「9.99ドルの電子書籍はより多くのお金を生む」と主張するAmazon

» 2014年07月30日 15時04分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader

 米Amazon.comは7月29日(現地時間)、現在進行中のHachetteとの電子書籍論争に関する公開状をWebサイト上に掲載した。同社は、電子書籍を9.99ドルで販売すると、14.99ドルで販売した場合よりも、多くの部数が売れ、多くのお金が集まると主張した。

 声明の中でAmazonは「目的は電子書籍の低価格化」としている。多くの電子書籍は14.99ドルや19.99ドルといった価格で販売されているが、これは電子書籍の価格としては高すぎると主張。電子書籍には、印刷費用や重版費用、予測も必要なく、返本や売れ切れによる在庫切れ、さらには在庫管理費や運送費もかからない。そして古本市場もなく、古本として転売することもできない。電子書籍はもっと安くできるし、安価であるべきだと主張している。

 電子書籍は非常に価格弾力性が高いことを理解することも重要だ。これはつまり、価格が上昇すれば、読者はあまり買わなくなることを意味している。Amazonは、多くの作品の価格弾力性を反復測定した結果、1冊14.99ドルで販売した場合と比べ、1冊9.99ドルで販売した場合の方が1.74倍多く売れたという。これは、1冊14.99ドルの電子書籍が10万部売れたとして、価格が9.99ドルなら17万4000部売れることを意味している。このときの総売り上げは、14.99ドルでは149万9000ドル、9.99ドルでは173万8000ドルとなる。総売り上げは低価格で販売したときの方が16%増加していることがポイントだ。

 Amazonは、Hachetteと同社のシアトル本社に正確にどれくらいのロイヤルティーをシェアしたのかについても言及している。「私たちは総収入の35%が著者に、そして同じく35%がHachetteに渡ることを信じて、売り上げの70%をHachetteに送っている。著者にどれくらいのロイヤルティーを渡すのかを決定するのは彼らである。私たちは今日、Hachetteが著者に対してごく一部しかシェアしていないと考えているが、これは、私たちにはどうすることもできないものだ」。

 最後にAmazonは「われわれは、全ての電子書籍を9.99ドル以下の価格で販売すべきだろうか。いや、私たちは少数の特定タイトルのみを、9.99ドルより高い価格で販売することを正当な理由として受け入れるだろう」としている。

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