これ1台で何でもしっかり 全域F2.8の1型センサー搭載機「DSC-RX10」実力診断(1/4 ページ)
100と1があって、10はさてというところに登場した「DSC-RX10」は、1型裏面照射型“Exmor R”に全域F2.8の24〜200ミリ相当ズームレンズを組み合わせた高倍率機。その実力と使い勝手を検証する。
1インチセンサーのコンパクト機が「DSC-RX100」、フルサイズセンサーの単焦点高級コンパクトが「DSC-RX1」ときたら、さあDSC-RX10はどうなるか。ちょいと予想外の展開でありました。
「DSC-RX10」 EVFがある上面がなだらかな曲線になっているが、よく見るとエッジがしっかり立ってて他のRXやα7に通じるところがあるボディ。中級一眼並の大きさ・重さだがグリップ感はよく、集中して構えられる
DSC-RX10(以下、RX10)はデカかったのである。でもデカいには理由がある。RX100系と同じ1インチセンサーを搭載した高倍率ズーム機だったのだ。ハイエンド機はより高性能なレンズを要求されるので、どうしても普及型コンパクトよりレンズが大きくなる。だからどれもズーム倍率は抑えめだ。RX10は一時期「ネオ一眼」とも呼ばれたレンズ一体型一眼的なボディを採用し、その分大口径高倍率ズームレンズを搭載したのである。
24-200mm/F2.8という大口径ズームはすごい
だいたいにして「ネオ一眼」と呼ばれる大型の高倍率ズーム機は、ズーム倍率(それこそ40倍とか50倍とか)を優先して1000ミリ相当前後まで行くけど望遠端がF5.6だとか、撮像素子サイズが小さいとか何かと大きい割に写りは微妙だったりするのだが、RX10はそれらとは一線を画した設計になってる。
ズームは電動式。電源を入れると24mmの位置にレンズが少し伸びる。200mmのときもっとも伸びてこんな感じ。ズームリング(兼フォーカスリング)は大きめで回しやすい。その手前に絞りリングがある。全域F2.8なのできちんと値が刻印してある
なにしろ、レンズは24-200ミリ相当の8.1倍ズームでありながら全域F2.8なのだ。これはレンズが大きくなるのもやむを得ず、ってもんだ。望遠端でもF2.8なのは素晴らしい。高倍率交換レンズのスタンダードは28-300ミリ程度なので、比べると望遠側が少し足りなさげだが、広角側が24mmスタートという点に注目。一般的な撮影には28-300ミリより使いやすいレンジなのである。
さらに、撮影最短距離はワイド端でレンズ前3センチ、テレ端でも30センチまで寄れる。200ミリ相当でレンズ前30センチである。これはよい。
そして撮像素子はRX100/RX100 IIと同じ1インチの裏面照射型CMOSセンサーで、有効画素数は2020万画素。つまり「これ1台でRX100系のあのクオリティで広角から望遠まで必要な焦点距離は全部まかないつつ、全域F2.8と明るい上に、全域でそこそこ寄れるけどちとデカい」という超便利なカメラなのだ。
デカいけれども、使い勝手はかなりよい。
少々重たいが(撮影時重量で800gを越える)、グリップしてEVFをのぞいたときの安定感はかなりあるし、ボディの質感も安っぽさがまったくなく、ボタンやダイヤルの感触も悪くない。ワンランク上のカメラである。
ズーミングは鏡胴のズームリングと電源スイッチのズームレバー、どちらでも使える……そう、電動ズームなのである。見た目的に「メカニカルズーム」かと思いきや電動である。慣れればまあ問題ないのだが、すばやく焦点距離を変えたいときにちょっと困る。
そのかわり、ズームリングはMF時にフォーカスリングとしても使える。おかげでMFはかなり快適。ズームリングの手前には絞りリングがある。F値が全域固定なのでできるワザだ。絞りリングはRX100と同様クリックのない滑らかに回る形式だが、鏡胴についているスイッチを切り替えるとクリック付にすることもできる。
ボディ正面には液晶パネル。さらに露出補正ダイヤルがあり、背面には電子ダイヤルと十字キー周りのホイールを持つ。感覚的には、ハイエンドミラーレス一眼と同等だ。おかげでかなり気持ちよく使える。
モニタはEVFと背面液晶。EVFの大きさはまずまず。明るさを調節できるので少し明るめにしたいかも。背面はチルト式の液晶モニタでタッチパネルはなし。モニタをめいっぱい上にチルトさせて上から見ながら撮ろうとすると、後ろにはみでたアイピース部で一部隠れちゃうのが残念だが、それ以外は気にならず。
基本機能的にはそんな感じだ。
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24-200mm、ズーム全域F2.8の大口径カールツァイス「バリオ・ゾナーT*」を搭載した、1.0型大型センサーモデル
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