ハイブリッド総合書店「honto」を徹底解剖する電子書店完全ガイド2013(2/5 ページ)

» 2014年01月10日 10時00分 公開
[鷹野 凌,eBook USER]

読みたい本を簡単に探せるか?

 次に、「読みたい本を簡単に探せるか?」をチェックします。

 hontoは、電子書籍と同時に紙の本やDVD・ブルーレイなどの通信販売商品も検索できる「hontoネットストア(http://honto.jp/netstore.html)」と、電子書籍だけが検索できる「honto電子書籍ストア(http://honto.jp/ebook.html)」に分かれています。AmazonのKindleストア、楽天ブックスの楽天Kobo電子書籍ストア、紀伊國屋書店ウェブストアのKinoppyと同じように、hontoも紙と電子を同じ土俵で比較できる「ハイブリッド型」の書店です(☆+0.5)。

 ネットストア・電子書籍ストアそれぞれに、PC向けWebサイトとモバイル向けWebサイト(URLはPC向けと同じ)があります。また、Androidアプリ内にもストア(画面は基本的にhonto電子書籍ストアのモバイル向けWebサイトと同じ)があります。iOSアプリにはストア機能が搭載されていないため、iOS端末から利用する場合はブラウザでWebサイトにアクセスして探す形になります。これはApp Storeの制約によるもので、honto電子書籍ストアを含め多くの電子書店が同様のアプローチを採っています。


電子書籍と通販商品が同時に検索できる「hontoネットストア」 通販と電子書籍が同時に検索できる「hontoネットストア」
電子書籍だけが検索できる「honto電子書籍ストア」 電子書籍だけが検索できる「honto電子書籍ストア」

PC Webから探す場合

 読みたい本の書名などが分かっている場合は、最上部の検索欄からキーワードを入力すればOKです。キーワード検索は、Googleでおなじみのサジェスト機能に対応しており、検索文字入力ごとに検索候補一覧が表示されます。これは、ネットストアも電子書籍ストアも同様です。

 ネットストアで検索する場合、検索欄左側のプルダウンからカテゴリーを[電子書籍]にしておくか、検索結果上部の[電子書籍]タブ、左カラムのジャンル一覧から[電子書籍]をクリックすると絞り込みができます。


サジェスト機能 サジェスト機能
ネットストアの検索結果には紙と電子が混在するが、絞り込みは簡単だ ネットストアの検索結果には紙と電子が混在するが、絞り込みは簡単だ

ネットストアで検索結果を電子書籍だけに絞り込んだ状態 ネットストアで検索結果を電子書籍だけに絞り込んだ状態
電子書籍ストアの検索結果は、はじめから電子書籍だけとなる 電子書籍ストアの検索結果は、はじめから電子書籍だけとなる

 読みたい作品が決まっておらず、「何か面白い本はないかな?」と探す場合は、電子書籍ストアトップの「話題・注目タイトルはコレ!!」や「新着・オススメタイトルをピックアップ」といったおすすめ情報や、ランキング、特集、キャンペーン、ジャンル、無料本などから絞り込んでいく形になります。電子書籍ストアの上部には[小説・文学][経済・ビジネス][コミック][ライトノベル][写真集][雑誌]ジャンルのタブが用意されており、それぞれにトップページがあります。また、ほぼどのページでも、「最後にチェックした商品からのおすすめ」や「最近チェックした商品」や「この商品に興味のある人は、こんな商品にも興味があります」といったリコメンドが表示されます。


電子書籍ストア[コミック]ジャンルのトップページ 電子書籍ストア[コミック]ジャンルのトップページ
電子書籍ストアの特集一覧 電子書籍ストアの特集一覧

 電子書籍ストアの検索結果一覧は、初期状態では[シリーズ単位]ですが、左カラムのメニューから[商品単位]に切り替えられられます。[シリーズ単位]の表示は、セット商品が別枠扱いになっていたり、廉価版と完全版といったバリエーションが存在する場合に見分けが付かないといった点に使いづらさを感じます。ネットストアの検索結果一覧は商品単位のみです。

 絞り込み条件は、[シリーズ単位]の場合は、ジャンル、デバイス、受賞作。[商品単位]に切り替えると、価格帯、セット商品、立ち読み可能などが追加されます。セット商品だけを絞り込むことは可能ですが、セット商品を除外することができません。検索キーワード入力欄の右側にある[詳細検索]からは、著者名、作家名、出版社、レーベル、販売開始日などの条件でも検索できます。

 検索結果の表示件数は10件とやや少なめですが、検索結果右上のプルダウンメニューから30/50件に切り替えられます。また、[並び順]プルダウンメニューからは、[一致順][売り上げ順][価格の高い順][価格の安い順][タイトル昇順][タイトル降順][発売日の新しい順][発売日の古い順][ユーザー評価順]に切り替えられます。


