ソニーが10月4日から発売した電子書籍リーダー「PRS-T3S」。ライト付きカバーの使用感、先代の「PRS-T2」や競合製品との違いをリポート。
10月4日に発売されたソニーの新型電子書籍リーダー「PRS-T3S」。海外で最初に発表されたときは、カバーとのセットが標準構成となっていたが、日本ではカバーをオプションとした形で発売された(取り外しできる背面パネルは付いている。またその後、海外でも日本と同じ本体のみのモデルが「PRS-T3BC」として用意された)。本稿では、PRS-T3Sとライト付きカバー(PRSA-CL30)の使用感、先代の「PRS-T2」や競合製品との違いをリポートする。
なお、ソニーの電子書店「Reader Store」は端末の発売に先立ち9月24日に全面リニューアルしている。「電子書店完全ガイド2013:ソニー「Reader Store」を徹底解剖する」で詳細に解説しているのでそちらをご参照いただきたい。
PRS-T3Sは、ソニーストアでは9980円と、PRS-T2の発表時と同じ価格で販売されている。これは10月22日に発売されたAmazonの「Kindle Paperwhite(2013年モデル)」と同価格だ。ただし、オプションのライト付きカバーは4780円(ライトなしは2980円)なので、合計すると1万4760円ということになる。
ガイド類を除くと、付属しているのはUSBケーブルのみだ。PRS-T2とは異なり、保護ポーチやタッチペンは付属していない。
背面パネルは底部の切れ込みからパリパリと外せる。背面パネルを外した内側中央にはmicroSDカードスロットがある。
ライト付きカバーの電源は、本体から供給されるようになっている。背面から見て右中央に接点があり、ここのツメがしっかりはまっていないと、ライトが付かないので装着時には注意が必要だ。説明書きのシールの通り、右上・右中央・右下・下・左下……という順番ではめ込んでいこう。ライトは背面上部からスライドして出すと自動点灯し、格納すると消灯する。なお、カバーを閉じると磁石で本体に貼りつくようになっており、閉じるとスリープ状態に、開くとスリープ状態から自動的に回復するようになっている。
ライト付きカバーを装着すると、ライトが格納されている背面上部中央はやや肉厚な状態になるが、それ以外の部分は緩やかな丸みを持たせた形状になっており、側面・底部に向かって薄くなる。片手で持つときにはカバーを背面に折り返した状態になるので、手に触れる部分はスエード風に仕上げてあるカバーの内側ということになる。カバーを閉じると自動でスリープ状態になり、カバーを開くとスリープは自動で解除される。
PRS-T2のmicroSDカードスロットは右側面に配置されていたが、PRS-T3Sは背面パネルを外した個所にあるため、電源ボタンとmicroUSB端子のある底部以外は全て平らだ。また、PRS-T2のmicroUSB端子はやや左側に配置されていたが、PRS-T3Sでは中央に配置されている。
PRS-T2にも採用されていたアイコン型のハードウェアボタンは、PRS-T3Sでも健在だ。ページめくり操作が画面タップやスワイプではなく、カチッと機械的に押し込む操作が好きだという人も多いだろう。なお、PRS-T2に比べるとハードウェアキーの突起はわずかに小さくなっている。両方同時に触ってみないと気づかない程度の差だが、突起が小さいほうが長い時間ページめくり操作をしても指は痛くならないだろう。
なお、PRS-T2のベゼルは内側に緩やかな傾斜が付いていてスクリーンとの段差を少なくする処理がなされていたが、PRS-T3Sのベゼルには傾斜がない。ただ、角は丸く滑らかになるよう処理されているので、スクリーンの端をタップする際でも痛くはない。
PRS-T3Sの比較対象を同じ年に発売される同じ世代のモデルとみれば、Amazonが10月22日に発売した「Kindle Paperwhite(2013年モデル)」と、Koboが12月初旬に発売予定の「kobo Aura」ということになるだろう。ただし、本稿執筆時点ではPRS-T3S以外は未発売のため、写真での比較は残念ながらできない。Kindle Paperwhite(2013年モデル)の外寸は2012年モデルと全く同じだ。スペックを比較したものは以下の表となる。
端末 | PRS-T3S(カバー未装着) | PRS-T2 | Kindle Paperwhite(2013年モデル) | kobo Aura(国内未発売) |
