主要電子書籍ストア徹底比較 2011夏eBook Girlsがお届けする(2/2 ページ)

» 2011年06月30日 00時00分 公開
[ITmedia]
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eBookJapan

eBookJapan eBookJapan

 イーブックイニシアティブジャパンが運営する「eBookJapan」は、2000年12月に立ち上がった老舗の電子書籍販売サイト。

 国内最大規模となる漫画のラインアップを誇るのが特長。現時点で4万8000点近いラインアップを誇るこのメガサイトでは、総合図書のカテゴリで一部文芸書などを扱っているが、ラインアップの約85%を漫画が占めており、ほかの電子書籍ストアでの漫画の取り扱いを大きく引き離している。

 手塚治虫や石ノ森章太郎、ちばてつやなどによる名作はもちろん、現在連載中の作品なども数多く並ぶのが特長。電子書籍ストアの中には、現在連載中の作品を取り扱っていなかったり、取り扱っていても最新巻が用意されていないことなども珍しくないが、eBookJapanはその歴史の中で版元からの信頼を得ているためか、ほかのストアにはない作品の取り扱いも目立つ。

 コンテンツの提供形態はアプリ内に閉じたダウンロード型で、Windows、Mac OS、iOS(iPhone/iPadなど)、Android、Windows Mobile向けにビューワアプリが用意されている。このアプリは純粋なビューワアプリで、購入が行えるストア型のアプリではない(コンテンツはWebブラウザで購入し、後述するトランクルーム経由でビューワのライブラリに読み込ませる。また、版元の意向でモバイルデバイス向けには配信を許可していない作品もあるので、モバイルデバイスでは全体の1割ほどラインアップが減っている。

最近の電子書籍業界では「本棚」「ライブラリ」などと呼ばれる蔵書管理画面。eBookJapanでは「書庫ライブラリ」と呼ばれる(写真=左)/PC向けビューワで表示したところ。iPadなどのタブレットでは横持ちにすることで見開き表示となる。操作も軽快だ。(c) 角川書店

 購入したコンテンツは、「トランクルーム」と呼ばれるクラウド上の蔵書管理サービスを介すことで、複数の端末から読むことができる。トランクルームは、ユーザーが購入したコンテンツを同社のサーバ上に保存することで、ユーザーの端末が壊れたり紛失した場合でもコンテンツを保護し、かつ複数の端末でコンテンツを共有できるサービスで、2011年1月に無料化された。1つの会員IDで最大3端末からトランクルームを利用できるが、トランクルームへのアップロードとダウンロードの手間が発生する。

 また、1ポイント=1円相当のポイントサービスを用意しており、基本的には購入金額の1%分のポイントが付与されるが、特定作品や全巻をまとめて購入した場合などはポイント付与率が高くなるキャンペーンを定期的に実施している。


eBookJapanは老舗のサイトだけあって、ラインアップが充実していてよいのです。トランクルームは慣れないとちょっと面倒に感じるけど。


まぁトランクルームも無料化されたことだし、今後のバージョンアップに期待してみるのもいいんじゃない?


電子書店パピレス

電子書店パピレス 電子書店パピレス

 「電子書籍パピレス」は、1995年に開設された老舗ともいえる電子書籍販売サイト。運営はパピレス。

 ラインアップはWebサイト上の表記で17万7972点となっているが、その約70%を洋書(12万4881点)が占めている。さらに成人向けの作品やグラビア写真集などを除くと、小説や漫画、雑誌のラインアップはほかのストアとさほど変わらない。

 コンテンツの提供形態はダウンロード型で、ファイルフォーマットに応じてビューワをユーザーが用意する必要がある。ファイルフォーマットは主要なものでbookend、XMDF、.book、WM-DRM、Adobe eBook、そのほか、PDF、HTMLなどで提供されているものもある。小説・実用書などの活字ものがXMDF、コミック・写真集がbookendを中心に提供されている。

 このうち、bookendはPDF形式のコンテンツを保護しながら配信するサービスで、閲覧はbookendクライアントまたはAdobe Readerを利用する。なお、洋書はすべてAdobe eBook形式での取り扱いとなっている。

