kobo aura HDレビュー(2/2 ページ)

» 2013年04月24日 08時00分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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読書体験

 Koboは電子書籍リーダーの新規ユーザーとハードコアユーザーの両方に訴求しているという点で世界中のどの電子書籍メーカーと比較しても最高の仕事をしている。電子書籍リーダーをはじめて利用する人がすぐに直感的に利用するのに十分なシンプルさを備えているが、Calibreを利用したり、デバイスにフォントをロードするようなヘビーユーザーにも訴求する幾つかの機能もひそかに持ち合わせている。

 aura HDはPDFとEPUB形式のほとんどの電子書籍を読み込め、ほかのオンライン電子書籍ストアで購入した書籍をロードすることもできる。それを実現するにはAdobe Digital Editionアカウントを設定する必要があるが、これは後ほど動画チュートリアルで解説する。ほかに利用できる主要ファイル形式にはコミックなどで人気のあるファイル形式のCBRとCBZなどだ。

 aura HDは明らかに読書に集中できる純粋な電子書籍リーダーとしてデザインされている。Koboはフォントタイプ、行間隔、余白、テキスト位置をカスタマイズさせる機能に関して最高の仕事をしている。ほとんどの電子書籍リーダーはフォントサイズ、フォントタイプともにたった7種類しか搭載していない。Koboはスライドバーを導入し、それにより丁度良い文字サイズに調節する際の自由度が増す。昨年話したKoboの代表者によると、ユーザーが微調整できる組み合わせは130万通りを超えるという。これらのオプションで物足りないなら、上級者向け設定を利用し、重み・彩度など幾つかのほかのオプションを調整することもできる。調整前後を確認できるので、新たな設定により見た目がどのように変化するのか比較できる。これはKoboが導入した最高の機能の1つだ。

 読書しているとき、利用できる幾つかのオプションがある。単語を長押しし、その意味をすぐに表示させるのはかなり容易だ。英語以外の言語が母国語の場合、日本語、イタリア語、ドイツ語などの単語を辞書検索できる。単語を長押しすると、アンカーが表示され、1単語、センテンス、パラグラフに至るまで選択が可能だ。選択部分をハイライトし、ノートを追加できる。ノートを追加すると、Koboが導入した新型ソフトウェアキーボードが利用できる。この新型キーボードはgloのそれと比較すると雲泥の差だ。目立つ変更点としては、アルファベットのキーボード上に数字の列が存在することだ。Facebook連携やWebブラウザの搭載を考えれば、パスワードの入力などもしばしばあると思うが、最近、ほとんどのパスワードは文字と数字の組み合わせが求められていることを考えれば、このキーボードはその入力をこれまでになく容易にしている。

 大型のディスプレイを搭載する電子書籍リーダーで、ユーザーはPDFファイルを利用したがる。PDFはその歴史も古く、最も人気のあるファイル形式で、このファイル形式を利用するコンテンツは多いからだ。aura HDはgloと同じPDFレンダリングエンジンを利用している。ソニーPRS-T2のようにピンチ、ズーム操作はできないが、実質的にスクロールし、ズームするプラットフォームを利用できる。PDF文書上でページごとにスクロールでき、ディスプレイ上部左手を見ると文書内のどの位置を見ているのかが分かるようになっている。イメージを右側へドラッグすることでページ送りできるが、ページ送りしても、ズームの設定は保持される。ほとんどの電子書籍リーダーはPDFに対して行ったフォーマットを初期化してしまうので、これは便利な機能だ。

 aura HDほどユーザーの読書体験に関するカスタマイズの自由度に優れた電子書籍リーダーは市場にほとんど存在しない。スライダーバーによりフォント、ライトに関して比類のないカスタマイズオプションを提供する。独自フォントをロードし、カスタム本棚を作成できるのは便利だ。カスタム本棚については、書籍のカバーアートを表示するとページごとに(gloの2倍となる)12冊の書籍を表示できる。より多くのコンテンツを表示させるのは筆者が推奨するディスプレイの効果的な利用につながる。

まとめ

 高解像度ディスプレイということになると、顧客はしばしば電子書籍リーダーではなくフルカラータブレットを選択しがちだ。ここ数年では、それがより大きなトレンドとなっているのだが、Koboが電子インクベースのデバイスに忠実に熱心に取り組みつづけているのは本当に素晴らしい。シンプルに言うと、kobo aura HDは世界の6、7インチタブレットあるいは電子書籍リーダーの中で最高の解像度を備えている。画像とテキストの明りょうさが重要だと考えるなら、このデバイスは絶対に買うべきだ。

 最近、タブレットの利用が急速に伸びている。消費者は専用電子書籍リーダーの購入をやめて、iPadかAndroidデバイスを購入している。本を読んでいて、電子メール、メッセージ、ゲームのアップデートによる通知が表示されるのは非常に気が散る。本を読んでいるときは誰もが同じような体験をしており、何か別のことが読者を現実へ引き戻し脱線させてしまう。電子書籍リーダーはやがてなくなると主張する人は多くいるが、本を読みたいだけの人もいるのだ。

 aura HDは4月29日にリリースされる予定で、カナダ、米国でわずか169.99ドルで発売される。現在、Shop e-Readersでは予約受け付け中だが、数週間から数カ月は海外の市場で発売されることはないだろう。通常、新型デバイスは高確度で北米で入手でき、需要が細り始めると海外市場で発売される。Koboブランドの欠点の1つは米国の小売店での存在感に乏しいことだが、American Booksellers Associationに加入する独立系書店では高確度で入手できる。

長所

業界最高の解像度とDPI

内部メモリが4Gバイトでkobo gloの2倍

Kindle Paperwhiteよりも優れたフロントライトディスプレイ

独自フォントがロード可能

刷新されたホーム画面は歓迎すべき変更

多くのカスタマイズオプション

短所

Wi-Fiはランダムに接続が途切れがち

PDFファイルがしばしばディスプレイ上部左手にロードされ、要調整

曲線を描くハードウェアデザインは慣れるまで時間が掛かる

Reading Lifeがホーム画面を独占しがち

評価:8.5/10


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