---|---|---|---|---|
幅 | 107ミリ | 110ミリ | 117ミリ | 114ミリ |
奥行き | 160.5ミリ | 173ミリ | 169ミリ | 150ミリ |
厚さ | 9.5ミリ | 10ミリ | 9.1ミリ | 8.1ミリ |
重さ | 160グラム | 164グラム | 206グラム | 174グラム |
ディスプレイ | 6型Pearl電子ペーパー 16階調グレースケール | 6型Pearl電子ペーパー16階調グレースケール | 6型Carta電子ペーパー16階調グレースケール | 6型Pearl電子ペーパー16階調グレースケール |
解像度 | 758×1024 | 600×800 | 758×1024 | 758×1024 |
ライト | なし(別売カバー) | なし | 内蔵型LEDライト | 内蔵型LEDライト |
内蔵メモリ | 2Gバイト | 2Gバイト | 4Gバイト | 4Gバイト |
使用可能領域 | 1.2Gバイト | 1.3Gバイト | 3.1Gバイト | 3Gバイト |
外部記憶装置 | microSD/SDHC(最大32Gバイト) | microSD/SDHC(最大32Gバイト) | なし | microSD/SDHC(最大32Gバイト) |
通信方式 | IEEE 802.11b/g/n | IEEE 802.11b/g/n | IEEE 802.11b/g/n | IEEE 802.11b/g/n |
バッテリー持続時間(メーカー公称) | 最長2カ月(Wi-Fiオフで1日30分) | 最長2カ月(Wi-Fiオフで1日30分) | 最長8週間(明るさ設定10、Wi-Fiオフで1日30分) | 最長8週間(ライトオフ、Wi-Fiオフで1分1ページを1日30ページ) |
対応ファイル形式(電子書籍) | .mnh、XMDF、.book、EPUB(日本語は一部対応)、PDF、TXT | .mnh、XMDF、.book、EPUB(日本語は一部対応)、PDF、TXT | AZW3、TXT、PDF、MOBI、PRC(HTML、DOC、DOCXは変換して対応) | EPUB、PDF(koboイーブックストアで販売しているものに限る)、HTML、MOBI |
対応ファイル形式(画像) | JPEG、GIF、PNG、BMP | JPEG、GIF、PNG、BMP | JPEG、GIF、PNG、BMP(いずれも変換して対応) | JPEG、GIF、PNG、BMP、TIFF、CBZ、CBR |
販売価格 | 9980円(別売ライト付きカバー4780円) | 9980円 | 9980円(11月30日まで1980円分のクーポン付与) | 1万2800円(予約特典としてポイント10%還元、純正ケース付き) |
新世代3モデルを並べてみると、他の端末に比べ奥行きがかなり短くなっていることがはっきりと分かる。また、標準状態の軽量性では群を抜いている。ただ、PRS-T3Sの標準状態にはライトがないので、もしライト付きカバーを付けるとしたら約80グラム(ライトなしは約40グラム)加算される。暗い場所でも読める・カバーで保護できるというメリットと、重さ・別売で4780円(ライトなしは2980円)という点と合わせ、どう判断するかは利用シーンや考え方によって人それぞれだろう。
また、Kindle Paperwhite(2013年モデル)とkobo Auraは内蔵メモリが4Gバイトなのに対し、PRS-T3Sは2Gバイト。ただし、PRS-T3Sとkobo AuraはmicroSDカードスロットで最大32Gバイト拡張できるが、Kindle Paperwhiteは外部記憶装置に対応していないため、外部からファイルを取り込むのはオンラインストレージ(最大5Gバイト)経由となっている。
PRS-T3Sの画面解像度が758×1024ドットになったことで、この点に関しては新世代3モデルの差はなくなった。あとは、PRS-T3Sの優位点であるリフレッシュ頻度や、Kindle Paperwhite (2013年モデル)が採用した新型のCartaディスプレイの画面切り替え速度などが違いということになる。kobo Auraはフラットパネルを採用しているという点が他と大きく異なるが、評価は現物が発売されてからにしたい。
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