まずこの1本からもアリ、引いてよし寄ってよしの旅レンズ――シグマ「SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM」:交換レンズ百景
高い光学性能と小型化の両立を目指すコンセプトに沿って誕生したこのレンズ、小型軽量な高倍率ズームとして旅行のおともにはもちろん、この1本を基準に多少点をそろえていくというレンズライフの基準点にもなるレンズだ。
シグマからAPS-C用高倍率ズームが登場した。それは「SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM」だ。シグマの新しいプロダクト・ラインのデザインに準拠したスタイルはスタイリッシュで美しい。このレンズはエントリークラスのカメラに装着されるケースが多いと思われるが、カメラがひとクラス上に見えるくらいの仕上がりである。
ズーム比7倍以上のズームレンズとしては最小クラス(シグマウェブサイトより)とのことで、非常にコンパクトだ。そのサイズ感はまるで標準ズームレンズのそれである。今回はこのレンズをキヤノンEOS Kiss X7に装着して試したのだが、その軽さとハンドリングのしやすさは絶妙であった。
光学ファインダーとライブビューも使えて、35ミリ換算で約28.8〜320ミリ相当(Kiss X7は1.6倍換算)までの画角をヒョイヒョイと振り回せるのは実に魅力的だ。このサイズのボディとの組み合わせは旅行やスナップにはベストマッチではないだろか。
とても軽いのでブラブラと街中をスナップ撮影するのに向いている。「!」と気になるものを発見したらササッとズーミングして素早く撮影できるのが高倍率ズームレンズの良さである。標識を画面左にワンポイントで置いて斜めに走る構造物のラインを面白く撮影した1枚。コントラストも高くディテールもしっかりと写しとっている。
200ミリのテレ端で温室内にある池の花をシューティング。花の色と水面に浮く葉の質感が素晴らしい。テレ端の開放F値は6.3と高倍率ズームとしては標準的なものとなっているが、前ボケと後ボケも自然な感じでなかなかのものではないだろうか。
前カットと同様の開放テレ端での撮影。薄暗い場所のためISO感度がグッと上がっているが、手ブレ補正機能もよく効くので、もっと暗い条件でも手ブレを恐れずに安心して使用できそうだ。ミミズクの眼力と羽毛のフサフサとしたディテールがとてもよく再現できている。
18ミリのワイド端での描写もなかなかのもだ。F8まで絞れば画面の隅々までシャープな画となり、周辺光量の低下も気にならないレベルになる。引いて良し、寄って良しのこのレンズは旅行や山歩きには外せない1本だと思う。
これくらい軽量とコンパクトなレンズだと、1日の撮影移動量を大幅に伸ばすことができる。それだけ様々な被写体との出会いが増え、いいカットを撮影する確率も高まるし、光学ファインダーをのぞいて撮影できるので、被写体に集中できる。これは古い宿場町を巡って丘を登り振り返って撮影したカット。屋根瓦から背景の冠雪した山までイメージ通りの写りだ。
焦点距離によって穏やかな収差が出現するが、気になる場合は画像ソフトで簡単に編集できるレベルのモノだ。これは高倍率ズームレンズの宿命ともいえるが、旅行や移動中などではそれよりもレンズ交換なしで、シームレスに思った通りでのフレーミングで撮影ができることの方が大切だと思う。
このレンズ1本あればたいていのシーンでの撮影は間に合うだろう。なので交換レンズを揃えていく際に、まずこのレンズを基本にして、ボケ味重視や暗いシーンで使用する明るい単焦点レンズを追加していくのもいいと思う。撮影に出かける際にレンズ選択に迷った場合の装着する1本としてもオススメできる。もし旅行にレンズを1本だけ持って行くのであれば、このオールマイティーなレンズをボディに装着していくことをオススメしたい。
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