標準ズームレンズの「望遠」を使ってボケのある写真を撮ろう
レンズキットを買うと付属する標準ズームレンズですが、そのズームを「被写体の大きさを変える」ためだけに使っていませんか? 今回は「望遠」を効果的に使うポイントを解説します。
「望遠」の特徴
前回(基本の一本! 標準ズームレンズの使いこなし 「広角」「望遠」の違いを知る)もチラッとご説明いたしましたが、改めて「望遠」の特徴を紹介すると以下の2点になります。
- 写る範囲が狭まるため、背景の整理がしやすい
- ボケるので一眼カメラならではの写真が撮れる
意識して望遠側を使って写真を撮ることで、背景を整理してボケのある一枚に仕上げられます。結果、自然に被写体が目立ち、わかりやすくインパクトのある一枚になるのです。早速、実践しながら覚えていきましょう。
カメラ設定のポイント
- 1 モードダイヤルを「A」や「AV」といった、絞り優先モードに設定します。これでレンズの絞り(例:F5.6)を簡単に指定できるようになります。
- 2 レンズの焦点距離を55ミリなど最大望遠にし、絞りを最も開けた「開放」にします。デジタル一眼レフ「EOS kiss X7」のレンズキットに付属する標準ズームレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM」ならば焦点距離は「55mm」、絞りは「F5.6」になります。
上記の設定にすることで、標準ズームレンズを望遠にしたときにピントの合う範囲を狭くすることができます。ピントの合っていない範囲が「ボケ」ですので、結果的にボケの範囲が広く、被写体が引き立つ写真となるわけです。
レンズの焦点距離やカメラの設定を決めたらズームはその位置で固定し、あとはファインダーやモニターを見ながら撮りたい位置を探します。被写体に近づきたい、逆に遠ざかりたい、という場合でも自分が動いて、ズームリングを回さないことがポイントです。
この2枚の写真は写真はいずれも標準ズームレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM」の望遠端を使用していますが、上が「F11」、下が絞り開放の「F5.6」で撮ったものです。絞りをなるべく開ける(Fで表現される値を小さくする)ことで大きなボケを表現できることが分かります。
被写体と背景の「距離」にも気を配りましょう
背景をボカすポイントは、実は被写体と背景の距離にも関係があります。
「ネットや雑誌でこのレンズを使っているのを見て買ったんだけど、そんな感じにボケない…… なぜ?」
こうした相談が寄せられて写真を拝見させて頂くことも多いのですが、実際、このような場合は「被写体と背景の距離が近いこと」がよくあります。下図のように“被写体と背景を離す”ことで解決するので、これもぜひ覚えておきましょう。
さて、次回は標準ズームレンズの「広角」側を使った、効果的な撮影方法を解説したいと思います。
撮影者プロフィール
MAKOTO TSURUTA(つるた まこと)
元『週刊ゴング』カメラマン。スポーツで写真を学び、その後メーカー担当として首都圏量販店に常勤し、一眼レフカメラの販売を担当。現在Webプロモーションを得意とする活動の傍ら、写真をさらに楽しむコンテンツサイト「PHOTOWORK」http://photowork.jp/を運営中。個人サイトはhttp://one-cut.net/
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