Marvel、印刷版と同日に電子版コミックを販売開始

米国の漫画出版社としてDC Comicsと双璧を成すMarvel Comicsが紙と電子の同時発売にいよいよ着手することになる。ゆっくりと地ならしを進めてきたこともあり、小売業者も好意的のようだ。

» 2011年11月11日 11時51分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 Marvel Comicsは先週、印刷版と同日に電子コミックを販売するつもりであることを明らかにした。

 同社は、AndroidとiOSデバイス向けに提供している自社アプリ経由で電子コミックを販売している。これに加え、comiXologyのような人気のあるサードパーティも同社の電子コミックを取り扱っている。Marvel Comicsは2012年4月までに電子コミックのラインアップ全体を提供する計画で、同社の電子コンテンツの存在感を拡大している。

 Marvel Comicsの上級副社長兼デジタルメディアグループ部長、ピーター・フィリップス氏は、印刷版のコンテンツを消費する人が非常に多いので、電子版の売り上げは印刷版の売り上げに影響しないはずだと述べた。同社はクーポンコードや印刷版の割引で実書店へ顧客を誘導する方法も模索している。

 また、同社の販売および出版業務上級副社長を務めるデビッド・ガブリエル氏は、印刷版と電子版の同日販売という選択に至るゆっくりとしたこれまでの取り組みが小売業者の恐怖を弱め、電子版タイトルだけでなく印刷版タイトルへの関心を強めるのにも一役買っていると述べた。「なぜならわれわれは慌てず、綿密に電子版同日販売を行うためのタイトルを選択したからです」。

 Marvel ComicsのアプリをiPad上にインストールしていれば、そこで選択できる電子コミックの数がさほど多くないことが分かるだろう。アプリは1週間に1度更新されているようで、最新のコンテンツが並んでいるわけでもない。コンテンツのほとんどはバックナンバーか、再刊されている20年前のシリーズの書籍だ。

 Marvel Comicsが印刷版と同日に電子版を出版するのは賢明な動きだ。DC Comicsは現在、それを同社のシリーズ全体の再始動とともに行なっており、記録的な売り上げを見せている。バンクーバーの多くのコミック書店と話した限りで、すべてのコミック書店で何年も見たことがなかったほどの来客があるとのことだ。顧客は新たなストーリーラインにより夢中になっているからなのか、DC Comicsシリーズの最新号を毎週購入するために書店を訪れている。Marvel Comicsは数年前に「The Ultimates」で自社のシリーズを確かに再始動したが、電子版コンテンツをオンラインで効果的に販売促進するデジタルインフラを所有していなかった。

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