電子雑誌広告、2017年までに38億ドル規模に

アナリストは2017年までに電子雑誌広告の規模が広告費全体の4分の1に相当する38億ドルに達すると予想しているが、現状、電子雑誌の提供側は何に投資するのが最良なのか混乱しているところが多い。

» 2013年06月19日 13時26分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 雑誌出版社は電子領域を利用する出版セグメントの中でも最大の成功を収めている。最初期に、ペイウォール、専用アプリ、Zinioへのコンテンツ統合を含めて、多くの分野で強いブランドを活用してきた。広告主は電子雑誌に徐々により多くの費用を投じるようになってきており、アナリストは2017年までに38億ドルが投じられると見ている。

 コンサルティングファーム大手のPricewaterhouseCoopersが公開した電子広告に関する年次リポートの中で注目すべきトピックは、2017年の電子広告規模は、2012年の24億ドルから38億ドルに劇的に増加するというもので、これは広告費全体の4分の1を占めることになる。また、電子コンテンツ購入に充てられる費用は2012年の2億7500万ドルから2017年には14億ドルにまで増加するという。

 北米と英国は電子領域で全体収益の20%を占めるとみられている。これは適切な専用インフラへの投資によるもので、欧州のほかの地域では2017年までの成長は10%に留まるとみられる。西洋人はHTML5版へのアクセスであれ、Apple Newsstandでの購読であれ、電子コンテンツに積極的に金を支払う意欲を示す実績を持っている。

 電子広告へのシフトはプリント版業界の衰退にほぼ比例している。2008年に史上最高の98億ドルが投じられたのをピークに、2012年には79億ドルにまで落ち込み、2017年には64億ドルに減少すると見込まれている。

 統計的に若年層はスマートフォンやタブレットを利用し、恒常的なWebへのアクセスが当たり前になっているので、プリント版よりも電子メディアを好む傾向にある。この若年層が次世代のコアな消費者の代表だ。Glossiといった企業は次世代の雑誌の先頭に立ち、DIYアプローチを採用している。誰でも写真を撮り、インターネットコンテンツを生成し、記事を書き、それらをソーシャルプラットフォームやWebプラットフォームへ提供できる。

 現在、雑誌社は自律的コンテンツとして自社の電子雑誌を運営しておらず、それらはプリント版のコンテンツに強く依存している。この傾向はThe Dailyの失敗により2017年まで変わりそうにない。

 雑誌の電子広告の最大の障壁は、統一された標準が存在しないことだ。これはデータをモニターできる測定基準だけでなく、多くのプラットフォームへも当てはまる。Blackberry、Android、iOS、Windows 8、HTML5、Zinio、PressReader、Apple Newsstandなどあらゆる第三者にメディアを配信する際にはそれぞれ異なる要件が存在する。これらのオプションすべてがどのエコシステムをサポートし、何に投資するのが最良なのかを判断する際に、業界全体を混乱に陥れている。

 自社Webサイトでのみオンライン広告を行うか。アプリ内広告を利用しメッセージを広めるようAmazon、Google、Appleに投資するか。プリント版への投資を続けるか。決定的な現状維持のオプションは存在せず、考慮すべきことが多くある。

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