角川グループのブックウォーカーは2月16日、「BOOK☆WALKER 感謝祭」を開催した。これは、同社が運営する電子書店「BOOK☆WALKER」の2周年を記念し、「せっかくなら普段できないことを」とユーザー参加型のリアルイベントを企画したというもの。
感謝祭は2部構成で、第1部は「××(ちょめちょめ)BOOK☆WALKER Z 一日だけの大復活祭の巻」と題したニコニコ生放送のユーザー観覧、第2部は立食パーティー式の交流会が催された。
第1部は角川グループの試写室を利用した生放送で、MCは声優の明坂聡美さん、ゲストは富士見ファンタジア文庫『東京レイヴンズ』の著者・あざの耕平さん、ダ・ヴィンチ電子ナビの宮脇大樹さんというメンバーで行われた。「××(ちょめちょめ)BOOK☆WALKER」では何かあると酒を呑むというのが定番になっており、ユーザーの目の前で酒盛りが繰り広げられるユニークな放送だった。
あざの耕平さんからは、忙しくてロケに行けない場合はGoogleストリートビューを活用しているとか、締め切りが迫ってくると夜中に酒を呑みながら書いているといった体験談や、電子書籍化では作家が蚊帳の外になってしまっているといった苦言も呈された。放送の模様はタイムシフト視聴できるので、詳しくはそちらで確認してほしい。
第2部では、来場者が持参した紙書籍とBOOK☆WALKERで取り扱っている電子書籍作品を交換(最大2冊)するといった催しや、BOOK☆WALKERにちなんだクイズ大会、感謝状の贈呈式などが行われた。
著者が最も興味を惹かれたのは電子書籍体験コーナーで、iPadやNexus 7、先日公開されたβ版のPCビューワとともに、何とKindle Fire HDやソニーReader PRS-T1上で動作しているBOOK☆WALKERアプリが展示されていた。いずれもAndroidベースの端末であることを利用したある種「裏ワザ」的な実装で、実際にこれらの端末を持つユーザーがこれを利用できるわけではないが、ベンダーのロックインなどに囚われず、幅広い読書環境を提供していきたいというブックウォーカーの意気込みが伝わってくる展示だった。
また、会場にはホワイトボードが設置され、BOOK☆WALKERに感じている不満点や改善要望などをフェイス・トゥ・フェイスで聴く試みもなされていた。招待された方々からは、「配信予定をもっと早くから知りたい」「紙書籍にあるカバー下イラストが、電子書籍版に含まれているかどうかを購入前に分かるようにしてほしい」といった要望から、「パスワードロックできる隠し本棚を用意してほしい」といったある意味切実な悩みまで、さまざまな意見が寄せられていた。
電子書店はネット上のバーチャルな存在だが、運営するのも人、利用するのも人だ。メールやTwitterなどを使ったテキストでのやり取りは、時間や距離を超えられるという意味で非常に便利だが、表情や身振り手振りといった非言語手段の方がコミュニケーションとしての情報量は多いと言われている。そういう意味でこういったリアルイベントは、人と人との関係をより密なものにする大切な機会だ。今後もぜひ継続的に行なってほしい。
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