BOOKSHOP LOVER=本屋好きがお届けする詳細な本屋レポ。本屋が好きならここに行け! 今回は大阪天神橋筋商店街の中にある古書店「天牛書店 天神橋店」を紹介する。
今回の本屋探訪記は、大阪・天神橋筋商店街にある「天牛書店 天神橋店」(以下は2011年10月11日の記録記録だ)。
まず、時間のない方のために手短にまとめたものを書いておく。
いつだったか「二匹のゾウ」の店主から教えてもらった古書店。安くて良いのがあるらしい。「これは行かないと!」って思って1カ月後に行った。天神橋筋は大阪からだと行きにくい。中崎町から徒歩で20分以上掛かるので今度から電車で行こう。
それでは店の様子を外見から。まず、表に100円均一のワゴンが2つ。このワゴンは手前が文庫、奥がハードカバー。ワゴンは二段になっていて、下段には雑誌や箱本など大きめの本が置いてあった。
店に入ると老舗なのに意外とキレイで、まるで新刊書店のようですらあることに驚かされる。お客さんもたくさんいたようだし、改装に回すお金があったのだろう。流れているBGMはジャズで、普通の古本屋のようにラジオや無音ということはない。本格的な古本もあるのに入りやすい雰囲気なのだ。何十年も続いていることに納得できる店づくりである。
8畳ほどの店内は、壁沿いの本棚、中央の1列の本棚、手前のワゴン、そして入り口すぐ右手のガラスケース、レジカウンターといったレイアウトだ。
棚を見ていこう。すぐ右手にあるガラスケースの中には『大人の絵本 千夜一夜物語』や『ヴィラ・マイレア』『美しき学校』『アップルパイの午後』など、高めのアート本が並べられていた。その隣にはスチールラックが置かれ、こちらは『つげ義春集』や『黄金バット』『白土三平論』、手塚治虫の本など、マンガ関係の本が並べられている。
この隣がレジとなっており、中では店員が何やら作業をしている。全員で3人。若い男女と妙齢の女性が棚整理をまめにしていた。もちろんレジの奥にも本が面見せと棚刺しでいっぱいである。上述したように内装はキレイだが空いているところに本が積まれているところなど古本屋っぽい。だが、もちろん通路にははみ出ていないのがさすがである。
老舗と言っても良いくらいのお店なのにキレイなのは改装したこともあるのだろうが、整理整頓にも気を遣っているのかもしれない。そして、店員のお姉さんがキレイだった……。
入ってすぐ左手には、新刊書店であれば雑誌が並んでいるような棚に、これまた新刊書店で並んでいそうな最近の雑誌ばかりが面陳で並んでいる。その隣は主に思想書や社会系の本が多い棚が2列分。『日本文化の記号学』や『アジアンジャパニーズ』『メンズリブ批評』『シンセミア』などが置かれ、洋書も少し。また、足元の平積み台には大判本が並ぶ。
その隣の棚はまたガラスケース。中には『大阪物語』や『傑作探偵小説集』『美しき氷河』など高い本が展示されている(もちろんすべて古書だ)。値段帯は5000円から5万円ほどだったと思う。
ここから奥はすべてハードカバーの棚。緩やかにジャンル分けされており、手前から次のような棚となっている。
突き当りには腰の辺りまでの棚が2列あり、洋書の大判本が置かれていた。
次は来た道を戻って中央の2段ワゴンと本棚を見ていこう。ここには大判の洋書と日本の本が置いてある。『日本の祭り辞典』や『ビジュアル日本江戸時代』『聖書画集』などで、足元の下段には全集モノの箱本が置いてある。
奥の本棚、向かって左側の通路(今までいた道だ)は6列。手前から「実用書(社会・経済)」「実用書(趣味・生活)」「旅、紀行」「戦記、スポーツ」の棚となっており、残りの2列が新書となっている。『成功の方程式』や『天皇の戦争責任』『オバマ自伝』『日韓インテリジェンス戦争』『社会派くんがゆく!』『パリ感覚』『晴れた日は巨大仏を見に』『ランスアームストロング』『人間 山本五十六』などが並ぶ。
これでまた突き当たりに至る。今度はワゴンの向こう側、中央本棚の向かって右側の通路から見た面を見ていこう。
こちらの面は6列すべてが文庫。手前4列が講談社学術文庫、岩波現代文庫、ちくま文庫、そのほか、日本の小説と雑学など。奥2列は岩波文庫と海外の小説と歴史の本が少々。
振り返って右側の壁棚を見てみよう。この棚も大まかにラベルで「食・料理」や「児童書」「歴史」などにジャンル分けされている。大判本や絵本は下段に置かれ、上段は下段とは別の流れで構成されている。手前から個条書きで見ていこう。
これですべて見て回ったことになる。最後に、長居したお礼に(と美人の店員さんだったのでw)と表のワゴンから5冊ほど本を購入して帰路についた。
最後に、天牛書店 天神橋店の印象を挙げていく。
本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。このほか、電子雑誌「トルタル」や本と本屋とつながるWebラジオ「最初のブックエンド」、本を贈る文化をつくる活動「贈本計画」に参加。「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。ネット書店を近日中に開店予定。
Twitterのアカウントはこちら、Facebookページはこちら。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.