PapercutとUsTwo、マルチメディア電子書籍向けの新たな方法を生み出す

リッチな表現を内包した電子書籍は、これから増えてくると思われるが、まずはオーサリング環境の普及に期待したい。

» 2011年10月14日 18時30分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 スウェーデンを拠点とするPapercutと、英国を拠点とするUsTwoは新たなタイプの電子書籍向けプラットフォームを開発するのに忙しい。両社ともこの新たな冒険がどこに着地するのか「待機して観察する」アプローチを採っている。

 PapercutはiPad向けに発表されたばかりで、UsTwoの出版部長、ヨナス・レナルモ氏はPapercutが出版プラットフォーム、ストアフロント、実験的ストーリーテリングの新たなジャンルとして最も考え抜かれていると話す。「われわれは、“本からページを取り除いたら何が起こるのか”というシンプルな問いから始めました。それによりこれまでとは違うものになっています」とレナルモ氏は説明する。

 彼らが取り組む、画像、動画、テキスト、アニメーションをシームレスに表示できるタイプの電子書籍について、過去にも似たような話を聞いたことがあるかもしれない。例えばPush Pop Pressは、同様のシステムを開発し、気候変動に関するインタラクティブな書籍でアル・ゴア氏と提携した。その後同社はFacebookに買収されたが、同社のアイデアや技術は将来のソーシャルネットワークサービスに大きな影響を与えることになろうだろう。

 Papercutアプリは、3つの物語で構成され、何人かの有望な英国人著者が執筆している。いずれも、一冊の本の中でさまざまなメディアを通じて著者あるいはアーティスト自身の表現を可能にする新たなプラットフォームに魅了されている。映像要素が特徴的なので、読んでみればほかの電子書籍との違いにすぐに気付くことになるだろう。

 両社はこのiPadアプリに対する世間の反応を見守っており、マネタイズできる可能性があるか慎重に見極めようとしている。両社がオーサリング環境をオープンにしてくれば、多くの作家がこのプラットフォーム上で書籍を開発できたのだが、最も拡張されたこの種の電子書籍を製作するための決定的リソースあるいはツールキットはまだ現れていない。

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