電子書籍ストア[シリーズ単位]の検索結果一覧は、セット商品が別枠扱いになっている 電子書籍ストア[シリーズ単位]の検索結果一覧は、セット商品が別枠扱いになっている
電子書籍ストア[シリーズ単位]の検索結果一覧では、廉価版とイラスト完全版の見分けがつかない 電子書籍ストア[シリーズ単位]の検索結果一覧では、廉価版とイラスト完全版の見分けがつかない

電子書籍ストア[商品単位]の検索結果一覧 電子書籍ストア[商品単位]の検索結果一覧
[商品単位]の検索結果一覧であれば、イラスト完全版かそうでないかの見分けがつく [商品単位]の検索結果一覧であれば、イラスト完全版かそうでないかの見分けがつく

 [シリーズ単位]の検索結果一覧から作品をクリックするとシリーズの詳細画面が、[商品単位]の検索結果一覧やシリーズの詳細画面から作品をクリックすると、作品詳細画面が表示されます。

 作品詳細画面の書誌情報は、書影・タイトル・シリーズ名・著者名・原作者・キャラクターデザイン・出版社・レーベル名・ジャンル・商品説明文・ユーザーレビューや評価点・対応デバイス・コンテンツタイプ・ファイルサイズ・SNSへのシェアボタン・紙の本の価格・紙の本の大きさ・紙の本のISBN・販売開始日・受賞歴など非常に豊富です。書影の拡大表示にも対応しています。SNSへのシェアボタンは、Twitter、Facebook、mixi、GREEに対応しています。

 また、「お気に入り登録(新刊お知らせメール)」機能をオンにすることで、同じ著者の新刊や、同じシリーズの新刊が発売されたときにメールで通知を受け取ることができます。これらの機能や書誌情報の量は、実は前回の調査時とあまり大きく変わっていませんが、それは当時から既にかなり高機能だったことを意味します。


シリーズ詳細画面の上部 シリーズ詳細画面の上部
シリーズ詳細画面の下部には、そのシリーズの作品一覧とユーザーレビューが並ぶ シリーズ詳細画面の下部には、そのシリーズの作品一覧とユーザーレビューが並ぶ

作品詳細画面の上部。書誌情報は豊富だ 作品詳細画面の上部。書誌情報は豊富だ
作品詳細画面を下部へスクロールすると、上部でカートに入れるボタンなどがスクロール追従する 作品詳細画面を下部へスクロールすると、上部でカートに入れるボタンなどがスクロール追従する

 ネットストアの紙書籍詳細画面には電子書籍版の価格と購入ボタンが、電子書籍版の詳細画面には紙書籍版の価格と購入ボタンが相互に付いており、どちらからでも好きな方を選べます。電子書籍が存在しない作品の詳細画面を開くと、[電子書籍化を希望する]ボタンがあり、未ログイン状態でもワンクリックで要望を送れます。

 ユーザーレビューや評価点は、紙書籍と電子書籍が同時に表示され、紙と電子のどちらに対するレビューなのかも判別できるようになっています。「このレビューが役に立った」と投票した人数による有用性や、違反報告機能もあります。なお、紙書籍には「書店員レビュー」が付いている場合がありますが、同じ本の電子書籍版には表示されません。


ネットストアの紙書籍詳細画面には、電子書籍版の価格と購入・立ち読みボタンが付いている ネットストアの紙書籍詳細画面には、電子書籍版の価格と購入・立ち読みボタンが付いている
電子書籍化されていない作品の場合は、[電子書籍化を希望する]ボタンが付いている 電子書籍化されていない作品の場合は、[電子書籍化を希望する]ボタンが付いている

ユーザーレビューに対する[役に立った]投票ができる ユーザーレビューに対する[役に立った]投票ができる
紙書籍版にだけ、書店員レビューが付いている場合も 紙書籍版にだけ、書店員レビューが付いている場合も

 立ち読みをするには、PC向けhontoアプリ(本稿執筆時点の最新バージョンは2.4.2)をインストール(無料)しておく必要があります。現在、Windows版だけが配信されており、Mac版はありません。また、[立ち読みする]ボタンは、すべての作品に付いているわけではありません。[すべてのジャンル]で商品単位表示すると、[立ち読み可能]の絞り込み条件には約9万5000点と表示されます。つまり、立ち読みに対応しているのは全体の約3割です。最近の本でも付いていないケースは多々あり、同じシリーズでも1巻だけ対応している場合があるなど、若干中途半端な機能になっています。


立ち読みにはPC向けhontoアプリをインストールしておく必要がある 立ち読みにはPC向けhontoアプリをインストールしておく必要がある
[立ち読みする]をクリックすると、PC向けhontoアプリにダウンロードされる [立ち読みする]をクリックすると、PC向けhontoアプリにダウンロードされる

