3万冊を扱う“本屋”になった「ニコニコ静画(電子書籍)」を使ってみたコメント数で本を探すのも一興(1/2 ページ)

ドワンゴの電子書籍サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」が有料販売を本格開始し、iOSアプリにはストア機能が加わった。サービスを使ってみると、コメントの盛り上がりやタグ、イラストPOPを通じて作品に出会えたりと、ニコニコらしい仕掛けがあることが分かる。

» 2012年10月26日 14時37分 公開
[山田祐介,ITmedia]

 ドワンゴの電子書籍サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」が10月24日、有料作品の本格配信をスタートした。同社は今回、124の出版社と提携してコミックを中心に約3万2000冊(24日時点)の電子書籍を配信する。サービス内容については新サービス発表会の記事で紹介したが、ここでは使い勝手などをレビューしていく。なお、利用にはniconicoの会員登録が必要だ。

「コメント数が多い順」などで電子書籍が探せる

photo ニコニコ静画(電子書籍)のWebサイト

 これまで無料コンテンツの配信が主だったニコニコ静画(電子書籍)だが、PC向けWebサイトもiOSアプリも一気に“電子書籍ストア”らしくリニューアルした。まずはWebサイトから見ていこう。

 サイトのトップページには、特集コーナーやオススメ作品のピックアップ、特価コーナー、有料/無料作品の人気ランキングなどが用意されている。ニコニコらしさを感じたのは検索機能。ニコニコ動画でもおなじみの「コメント数が多い順」「マイリスト数が多い順」といった並び替えができる。ニコニコ的には当たり前だが、コメントの盛り上がりで作品を探せるのは面白い。


photo キーワードを指定して検索してみた。並び順を変えられるほか、各種のタグや「無料のみ表示」といった絞り込み検索が可能だ

 作品に登録されたタグも本を探すのに便利。例えば「掲載誌:週刊少年ジャンプ」「運営オススメ」といったタグなどがある。ニコニコ動画と同じくタグはユーザーも登録できるので、ユニークな視点のタグから思わぬ作品に出会えることも、今後あるかもしれない。

photo 小説のコミカライズを担当した漫画家がPOPを提供するという“中の人降臨”的なケースも。POPの画像をクリックすれば、ニコニコ静画のイラストページに飛ぶ

 作品ページに掲載される「イラストPOP」もニコニコならではの機能だ。ユーザーがニコニコ静画に投稿したファンアートなどを電子書籍のPOPとして登録できるもので、人気作品のページにはファンによるPOPが複数集まっている。この仕組みがあれば、人気絵師がPOPを作ることでその作品に注目が集まるといったことも起きそうだ。

 作品を購入する際は、PCの場合だとニコニコポイントを利用する。ポイントはクレジットカードで購入できる(3Dセキュア設定が必要)ほか、携帯3キャリアのキャリア決済、WebMoneyやBitCash、楽天あんしん支払、Edyと、豊富に決済手段が用意されている。PCで購入した作品はiOSアプリでも読めるし、iOSアプリで購入した作品をPCで読むことも可能だ。購入した作品は画面上の「メニュー」内にある「購入した書籍」に登録される。

 有料作品は買い切り版とレンタル版があり、同じ作品で双方が用意されている場合もある。レンタル期間は1週間のものもあれば、180日と長期な場合も。こうした販売形式や価格(ポイント数)が検索結果で分かれば便利なのだが、残念ながらレビュー時点では表示されなかった。作品ページには価格が表示されるが、「購入する」を押して次の画面に飛ぶまでレンタルなのか買い切りなのか分からない。このままでは不便なので、改善を期待したいところだ。


photophoto 紹介ページでは買い切りかレンタルかが分からない(写真=左)。「購入する」ボタンで次の画面に飛ぶと、180日間のレンタル作品だと分かった(写真=右)

 ビューワはこれまでのものと大きな変更はなく、スペースキーを押すことでコメントが流れるといった従来通りの使い方ができる。作品はストリーミングによりダウンロードの完了を待たずに読める。画面右下にあるアイコンで、フルスクリーン表示にも切り替えられる。


photophoto おなじみのコメントシステム(写真=左)。投稿時には色や大きさ、投稿位置などをカスタマイズできる(写真=右)

 コメントの投稿は“流れるコメント”だけでなく、表示位置を指定した投稿なども可能だ。無料の雑誌コンテンツなどにはコメントが比較的多く集まっているが、有料作品だとそうしたものはまだ少ない印象だ。また、コメントが投稿できない作品もある。出版社や作者の意向によって制限されているのだろう。

 小説や実用書などのテキスト作品は、文字の大きさや縦組み/横組みの変更ができる。作品によっては縦組み/横組みの指定が反映されないものも見受けられた。

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