『魔術師オーフェン』シリーズの著者、秋田禎信さんの最新作を紹介します。
人間一度は魔法を使ってみたいと思ったことはあるんじゃないでしょうか。空を飛んだり、火を出したり、風を起こしたり、実際そんなことができたとしてもみんながみんな使えるわけないですよ。ほんの一握りの魔法使いだけが使える、と考えるでしょう。
この『巡ル結魂者(リンカ)』(講談社ラノベ文庫)はそんな魔法使いと運命をともにすることになった少年「高城航斗(たかしろかずと)」のファンタジーです。
主人公・高城航斗は普通の高校生だったはずなのだが、定期テストの朝からなぞの白い手が見えるようになる。そして何気なしにその手をつかんだ瞬間
「リンクトランスフォーム、スタート。我とともに来たれ我とともに生きよ。我、汝と魂の契りを望む!」
という声が響き、気づいたらまったく見覚えのないところに飛ばされた上に、近くには金髪のなぞの女性が浮いていた。
航斗が飛ばされた世界では「リンカ」という魔法技術を持つ「少女」たちが存在する世界。「リンカ」というのは存在の「霊魂」を「リンク」させることでその存在の能力を使えるようになるというもの。
そして通常リンカは女性しか存在しない、男性のリンカは禁忌とされているわけだが……たまたまその場に居合わせたリンカの少女「火曜テイカ」の助けもあり、リンカの少女たちが通う学園で生活するようになる。
航斗をこの世界に召喚したのはリンクの創始者「超聖女メイマスモゴリア」通称メイ。霊魂をリンクさせ、能力を使えるようにする技術を作った最後の魔法使いであり、その後世界に魔法使いはいなくなってしまう。しかし、航斗(正確にはリンクしているメイ)はリンクしているために魔法を使うことができるようになっていた。
そして航斗とリンカをめぐる物語が始まる……
この「巡ル結魂者」の著者の秋田禎信さんはかつて「魔術師オーフェン」シリーズを書いておられた方です。「魔術師オーフェン」といえばアニメ化もされている有名な作品です。
「我は放つ、光の白刃!」は有名なフレーズですよね。
魔法は皆が使えるものではなく、資質を持ったごく一部の人間が使うことができるもの。そういう点は両作品に共通している点です。
魔法の詠唱も長くかっこいいものから短くてかわいらしいものまであったりといろいろな概念や用語が出てくる割に読みやすい作品になっています。
また、著者が同じというところもあって「魔術師オーフェン」が好きだった人ならこの作品もきっと楽しめると思います。逆にこの作品を気に入った人は「魔術師オーフェン」シリーズもお勧めです。
魔法使いを題材にした作品の中では非常にそれらしいファンタジー小説じゃないかなーと思ってます。一言で言うと正道的な感じがしてこういうのは好物です。
テイカちゃんかわいいよ!
(評:ラノコミどっとこむ編集部/せふぃ)
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