図書館の電子書籍をより可視化する方法

図書館で電子書籍が貸し出せるようになったとき、図書館はそれをどう宣伝し、貸し出しにつなげていけるのだろう。海外の事例を紹介したい。

» 2013年01月29日 09時42分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader

 多くの図書館は図書館利用者にスマートフォン、タブレット、電子書籍リーダーに対して電子書籍を貸し出せるようインフラへの投資を行なっている。Overdriveのような企業がこの領域では有名だが、多くの図書館が今憂慮しているのは、図書館の訪問者に対し、電子書籍の可視性が低いことだ。図書館はかなりのコストを掛けてシステムを構築し、図書館利用者のサポート方法についてスタッフのトレーニングを行っているが、電子書籍を所蔵していることを図書館はどう宣伝し、社会の認識につなげていくかは依然として大きな課題である。

 最近、サクラメント公共図書館のスタッフが、所蔵する紙版書籍と電子書籍をリンクする良い方法を考案した。電子版がある場合は紙版書籍の表紙に「Now in eBook Format!」とステッカーを貼付したのだ。これらのステッカーは大量に印刷され、オンラインで書籍を借りるために図書館のWebサイトへと誘導する。これは宣伝用の材料にそれほど金を使うことなく、電子書籍サービスを宣伝するものだ。

 図書館が電子書籍を所蔵していることを宣伝する別の優れた方法として、「棚カード」を作成することも挙げられる。これらのカードは書籍に挿入したり、書籍の下に置いたりできる。これにより図書館利用者にカバーアートの画像と書籍名だけでなく図書館のコンピュータシステム内の電子書籍へのWebリンクに関する情報を提供できる。これは先の取り組みと比べるとより大規模だが、複数の図書館がこの手法を採用したところ貸し出しが100%増加したという。

 ミッドコンティネント公共図書館は数々の実際的なポスターを作成し、それらを電子化してWebサイト上での宣伝を行った。これらは電子書籍を借りたことがない人に対するものだ。これにより電子書籍リーダーを所有している人に無料の電子書籍貸出を行なっていることを周知している。この手法を採用して以来、貸し出しは54%以上増加した。

 電子書籍は電子領域にのみ存在し、図書館が独自の電子戦略を宣伝するのは困難だ。電子領域から実世界へのクロスオーバーは困難な試みになることもある。図書館は全書籍にステッカーを貼付するといったシンプルな試みを行い、Adobe Photoshopで幾つかポスターを作成して宣伝することができる。館内にWi-Fiホットスポットを設けることも妥当性がある。電子書籍を借りるためのトレーニングセッションを計画することもできる。これらはすべてわずかな労力で、電子書籍の可視性を高め貸し出しを増加させることが分かっている。

 最後に、図書館が所蔵する電子書籍を宣伝するのは困難な試みになることもある。Axis 360、Overdrive、3Mなど、どのインフラを利用していてもだ。心にとどめておくべきは、何らかの宣伝をすることは何もしないよりは良いということだ。電子書籍リーダーとタブレットの存在感は、それらを販売する多くのストアにより、これまでになく高い。電子コンテンツ流通システムに投資している場合、何もしないよりも何らかの広告を行うことが決定的に重要だ。

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