凸版印刷、電子出版向け新書体の開発に着手

凸版印刷が『凸版明朝体』『凸版ゴシック体』をベースとした電子出版向けの新書体の開発に着手。2016年春までに計5書体の提供開始を目指す。

» 2013年03月25日 13時10分 公開
[ITmedia]
新書体の試作フォント(C) Toppan Printing Co., Ltd.

 凸版印刷は3月21日、凸版印刷のオリジナル書体『凸版明朝体』『凸版ゴシック体』をベースとした電子出版向けの新書体の開発に着手、そのプロトタイプを公開した。2016年春までに計5書体の提供開始を目指す。

 電子書籍など急速に進む出版の電子化の中で、それに合った新たなフォントを開発しようとするこの取り組み。例えば本文用明朝体では、印刷工程による文字の太り(つぶれ)などを想定して、細身に設計されていた従来の印刷用書体をデザインし直し、日本語の長文を縦組で表現した場合に最大の読み心地が得られるようにしたいという。まずは本文用明朝体について、2013年夏ごろのサンプル出荷を目標にする

新書体の試作フォントに対する識者コメント

試作フォントにおける明朝はタテ、ゴシックはヨコという考えは特徴が明快で素晴らしい。明朝は感じが良いところに落ち着いた。少し綺麗になりすぎた感じはあるが読みやすい。ゴシックはとかく整理されやすく、現代の書体はどれも似たようなものであるのに対して試作ゴシックは書道的な風合いのある少し崩れたゴシックで良い。このまま突き詰めてほしい。また、画面の小さいデジタルデバイスでは、和文と欧文の差が見えた方が読みやすいと思う。今回の欧文はあえて和文にそろえすぎておらず未来的で大賛成である。(ブックデザイナー 祖父江慎氏)

 試作フォントは、随分トッパンらしい特徴が出ており全体的に落ち着いた感じになっていて良いと思う。人が文字を読むというのは機械的ではなく息づかいのある書体でないといけない。読む側はかなり保守的であり、いままでをベストだと思うところがあるが、試作フォントはそこまで変わっていないので移行はスムースにいくだろう。書体という文化性を考えると、書体は時代にあった手直しをその都度行うべきだと思う。是非、書体の文化性的な面も考慮してほしい。(書体デザイナー・書体史研究家 小宮山博史氏)

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