東芝の電子書籍リーダー「BookPlace MONO」を使ってみた(2/2 ページ)

» 2013年04月26日 08時00分 公開
[鷹野 凌,ITmedia]
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本棚などのインタフェースは?

 次に、本棚画面をチェックしてみよう。


初期設定直後は空の本棚
しばらく放置しているとマニュアルが自動で同期された
上部の[ホーム▼]をタップすると、本棚の切り替えができる

本棚のリスト表示
本棚の並び替え
本棚の検索

下部左アイコンはストア
下部中央アイコンは本棚の機能
下部右アイコンは設定

 端末下部にあるホームボタンを押すと、どの画面からでも本棚画面へ戻ることができる。購入した書籍は任意でフォルダ分けして整理でき、アカウントにひも付けられ別の端末にも同期される。最後に読んだ位置やしおりに関しても同様だ。外出先ではMONOで読み、家に帰ったら続きはiPadで読むといった形がシームレスにできる、いわゆる昨今では一般的な「クラウド本棚」になっている。


[ビューアー設定]は書籍とコミックが分かれている
書籍設定
文字サイズは5段階。大きさが確認できて分かりやすい

フォント設定はデフォルトが[書籍優先]と表示されている
ページ移動設定
ページリフレッシュ設定

 電子ペーパー端末特有の、白黒反転するページリフレッシュの頻度は任意で変えられる。デフォルトは書籍の場合15ページに1回、コミックの場合5ページに1回に設定されている。「なし」という設定があるのがユニークだ。


コミックはページ移動とリフレッシュの設定のみ
端末設定一覧
キーボード入力はフリックも選択できる

ストアの利用は?

 次に、MONOからブックプレイスのストアを利用してみよう。本棚画面左下のアイコンを押すと、ストアのトップ画面へ移動する。トップ画面には上部にキャンペーン情報と、下部に[新着][ジャンル別][著者別][特集]などのメニューが表示されている。書影の右下に本を開いた人のアイコンが付いているものは、立ち読み(試し読み)に対応している。


ストアトップ
新着一覧
ジャンル一覧

[少年・青年コミック]の一覧
[文芸・小説]の一覧
ジャンル別の一覧は50音順に並んでおり、並び替えができない

 ジャンル別から書籍一覧を表示すると、50音順に表示され並び替えができない。下部の矢印キーでページをめくっていくしかないため、上図のように同じシリーズの本がズラッと表示されてしまう。「何か面白い本はないかな?」という探し方はしづらい。


[著者別]は名前の頭文字から
[特集]の一覧はバナーになっている
[ランキング]一覧

[おすすめ]の一覧
[検索]の並び順もデフォルトが50音
[まとめ買い]の一覧

 MONOは基本的に「おとな買い得セット」と呼ばれるコンテンツとのバンドルで販売されているため、本稿執筆時点でランキングの上位はセット販売されているものが中心になっていた。


[詳細]の画面
[カート]を押すとこの画面に
[購入に進む]と、パスワード入力を求められる

 MONOから電子書籍を購入する際は、パスワード入力・支払方法の選択・購入内容の確認画面が挟み込まれる。パスワード入力は一定時間セッションが残るので、続けて購入する際は不要だが、購入頻度を考えると実質毎回入力を求められると考えた方がいいだろう。セキュアではあるが、Kindle Paperwhiteの「1-Click」やkobo gloの2タップ購入を体験してしまうと、画面遷移が少し多くて煩雑に感じられてしまう。

 また、書籍の紹介文の文字が非常に小さく読みづらい。せっかく「電子書籍は文字が拡大できる」という特徴があるのに、これでは購入する時点でつまづいてしまう可能性が高いのではないだろうか。


ポイントがある場合は利用するかどうかを選択できる
クレジットカード情報の入力
支払い内容と支払い方法の確認

購入完了
[カード登録]をしておけば、次回以降はクレジットカード情報の入力プロセスが省略できる
カード登録完了。[戻る]を押すとストアトップへ移動する

 購入が完了して本棚画面へ戻ると、購入したばかりの書籍は本棚に表示されない。スリープからの復帰時などには自動同期が動作するが、ストアから戻った時には手動で[本棚を同期]をしなければならない。


先ほど購入した本がない
下部中央の本棚アイコンメニューから[本棚を同期]
購入した本が表示された

初めてダウンロードする際には、一括ダウンロードのガイドも
ダウンロード中
ダウンロードが完了すると、書影左上のアイコンが消える

 書影の左上に本のアイコンが付いている書籍は、端末にはまだデータがないという印だ。書籍を読むには、ダウンロードする必要がある。書影左上のアイコンが消えると、読み始めることができる。

読書時のインタフェースは?

 タッチパネルの操作は、画面左端か右端をタップ、または左から右・右から左へスワイプでページめくり、ページ中央タップでメニュー表示となっている。


初めて本を開くと、ページめくり方法のガイダンスが表示される
本の表紙
本文表示

「小さなトロールと大きな洪水」トーベ・ヤンソン(著)冨原眞弓(訳)


中央タップでメニュー表示。下部のスライダーで移動できる
メニュー左下はしおり
しおりにはメモが書ける

しおりに書いたメモ
メニュー下部中央は表示設定
メニュー右下は索引

 フォントの大きさや種類はメニューから変えられるが、行間・余白・文字揃え・濃淡などの調整には対応していない。また、マーカーや辞書、文書内検索、SNSへの共有といった機能もない。いたってシンプルなビューワだ。


コミックの表紙
中央タップでメニュー表示
ダブルタップで拡大

「ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章〜紋章を継ぐ者達へ〜1巻」(作画)藤原カムイ (脚本)映島巡 (監修)堀井雄二/スクウェア・エニックス


画面リフレッシュは?

 電子ペーパー端末はその特性上、ページ送りの際に白黒反転して画面のリフレッシュを行う。MONOでは、初期設定で書籍なら15ページに1回、コミックなら5ページに1回自動リフレッシュする。頻度は任意で変更できる。実際の表示は、動画で確認してみてほしい。


活字ものの表示
コミックの表示

まとめ

 フロントライト内蔵型の端末などが登場している現在、MONOは画面解像度こそ比較的高いが、最先端というスペックでもない。また、重要なのは端末のスペックではなく電子書店の提供する「サービス」全般だ。

 そういう意味でいうと、ブックプレイスは始まったばかりということもあるが、配信書籍数はまださほど多くない。マルチデバイス対応やクラウド本棚も、最近では標準的な機能だ。後発の電子書店が、先行している電子書店の機能より劣っているようでは、競争に勝ち抜くのは難しいのではないかとすら思う。

 東芝がどのような勝算を持って独自の電子書店路線に進む判断を下したのかを判断するのは早計かもしれないが、「ブックプレイスならでは」という特徴がコミックとのセット販売で実質端末代がかからないという「価格」だけだとすれば少しさみしい。次の一手が注目されるところだ。

著者プロフィール:鷹野 凌

 フリーライター。ブログ「見て歩く者」で、小説・漫画・アニメ・ゲームなどの創作物語(特にSF)、ボカロ・東方、政治・法律・経済・国際関係などの時事問題、電子書籍・SNSなどのIT関連、天文・地球物理・ロボットなどの先端科学分野などについて執筆。電子書籍『これもうきっとGoogle+ガイドブック』を自主出版で配信中。

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