認知度の低さを痛感したと漏らす。特に表参道ヒルズ店のオープン時、ユーザーの認知度は1%に満たないくらいだったのだとか。「逆に僕らとしては(認知度の低さが)うれしかった。1年経ってどんどん認知度が上がってきて、リピーターがたくさん増えてきましたから。すごく意味のあることでした」と感慨深げに語った。

 一方で、世間で「デザイン家電がトレンド」と騒がれるのはピンとこないと当惑した様子の熊本氏。「決して奇をてらったことをやろうとしているわけでない」と強調した。「デザインというと分かりやすいので、取り上げられることが多いですけど、住空間の中でデザインを考えるなんて当たり前のこと。それにみなさんがイメージされる、色や形といった表層的な部分だけではなくて、五感、質感、売り方、伝え方、使い方だとか……そういったものを全部含めてデザインだと思うんです。こういった意味を作り出すことに、僕らは重きを置いています」(熊本氏)。

amadana 銀座店(写真左)3店舗の中で、一番の広さを誇る(写真右)
広めのカウンターを設け、顧客とのコミュニケーションを図る

 これまで比較的、カテゴリーごとに商品増やしてきたという同社は、今後商品ラインアップの充実を図っていくとしている。中でも、2007年2月に新たに発売されたサラウンドセットの評判が高いこともあり、「今後オーディオなどに力を入れていきたい」と熊本氏は方向性を明かした。

 また、2007年は、直営店の展開を広げ、徐々に海外進出の準備も始めているという。最後に熊本氏は「日本の家電を誇れるものにする。そして日本の家電ブランドから、世界のamadanaにしてきたい」と力強くコメントしている。

amadana 銀座Velvia館店
http://www.amadana.com/