 PC Webの検索結果表示で気になるのが、書影やボタンなどの配置が左右に偏っていて、真ん中がぽっかり開いてしまう点です。1920×1080のディスプレイでブラウザを全画面表示にすると、honto電子書籍ストアの検索結果一覧では1画面に5件弱しか見えません。そして、初期状態ではスクロールしても10件しか表示されません。

 honto電子書籍ストアには大量のコンテンツや豊富な書誌情報があるのに、見せ方に工夫が足らないように感じます。高機能ではあるけど、「書店っぽくない」のです。立ち読み非対応コンテンツが多い点と合わせ、減点としました(☆-0.5)。


honto電子書籍ストアの検索結果一覧を全画面表示 honto電子書籍ストアの検索結果一覧を全画面表示
BOOK☆WALKERの検索結果一覧を全画面表示 BOOK☆WALKERの検索結果一覧を全画面表示

モバイルWebから探す場合

 続いてモバイル向けWebサイトをチェックします。iPhone/iPadから利用する場合は、こちらの方法になります。モバイル向けのレイアウトになっていますが、機能や情報量はPC版とほとんど変わりません。キーワード検索でサジェスト機能も働きますし、紙と電子もちゃんと相互リンクされています。

 ただし、スマートフォンから利用した場合は、検索結果一覧で[アダルト商品を含めて再検索する]のリンクが表示されないので、アダルトジャンルの商品が検索できません(表示モードをPCに切り替えてもダメ)。Nexus 7やiPadなど画面サイズの大きいデバイスでは問題ないため、画面サイズで制御しているようです。

 なお、立ち読みをするには、AndroidアプリまたはiOSアプリを事前にインストールしておく必要があります。


hontoのトップページ hontoのトップページ
ネットストアのトップページ ネットストアのトップページ
電子書籍ストアのトップページ 電子書籍ストアのトップページ

電子書籍ストアの特集一覧 電子書籍ストアの特集一覧
キーワード検索はサジェスト機能が効く キーワード検索はサジェスト機能が効く
ネットストアの検索結果には紙と電子が両方表示される ネットストアの検索結果には紙と電子が両方表示される

シリーズ詳細画面の最上部。この下に作品一覧が並ぶ シリーズ詳細画面の最上部。この下に作品一覧が並ぶ
作品詳細画面の最上部。書誌情報の量はPC版とほとんど同じ 作品詳細画面の最上部。書誌情報の量はPC版とほとんど同じ
作品詳細画面の少し下。対応デバイス一覧や紙書籍版へのリンクなど 作品詳細画面の少し下。対応デバイス一覧や紙書籍版へのリンクなど

作品詳細画面のさらに下。おすすめ商品や商品説明など 作品詳細画面のさらに下。おすすめ商品や商品説明など
作品詳細画面のさらに下。ユーザーレビューの一覧。書き込みもできる 作品詳細画面のさらに下。ユーザーレビューの一覧。書き込みもできる
作品詳細画面のさらに下。新着情報・関連情報を受け取る設定やSNS共有ボタンなど 作品詳細画面のさらに下。新着情報・関連情報を受け取る設定やSNS共有ボタンなど

Androidアプリから探す場合

 専用アプリ「総合書店 honto(本稿執筆時点の最新バージョンは4.6.1)」は、Google Playから無料でダウンロードできます。基本的にモバイルWebの電子書籍ストアとほとんど同じですが、上部にライブラリ、ダウンロードリストなどのボタンが常時表示されている点が異なります。こちらも、スマートフォンから利用した場合、検索結果一覧には[アダルト商品を含めて再検索する]というリンクが表示されません。


Androidアプリを開いた画面。ストアの検索や立ち読みにhonto会員IDは必須ではない Androidアプリを開いた画面。ストアの検索や立ち読みにhonto会員IDは必須ではない
Androidアプリのストアトップページは、電子書籍ストアだ Androidアプリのストアトップページは、電子書籍ストアだ
作品詳細ページから、紙書籍版(ネットストア)を開くことも可能 作品詳細ページから、紙書籍版(ネットストア)を開くことも可能

 また、Androidには「書籍検索honto」というアプリがあり、カメラを本の裏表紙にあるバーコードにかざすとネットストア(モバイルWeb版)で検索できます。友人の持っている本が自分も欲しい場合や、電子書籍化されているかどうかを調べたいときなどに使うと便利でしょう。


書籍検索hontoアプリ 書籍検索hontoアプリ
本のバーコードにかざす 本のバーコードにかざす
ネットストアで簡単に検索できる ネットストアで簡単に検索できる

その他

 hontoは丸善、ジュンク堂、文教堂書店と提携しており、店頭で公式マガジン「honto+」を無料配布(☆+0.5)しています(電子版も無料配信)。また、丸善丸の内本店に常設の電子書籍立ち読みコーナーを設置したり、市ヶ谷の「コミュニケーションプラザ ドットDNP」に電子書籍をコーヒーとともに楽しめる「hontoカフェ」を用意するといった取り組みも行っています。


公式フリーマガジンhonto+は紙も電子も無料配布されている 公式フリーマガジンhonto+は紙も電子も無料配布されている
市ヶ谷のhontoカフェ 市ヶ谷のhontoカフェ

評点:☆3.5

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