今、「雑誌愛読月間」だったって知ってます? 今年は電子雑誌も――雑誌は今

夏になると「夏の100冊」のようなフェアを数多く目にするが、そういえば「雑誌」にもそうしたフェアがあるのだろうか? 調べてみると、今はちょうど「雑誌愛読月間」の真っ最中だった。

» 2012年08月14日 13時15分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
雑誌愛読月間の広告。剛力彩芽さん雑誌ならではの表現をモチーフにした「フツーじゃ見えない世の中があります/発見をめくろう」というキャッチフレーズを呼び掛けている(出典:日本雑誌協会)

 毎年夏になると、書店には「夏の100冊」のようなPOPが並ぶ。筆者の場合は「角川文庫の名作100」などが記憶に残っているが、子どもの読書感想文など、夏休みの読書需要を狙ったこれらのフェアはそれぞれの出版社や書店などで数多く実施されている。

 文庫などの書籍、またはコミックだと、電子書籍の領域でも講談社の「夏☆電書」やブックリスタの「BOOKFESTA 2012 summer」など、さまざまなフェアを目にするようになってきた。

 ここで、ふと「雑誌」にも同じようなフェアがあるのかが気になった。あるような気もするが、どうも思い出せない。調べてみると、ちょうど現在、日本雑誌協会(雑協)が主催している「雑誌愛読月間」だった(7月21日〜8月20日)。

 その前身の「雑誌月間」(当時の主催は読進協)から数えると、1999年から毎年実施されてきた雑誌愛読月間。今年のイメージキャラクターは剛力彩芽さん(ちなみに1999年のイメージキャラクターは優香さん、10年前の2002年は井川遥さんだった)で、キャンペーン期間中、Webサイトや雑誌協会会員社発行雑誌300誌以上にキャンペーンPRが掲載されるほか、全国の書店、公立図書館にポスター約3万枚、首都圏と関西の主要電鉄会社だと約10万枚の中吊り広告が展開されているので、目にした方も少なくないだろう。

 この雑誌愛読月間中は、書店で定期購読を申し込むと購読料を1カ月分割り引く「定期購読キャンペーン」や、剛力彩芽さんのオリジナル図書カードプレゼントなどで消費者に雑誌をアピールしている。

今年から追加された電子雑誌書店横断コラボ企画はさりげないが業界的には大きな動きだ

 「顧客との継続的な関係を作る」という雑誌ビジネスの重要なポイントを踏まえ、その手段となる定期購読を推進するのは従来からの取り組みだが、今回、これまでは紙の雑誌だけでやっていたこの取り組みに初めて電子雑誌が加わり、電子雑誌書店横断コラボ企画が追加されていることに注目したい。BookLive!やReader Store、honto、e-hon、MAGASTORE、ビューンなど電子雑誌の取り扱いがあるストアと連携し、バックナンバーを100円で提供したり、半額で提供したりといった施策のほか、紙の雑誌の購入特典として特別に編集した電子版をプレゼントするなど、取り組み方はさまざまだが、紙の雑誌と電子雑誌の両方で存在感をアピールしている。

 この動きが興味深いのは、出版社、リアルの書店、電子書店、そして業界団体が力を合わせて取り組んでいる点だろう。雑誌ビジネス全体は厳しい環境下にあり、多くの出版社は雑誌のブランドを生かしたビジネス展開の1つとして電子雑誌、あるいはコンテンツ配信に関心を寄せている。しかし、必ずしもそうした動きとリンクするわけではないリアルの書店との合意形成を図りながらこの企画を今回実施したことは、紙と電子をそれぞれ単体で捉えるのではなく、雑誌の将来を業界全体が考えた結果ともいえる。

 ところで、そもそも「電子雑誌」という領域は出版業界で今どのように捉えられているのだろうか。電子雑誌の現状と周辺環境を考えると、「電子書籍」とは別の方向に進むのではと思う部分もある。そこで、eBook USERではこの雑誌愛読月間に関連して日本雑誌協会に取材を行った。電子雑誌、あるいは雑誌ビジネスが抱える課題などを整理した上で近日中に紹介したい。

 筆者にとっては、「雑誌愛読月間」の存在、そしてそこで今年から始まった電子雑誌に対する取り組みは興味深い発見となったが、読者の方も、夏の夜のお供に書籍ではなく雑誌を読んでみると「フツーじゃ見えない世の中」が見えてくるかもしれない。

雑誌愛読月間キャンペーン2012のポスター撮影に臨む剛力彩芽さんはYoutubeでみることができる

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