電子書店の中の人 7回目――MAGASTOREの中の人あの書店のスタッフに直撃

いつもお世話になっている電子書店。電子書籍を購入しているこの端末の向こうにだってスタッフがいる。今回は電子雑誌書店「MAGASTORE」の中の人に話を聞いた。

» 2013年11月14日 12時00分 公開
[渡辺まりか,eBook USER]

 電子書店、または電子書籍ストア――実際に使っているかは脇に置くとしても、わたしたちはここ数年でその存在を少しずつ認知するようになった。

 とはいえ、書店と言えば、リアルの書店(実書店)を思い浮かべる方の方が圧倒的多数だろう。いつかは電子書店もそうしたものとして、今より身近なものになっていくのだろうが、現時点で、わたしたちは電子書店のことをまだよく知らない。はっきりしているのは、そこにはリアルの書店と同様、「人」が介在しているということだ。

この連載は、“電子書店の中の人”にフォーカスし、どんな人が電子書店の運営に携わっているのかを紹介しながら、その電子書店の“雰囲気”を感じてもらうためのものだ。第7回目は、MAGASTOREの中の人・辻枝里さんに聞いた。

雑誌は「旬」を取り扱うコンテンツ

辻枝里さん 電通出版ビジネス・プロデュース局 コンテンツビジネス推進部・辻枝里さん

―― 電通とヤッパが協働でサービスを提供している電子雑誌書店「MAGASTORE」ですが、現在の取扱い数はどれくらいですか?

電通出版ビジネス・プロデュース局 コンテンツビジネス推進部・辻枝里さん(以下辻) 立ち上げた当初はわずか17誌でしたが、いわゆる「ムック本」も含め、現在では900誌を取り扱っています。雑誌は「旬」を取り扱うコンテンツです。いかにタイムラグなく読者のお手元にお届けするか、ということに心を砕いています。

―― サービス開始から4年でかなりラインアップが増えたんですね。ビューワアプリもiOSやAndroid OSだけでなく、Windows 8やKindle Fireも向けにも提供されているのはいいですね。MAGASTORE内で、辻さんはどのような立場で働いているんですか。

 MAGASTOREにおける出版社の窓口として、新規出版社の開拓から、販促および広告の企画・提案まで、幅広い業務に携わっています。

―― 本当に幅広いですね。入社してずいぶん戸惑ったのではないでしょうか。

 実は、以前は出版社に勤めていて、そこでの編集などを経て、2年前から現在の業務に携わっています。紙の出版社と業界的には近しいのですが、まったく異なる業務内容だったので、戸惑うことばかりでした。

 以前の職場にいたときにいわゆる「電子書籍元年」がやってきたので、自分なりに勉強していたつもりでしたが、電子書籍や電子書店の世界は短期間で業界地図やシステムの仕様が変わるので、最初の1年は電子雑誌、電子書店、端末に関する基本的なことや状況を把握するので精一杯でした。

―― 恒例の質問に戻りますが、子どものころに読んだ本で最も印象に残っている本はありますか。

ぐりとぐら 世界各国で愛され続ける『ぐりとぐら』

 絵本なんですが、『ぐりとぐら』が最も印象に残っているんです。一緒に暮らす双子の野ねずみが主人公なんですが、実はわたしも双子で、姉と「わたしが“ぐり”になる!」「ううん、わたしが!」となりきる役を取り合いしていました。そのくらい好きだったんですね。そのお話の中で食べていたカステラもとても美味しそうで……。

―― 本との暖かな思い出が伝わってきそうなエピソードです。『ぐりとぐら』は今年(2013年)で誕生50周年なのですが、今なおこうして読み継がれているのだと思うと感慨深いです。最近ではどんなタイミングで読書する時間を作っていますか。

 大人になって、ゆっくり読書できる時間も少なくなったんですが、読みたい本は通勤途中、昼休み、就寝前などにちょこちょこと読んでいます。週末にはまとまった時間を取って読書できるのが楽しみですね。

―― 電子書籍なら、読みかけの本を閉じるときに、しおりを挟んだりする手間がないので、ちょっとしたすき間時間に最適ですよね。辻さんにとって電子書籍、または電子書籍端末やアプリの魅力って何でしょうか。

 やはり、いつでもどこでも購入・閲読でき、大量のコンテンツを持ち歩けるところは電子ならではかと。判型が大きい雑誌でもスマホやタブレットで読めるようになったのは便利ですよね。自慢ではありませんが、MAGASTOREは雑誌のラインアップが豊富なので、いつもどれから読もうか迷ってしまいます。

 女性の視点で言うと、最近は女性向けの電子雑誌も充実してきているので嬉しく感じています。今年の5月に集英社さん、9月に小学館さんの女性ファッション誌の取り扱いが始まり、電車の中で片手でファッション誌が読めようになった喜びは皆さんにも味わって頂きたいですね。

 また、複数の端末間で共通の本棚がシェアできる機能などは便利だと思います。MAGASTOREでは1つのIDで最大5台の端末で使えるので、家でくつろぐときはタブレットで、電車の中や買い物のときに「あのブランド、何だっけ?」と確認するときにはスマートフォン、といったように使い分けています。そのほかにも、昨日タブレットで見た雑誌の記事についてしゃべろうと思ったけど思い出せない、というときに手元のスマートフォンで確認する、ということがよくあります。

―― 電子書籍の特性を辻さんは上手に活用していらっしゃるんですね。今日はどうもありがとうございました。

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