第180回 昆虫とマクロとピントの山の関係:今日から始めるデジカメ撮影術(1/3 ページ)
夏の盛りから少し時間が空いてしまって、ちょっと季節はずれになりかけているが、今回は虫を撮る話。マクロでぐぐっと寄るとなかなかキュートで面白い写真が撮れる。
とある秋の日、林道や小さなダムのある公園で自分の指をデジカメで狙っている女性がいたのである。よく見ると人差し指に赤とんぼがとまってる。
たまたま指の先に止まってくれたんです、というので、後ろから撮らせていただいた。
なんともうらやましい。こういう経験したことないのだ。
できれば、右手にマクロに強いコンデジか、マクロに強いレンズを付けた一眼を持っているときに、わたしの左手人差し指にとまっていただきたいと思う次第である。
トンボを撮ってみた
というわけでトンボである。
もし虫に出会ったら撮りたい、と思うのであれば、遠くから撮れる望遠時に寄れるレンズか中望遠系マクロレンズがあるといい。
レンズ交換式の場合、レンズのカタログに「最大撮影倍率」ってのが書いてある。マクロレンズの場合1倍(特に等倍マクロという)。1倍というのはイメージセンサーと同じ大きさのものが構図いっぱいに撮れますよ、つまりそれだけ小さいものをいっぱいに写せる距離にまで近寄れますよという意味。
等倍で撮れるのは単焦点のマクロレンズくらいなのだけど、ここの倍率が大きければ大きいほど――レンズによるけど、普通は0.2倍(1/5倍)とか0.3倍(1/3倍)くらい、たまに0.5倍くらい寄れる――より被写体を大きく写せる。こういうのは重宝する。
単に寄って撮るだけなら、超高倍率の超望遠のコンデジという手もある。画質的にかなり晴れてないとキツいけれども、2メートルほど離れた被写体でもぐっと寄って撮れちゃう力業は魅力だ。
これは水路のど真ん中にいたハグロトンボ。水に押し流されてる草の上で器用にくつろいでたのだが、水路の中まで入っていって撮影することはできないわけで、そういうとき超望遠ズームは便利なのだ。
にしても器用に足先だけでしがみついてますな。黒い羽も緑色に輝く胴体もキレイ。
お次もコンデジの望遠端。これ以上はピントが合わなくて寄れなかった。残念。オオシオカラトンボ。
コンデジでも晴天下で日差しを浴びてるような好条件下だとかなりよく撮れる。その代わり、日陰に入ったり曇天下でISO感度をあげなきゃいけない環境だとがくっと画質が落ちちゃうのだけど、まあその辺がコンデジ。
ただコンデジは被写界深度が深い(ピントの合う範囲が広い)のでピンボケしづらいというメリットはあったりする。
同じ赤とんぼでもマイクロフォーサーズのミラーレス一眼で撮ったものと見比べるとわかる。F5.6に絞ってるのだけど、さっきのコンデジの写真に比べると、ピントの合う範囲がぐっと狭いのが分かる。
ピントの山をどうするか、という問題
マクロレンズでさらにぐっと寄ると怖ろしいことになる。
ピントの合う範囲がすごく狭くなるので、ピントの山をどこに持ってくるかが重要になるのだ。
しかもカメラを手で持っていると手の微妙なぶれでピントがずれる。0.1ミリ単位くらいの感覚でピントを合わせなきゃいけないのだ。
一見、2枚の違いはわからないけれども、実は
これだと分からないので等倍に表示にして見比べてみた。
実はコレ、連写で撮った中の2枚。秒10コマの連写で撮っても、微妙にピントの位置がずれてる。
ちなみにどちらも目にピントを合わせようとしております。左の方が目にピントがきてます。
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