 老舗の電子書籍販売サイトなだけに、スマートフォンやタブレットなどの比較的最近になって登場したデバイスへの対応が遅れており、現時点ではiOS、Androidともに非対応。ただし、姉妹サイトの「電子貸本Renta!」では、ストリーミング方式を採用することで、iOS/Android端末もサポートしている。

 コンテンツの決済方法は、クレジットカードのほか、WebMoney、インターネット銀行決済(楽天銀行、ジャパンネット銀行)、プロバイダー決済など。

 また、パピレスはTSUTAYA GALAPAGOSに対し、XMDF形式の一部タイトルを提供しているほか、XMDF形式の作品であれば、ソニーの電子書籍端末「Reader」にファイルを移すことで読むことができる。

 なお、パピレスは今後、オプトの持分法適用関連会社になることが発表されている。


ラインアップの大半が洋書なので、洋書好きな人にはいいわよね。わたしもっと英語のスキルアップしたいから洋書でいいんだけど、モバイルデバイスで読めないというのは通勤時間などを生かせないからちょっとつらいかな


そうね。こちらも昔からあるサイトだから、いろいろと拡張を繰り返してきたのが逆にゴチャゴチャしてるように取られちゃうのかもしれないね。


BOOK☆WALKER

BOOK☆WALKER BOOK☆WALKER(iPadから利用時)

 角川グループが2010年10月に発表、12月にプレサービスを開始した「BOOK☆WALKER」は、電子書籍にとどまらないコンテンツ配信を視野に入れたプラットフォームを版元自ら手掛けている点が注目を集めている。

 コンテンツの提供形態はアプリ内に閉じたダウンロード型で、内部的には.book形式のファイルフォーマットが用いられている。BOOK☆WALKERは当初iOSアプリが、2011年4月にはAndroidアプリも提供された(Android OS 2.2以降に対応)。コンテンツの決済方法は、iOSアプリではAppleの課金方式が、Androidアプリではクレジットカードのほか、WebMoneyが利用可能。

 なお、iOS版とAndroid版のアプリ間でコンテンツを共有できない仕様となっているほか、現時点ではPC Webのサイトからコンテンツを購入できないなど、マルチプラットフォームの展開に課題も残す。同一のApple IDであれば、複数のiOSデバイスで購入したコンテンツを融通できるが、この場合も自動的に同期されるのではなく、改めて購入処理を行う必要がある(二重課金はされない)。

 しかし、「涼宮ハルヒの憂鬱」や「とある魔術の禁書目録<インデックス>」など、若年層を中心に支持されるコンテンツを多くそろえる角川グループがコンテンツホルダーの強みを生かしてコミュニティーを形成している。

 当初の発表では、2011年7月がグランドオープンと位置づけられており、今後が注目される。なお、角川グループホールディングス(角川GHD)とドワンゴは2011年5月、両社の株式の持ち合いによる資本提携を発表しており、電子書籍ビューワ「ニコニコビューワ」の登場も待たれる。


ライトノベルを中心に超強力なラインアップを持つ角川さんにはいつもお世話になってます。わたし的にはまずここをチェックすればよさそう。


ニコニコ動画やGREEみたいな旬のサービスと積極的に連携しようとしているんだよね。あと、「涼宮ハルヒのBOOK☆WALKERナビ」や「長門有希のBook☆Walkerナビ」といったナビゲーションアプリもリリースしたりしてるのがうまくツボを押さえていて、人気が出そうね。お小遣い足りるかなぁ。


ソク読み

ソク読み ソク読み

 共同印刷グループのデジタルカタパルトが運営する「ソク読み」は、小学館がPC向けに展開していた電子コミックのオフィシャルショップを母体としており、2009年12月にオープン路線に転換、講談社、秋田書店など国内の大手版元13社が作品を提供する電子コミックストアとなった。

 コンテンツのラインアップは6月末時点で約4700タイトル、2万冊を超える冊数を用意しており(詳細は以下の表を参照)、小学館の漫画作品のラインアップがほかと比べて厚いのが特長。

