パピレスの投稿小説コンテスト大賞作「友食」にゾッとする

なかなか怖い。

» 2012年10月01日 15時04分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo 「友食」はupppiで読める

 「私たち四年四組の生徒には、他のクラスにはない特別な行事があります」――。

 10月1日、パピレスの電子書籍投稿サービス「upppi」(ウッピー)で開催されたホラー小説コンテスト「教えてください、あなただけがしってる『怖い話』」の受賞作が発表された。ホラー小説家の小林泰三さんらが審査員となり、総勢185のエントリー作品の中から読者評価も参考にした上で優秀作を選定。大賞となったのは、Hiroさんが投稿した短編作品「友食」だ。作品はupppiで誰でも読むことができる。

 「友食」にどんなホラー要素が詰まっているかは、そのタイトルから察しがつくだろう。学校を舞台に、生徒の淡々とした語り口で物語は進む。審査員の小林さんは、「異常な設定で最後まで一気に読ませる傑作である」とコメント。「子供たちは同級生を食べることも同級生に食べられることも全く恐れていない。それは洗脳の恐ろしさであるとともに宗教的な崇高さをも感じる。その善悪が混迷していく世界観が凄まじく素晴らしい」など、選評を通じて作品の見所を語っている。

 記者もさっそく読んでみたが、取り乱すこともなく穏やかに進む行事の一部始終が空恐ろしく、ホラー作品らしい寒気を味わった。最後の展開もなかなかで、苦手な人は血の気が引いてしまうかもしれない。

 同作品以外にも、佳作の「僕の棺」(黒棲一人さん作)、審査員特別賞の「国道666」(ファイブスさん作)など優秀作品が選ばれ、結果発表サイトで紹介されている。作品は無料で読めるので、ホラー好きにオススメしたい。

 パピレスでは受賞3作品をはじめ、優秀作のいくつかをアンソロジー形式に編集し、「電子書店パピレス」「電子貸本Renta!」で配信する計画。同アンソロジーには小林さんによる寄稿作品も収録する予定という。

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