ニコン「D3200」第2回――2400万画素と上手につきあう:長期試用リポート
ニコン「D3200」の撮像素子は2400万画素とエントリークラス製品としては非常に高画素。この高画素を誰でも実感できる活用法はあるのだろうか。
ニコン「D3200」の特徴のひとつと言えば、DXフォーマット(APS-Cサイズ)のエントリー機ながら有効2400万画素という高画素だ。最大解像度は巨大な6016×4000ピクセル、300dpiなら50.94×33.87センチの印刷が可能だが、「エントリー機にそこまではいらないだろう」と思う反面、「エントリー機だからこそトリミングが自由にできる解像度も必要」とも思う。
そこで今回は、この2400万画素を色々検証してみようと思う。
トリミングしてみる
ブログやSNSなどによく使われる画像サイズである長辺640〜800ピクセルを想定し、パソコン上で元画像を全体縮小/最適サイズにトリミング/中央部トリミングを試してみた。
この画像を、Webに使用することを想定し、長辺800ピクセルとして調整したのが次の3枚。
全体を縮小した場合は、1000万画素を越えるコンパクトデジタルカメラでも同じような結果となるため、2400万画素ならではのうま味を感じることはできない。とは言え、この情報量はすごいと感じる。
適度にトリミングして長辺800ピクセルに縮小した2枚目(中央)の画像は望遠レンズで撮影したような効果がありつつ、クリアな画質を維持できている。高画素ならではのうま味が出たように思う。
中央部分を同サイズでトリミングした3枚目(右)は、まるで超望遠レンズで撮影したかのような画像となった。東京タワーの描写は甘く見えるが、画面上部にかかるレインボーブリッジと比較すると空気の層によるものだと言うことが分かる。
作品を掲示することが目的であればしっかり撮ることが前提となるが、単純に情報を発信する際には何が写っているのかが重要となるため、今回のテストではD3200のトリミングの実用性が分かったように思う。
サイズを変えて撮影してみる
トリミングという観点から見ると2400万画素は十分実用的である事が分かったが、トリミングをしない場合にそこまでの解像度は必要だろうか。と言うことで、3段階設定できる画像サイズをL(6016×4000ピクセル)、M(4512×3000ピクセル)、S(3008×2000ピクセル)で撮り比べをしてみた。
2400万画素となるLサイズ(6016×4000ピクセル)の画像は全体的にディテールが甘いが、画像サイズが大きいこともあり画面右に見えるゆりかもめ線の駅(ピンク色の建物)の構造がわかる。
1350万画素となるMサイズ(4512×3000ピクセル)の画像は、Lサイズに近いディテールとなっている。画質は「FINE」で撮影しておりファイルサイズは6.23Mバイトと、Lサイズの9.94Mバイトよりは小さいものの、Mサイズにしたことによって撮影枚数が極端に増えると言うことでもなさそうだ。とはいえ、細かいビルの描写や手前の屋形船のなどの情景が分かり、解像度的にはMサイズでも十分であるとも言えよう。
600万画素となるSサイズ(3008×2000ピクセル)の画像は、木の枝や鉄柵などが1ピクセルで解像しておりモニターによる等倍鑑賞に一番最適な解像感となった。縦横の解像度が丁度半分となり縮小時の演算も整数で割り切れるため、細かい線や模様も綺麗に縮小されていることがわかる。記録ファイルサイズは3.73Mバイトと小さいため、同じメモリカードを使用した場合でも撮影枚数も多くなる。
上の例でも同様、Sサイズの解像感が一番高い。なお、これはあくまでモニターで等倍でみた場合であって、プリント時のリサイズであったり、素材としての用途であればMサイズやLサイズの方が有利である事を付け足しておく。Sサイズ、いわゆる600万画素でもキレイならば、2400万画素は必要ないのでは?と思い、古いカメラではあるが600万画素機である「D100」(有効610万画素 センサーサイズは23.7×15.6ミリ)でのスナップを引っ張り出してきた。今回のD3200とはレンズも異なるので参考までに。
ニコン「D100」で撮影( レンズは「Ai AF Nikkor 50mm f/1.4D」) 同じ600万画素相当でもD3200のSサイズほどの繊細さはなく、等倍比較ならD3200のLサイズと同様、全体的に甘めに見える。とはいえ、左奥ビルのレンガ模様が解像しているようにも見えるので、なかなかどうして侮りがたいものがある
というわけで、D3200のSサイズの解像感は2400万画素だからこそのものであり、画素数が少なくてはこうはいかないということが改めて分かった。高画素だからこそ、何に使うのかを明確にすることで画質やメモリカードの容量をうまくやりくりできるのだ。
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