圧倒的な精細感と心地よい操作感を両立――「D810」インプレッション(後編)(1/2 ページ)
ニコンの「D810」は、主にプロや写真愛好家層をターゲットにしたフルサイズ一眼レフだ。画質だけでなく、使い勝手の面も既存モデル「D800/D800E」から大きく進化している。
撮影時の内部振動とシャッター音を低減
ニコン「D810」を試用して、既存モデル「D800/D800E」から最も大きく変わったと感じるのは、操作フィーリングがソフトになったこと。従来は、シャッターを切った瞬間に手に伝わるミラーショックやシャッターショックがやや大きめで、シャッターの作動音は少々甲高い印象だった。だがD810では、内部の駆動機構やミラーバランサーを新設計したことで、撮影時の内部振動と作動音がともに低減されている。下位モデル「D600/D610」に近い、振動と音の小ささといっていい。
レリーズタイムラグについては、D800/D800Eの約0.042秒から、D810では約0.052秒へとスペックダウンした。起動時間は変わらず約0.12秒。連写は最高4コマ/秒から、最高5コマ/秒へと高速化した(FXフォーマット時)。レリーズタイムラグの低下は少々残念に感じるが、個人的には、それ以上に振動と作動音が抑制されたことによる操作感の向上を評価したい。スピーディなAF性能と相まって、心地よいシャッターフィーリングで快適に撮影が楽しめる。
AFは、これまでと同じく15点クロスセンサーを含む51点測距に対応。ハード面の改良とアルゴリズムの見直しによってAF精度を向上させたほか、AFエリアモードの1つに「グループエリアAF」を追加した。これは上位機「D4S」から継承したもので、選択した1点のフォーカスポイントに上下左右の4点を加えた計5点のポイントで被写体を捉えられるモードだ。動きのあるシーンを撮る際に、AFの中抜けを抑えることができる。
5コマ/秒で連続撮影した中の1コマ。AFにはグループエリアAFを使用した。シャッター優先AE(F7.1 1/500秒) 露出補正:±0 ISO200 WB:晴天 焦点距離:85mm レンズ:「AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR」
ライブビューの拡大表示機能を利用して、マニュアルフォーカスで撮影。絞り優先AE(F11 1/30秒) 露出補正:-0.7 ISO200 WB:晴天 焦点距離:50mm レンズ:「AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G」
遠景の細かい部分までシャープに解像する描写性能を確認できる。絞り優先AE(F11 1/50秒) 露出補正:±0 ISO64 WB:晴天 焦点距離:50mm レンズ:「AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G」
ライブビュー機能も進化した。従来機のライブビュー表示は、設定した絞り値がそのまま反映した表示だったが、D810ではプレビューボタンを押すことで、設定した絞り値での表示と開放絞りでの表示を切り替え可能になった。また、あらかじめ設定した表示倍率にすばやく拡大できるようになった点も便利だ。
ユニークな新機能としては「2点拡大表示」が挙げられる。これはライブビュー撮影中に、液晶ディスプレイ上の同じ高さにある2点を拡大表示する機能。建築物などの撮影で、厳密な水平合わせをしたいときに役立つ。
サイズSでのRAW記録や電子先幕シャッターに新対応
操作面では、ボディ背面に「iボタン」を搭載したことが新しい。これを押すと、ファインダー撮影と静止画ライブビュー、動画ライブビュー、再生モードのそれぞれで使用頻度が高い設定項目が表示され、各値をすばやく変更できる。
そのほか、画面内の最も明るい領域を検出し、その部分に重点を置いて測光する「ハイライト重点測光」や、ミラーアップ撮影時にブレをいっそう抑える電子先幕シャッター、記録画素数を4分の1に抑えた「RAWサイズS」や、1080/60pフルHDムービー記録機能などを新搭載する。
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