ReadiumにACCESS「NetFront BookReader EPUB Edition」の技術が搭載

ACCESSは、同社のEPUB3対応電子書籍ビューワ「NetFront BookReader EPUB Edition」の技術が「Readium」プロジェクトに取り込まれたことを明らかにした。

» 2012年07月04日 19時13分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 ACCESSは7月4日、同社のEPUB3対応電子書籍ビューワ「NetFront BookReader EPUB Edition」の技術が、EPUB 3ビューワのリファレンス実装を開発することを目的とした「Readium」プロジェクトに取り込まれたことを明らかにした。同日、Readiumプロジェクトからは初となるChromiumのカスタムバイナリ(Readium-Chromium)が公開された。

 Readiumプロジェクトは、EPUBの仕様を策定する国際的な電子書籍標準化団体IDPF(International Digital Publishing Forum)が支援しているプロジェクトで、日本企業としてACCESS、イースト、ボイジャー、楽天/KOBOなどが参画している。

 ACCESSはこのプロジェクトへ積極的に関与することで、EPUB3ビューワのリファレンス実装に日本語組版の事情をしっかりと反映させようとしている。先日、日本電子書籍出版社協会(電書協)が、EPUBビューワ上で出版社が必要とする日本語組版の要素項目をまとめた要望表を公開しているが、EPUB3の日本語組版はまだこなれたものではなく、それを検証するための標準的な環境も十分にそろっているとはいえない状況にある。EPUB3ビューワのリファレンス実装を進めるReadiumが注目されるのはこのためだ。

 Readium-Chromiumは、Google Chromeのオープンソースプロジェクトである「Chromium」のレンダリングエンジンに、Readium-WebKitと呼ばれるReadiumプロジェクトの成果物を載せたChromiumのカスタムバイナリ。Mac OS X向けのバイナリのほか、ソースコードも公開されている。

Mac OS X向けにバイナリが公開されたReadium-Chromium。Chromeのエクステンションではなくレンダリングエンジンを差し替えたバイナリ。検証用に役立つだろう

 このReadium-WebKitにACCESSがNetFront BookReader EPUB Editionのコアエンジンの一部を改変・供与したことで、EPUBでの複雑な日本語組版表現を検証する際のツールとして役立てることができ、NetFront BookReader EPUB Editionで意図通りの表示も担保できるといえる。なお、NetFront BookReaderは楽天が7月19日から発売する電子書籍リーダー「Kobo Touch」のビューワエンジンに採用されたほか、イーストもACCESSから開発ライセンスを取得し、カスタマイズの受託開発を行う旨を発表している。

 ACCESSは今後、Readium-WebKitの成果をWebKitのメインストリームに協調させていく考え。

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