ジャンル 少年マンガ 少女マンガ 青年マンガ 女性マンガ 総計
タイトル数 696(5563) 1961(5305) 1195(7474) 843(2086) 4695(20428)
ソク読み 6月末時点でのジャンル別配信タイトル数(括弧内は冊数)

 コンテンツはストリーミング型で提供され、Flashベースの専用ビューワ「DOR」(Digital Object Reader)で閲覧する。閲覧期間が購入から180日となっており、その分価格は1冊290円からとほかの電子書籍ストアに比べ安価に設定されている。

 現時点でiOS向けのアプリは用意されていないが、Android向けにはストア型のアプリが用意されている。Androidアプリは現時点で、NTTドコモから出ている「REGZA Phone T-01C」「GALAXY S SC-02B」「GALAXY Tab SC-01C」、ソフトバンクから出ている「GALAPAGOS SoftBank 003SH」がサポート端末となっている。

 コンテンツの決済方法は、クレジットカードのほか、WebMoney、BitCash、NET CASH、携帯電話決済(DoCoMo、au)、モバイルSuicaが利用可能。


小学館の作品が多いのが特長、と。


ストリーミング型だから長期で手元に置いておきたいようなものだとちょっと厳しいけど、さっと読みたい作品なんかはこれでもいいんじゃないかな。お財布にやさしいのがいいのです。


BookGate

BookGate BookGate

 廣済堂が手掛ける「BookGate」は、iPhone/iPadユーザーにターゲットを絞った特化型の電子書籍ストア。「持ち運べる総合書店」をコンセプトに、App Storeでストア型のアプリが提供されている。オープンは2010年8月。

 現時点でのラインアップは600点をわずかに超える程度で、多いときで30タイトルほどが週一回ペースで追加されている。ジャンル別では、インプレスジャパン刊行の「できるポケットシリーズ」などが並ぶ「コンピュータ全般」と、「自己啓発」のジャンルにそれぞれ60タイトル前後が用意されている。

 立ち位置としてはセレクトショップに近く、お目当ての電子書籍を探すというよりは、未知の分野への興味を喚起してくれるようなラインアップとなっているのが特長。また、ミュージシャンの石井竜也さんが執筆する「詞解文書」シリーズなど、書籍化されていないBookGateオリジナルのコンテンツも販売されている。

 当初は誌面レイアウトをそのまま表示するイメージ型のビューワアプリだったが、廣済堂は2010年12月にモリサワと提携、モリサワ フォントと組版エンジンを利用するモリサワの電子書籍ソリューション「MCBook」で制作されたタイトルも並ぶようになり、活字もののコンテンツもストレスなく読むことができる。

 決済はApple IDで行える。また、コンテンツの提供形態はアプリ内に閉じたダウンロード型で、基本的には期限なくダウンロードできる。


ちょっとコミック系ばかりが続いたので、渋いラインアップのBookGateは新鮮ね。ヴィレッジヴァンガードみたいな味のある本屋……って感じかな。こういうストアって自分の感性に合えばすごくいいんだよね。


オリジナルのコンテンツも真剣に制作しているのはポイント高いわね。こういうのっておざなりなものになりがちで、集客のために無料で配信する電子書籍ストアもあるけれど、BookGateはしっかりやっている感じがするわ。さて、このページに登場したストアを以下に比較してみたよ。


電子書籍ストア ラインアップ 対応デバイス 台数制限
PC Mac iOS Android Windows Mobile
eBookJapan 約4万8000点(ほぼコミック) 3
電子書籍パピレス 約17万8000点
(大半が洋書)
-
BOOK☆WALKER 非公開 -
ソク読み 約2万点 -
BookGate 約600点 -
電子書籍ストア比較その2

一口に電子書籍ストアっていってもいろいろあるんだね。綾は難しいことよく分からないけど、自分に合ったストアをがんばって探すのです。皆さんにもよい本との出会いがありますように。


※文中で紹介したタイトル数などの数値は「表で分かる電子書籍ストア比較」からの抜粋。







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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia eBook USER 編集部/掲載内容有効期限:2011年7月29日