電子雑誌、広告主の注目を浴び始める

2013年に広告主が直面する障壁と、取り組むべき課題を電子雑誌の隆盛と合わせて考えてみたい。

» 2013年01月21日 15時00分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 2012年、電子雑誌は確実に成長し、AmazonやBarnes & Nobleといった業界をリードする再販企業の多くは電子雑誌から巨額の売り上げを記録している。一方、広告主は電子雑誌を自社の宣伝予算に対する効果的な投資とみなし始めている。Custom Content CouncilとContentWiseがまとめた最近のリポートによると、マーケティング予算の39%を電子広告が占めているという。この数字は2011年から11%上昇しており、確実に時代の象徴といえそうだ。

 電子領域で広告主が直面する障壁の1つが、ユーザーの行動を追跡し広告主に分析を提供するコアとなる測定データだ。多くの巨大再販企業はこういったデータを提供しないが、PressReaderを利用するNewspaper Directのような一部企業はこうしたビッグデータの提供に関し、ユーザーがクリックした部分を追跡するヒートマップや、リアルタイムで雑誌、新聞内で読まれた記事データといった包括的なデータを提供することで、デジタル戦略全体を新たにデザインしようとしている。より大規模な企業もこういったデータを追跡しているが、正確な利用者動態の情報はほとんど開示しない。

 電子雑誌消費の隆盛はタブレットの販売台数に比例している。Appleは2年前のiPad発売以来1億台以上を販売し、Androidタブレットはほぼ毎分1台はアクティベーションされている。広告主はインターネットに浸透するあいまいな広告以外の何かを利用して、この新たなデジタルのトレンドに適応したがっている。

 2013年に広告主が直面する障壁の1つは、コンテンツに対するエンゲージメント率をいかに向上させるかだ。どうすればユーザーをキャンペーンに反応させられるだろうか。興味深い新モデルの1つは、サンフランシスコを拠点とするスタートアップ企業Kloutを利用して特典を提供することだ。

 Kloutはブランドや人のソーシャルメディアに関する可視性をFacebook、Twitter、Google+などのプラットフォームから測定している。リツイートされた回数、フォロワー数が多く、エンゲージメント率が高いほど、Kloutスコアは高くなる。シリコンバレー拠点の企業の多くは就職希望者にKloutスコアを求めており、高いスコアを持つ人材には有利な付帯条件を提示している。

 Lorealなど多くのブランドはKloutプラットフォームへ人々を引き寄せる電子雑誌広告を行なっており、オプトインしたユーザーに無料のコスメキットを提供していたりする。企業はユーザーが自社広告をクリックしたことを認識しており、ユーザーの住所や名前などの情報を獲得しているので、抜け目のない手法だといえる。Pinterestのギャラリーに基づいて製品を提供したり、対象製品と一緒に写真を撮るように奨励したりする企業もある。

 2013年に広告主が取り組むべき課題は、FacebookとTwitter以外の新メディア上でソーシャルメディアのインタラクティブ性を構築することだ。統計的にFacebookとTwitterは高いエンゲージメント率を提供でき、自社ブランドに対して顧客はクリエイティブになる。今年、電子雑誌でより多くのマルチメディア広告を目にし、広告業界が従来の紙雑誌広告から電子版へどうシフトしていくかを観察するのは興味深いのではないだろうか。

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